第13話 相棒、正式な名前をもらう
宿での休息を経て、ソウタたちは再び旅の準備に取り掛かっていた。狼が足元にすり寄ってくるのを撫でながら、ソウタはふと気づく。
「そういえばお前、まだちゃんとした名前つけてなかったな……」
出会った時からずっと「狼」「相棒」で済ませていたことに、今さら気づいたのだ。狼が期待するような目でこちらを見上げてくる。
「よし、いい機会だし名前考えるか」
そう呟いた瞬間、視界の端に見覚えのある赤い光が明滅した。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼当選者抽選中……
進捗:██████████ 100%
「まさかこのタイミングで!?」
絞り込みの候補文字列が高速で明滅し、ピタリと静止する。称号欄は今回も空白だった。
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当選者確定
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ハンネ :名無しの視聴者
称号 :―――(ネーミングセンス破壊者)
発動まで:00:00:05
危険度 :★★☆☆☆(狼のプライド注意)
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「ネーミングセンス破壊者て、嫌な予感しかしない……」
コメント欄に、短いながらも強烈な一言が流れ込んでくる。
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[名無しの視聴者]:狼の名前、モフモフ丸にしろ
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続けて、指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示される。
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指令確定
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内容 :狼に「モフモフ丸」と正式に命名し、
本人(本狼)にその名を認めさせること
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「モフモフ丸て!! お前、伝説の森の主なんだぞ!? そんな緩い名前でいいのか!?」
狼を見ると、なぜか少し不服そうにそっぽを向いている。どうやら本狼にも思うところがあるらしい。
「な、なあ。モフモフ丸って、その、悪くないと思うんだけど……」
恐る恐る話しかけると、狼はますますそっぽを向いてしまった。指令の残り時間が刻々と減っていく。
「くっ……! せめて格好つけて言うしかない!」
ソウタは咳払いをすると、狼の前に片膝をつき、真剣な顔で名乗りを上げるように言った。
「聞け、森の主よ。今この時より、汝の名は――モフモフ丸だ! 見た目に反して愛らしいその魂に、ふさわしい名を与える!」
芝居がかった宣言に、狼がぴくりと耳を動かす。しばらくの沈黙の後、狼はゆっくりとソウタの手に頭を擦り寄せてきた。
「……おお、認めてくれた!?」
満足げに尻尾を振る狼を見て、ソウタは思わず笑ってしまった。案外、堂々と名乗られるのは嫌いではなかったらしい。
ウィンドウが眩い光を放って躍る。
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指令達成
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名無しの視聴者の願望:成就
対象の生存 :確認
特記事項 :相棒、正式に「モフモフ丸」認定
NICE GACHA!!
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コメント欄が沸き立つ。
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[名無しの視聴者]:伝説の森の主がモフモフ丸で草
[底辺時代からの生き証人]:見た目とのギャップがすごい
[解説おじさん]:由緒正しい魔獣の名としては前代未聞だな
[尊死予備軍]:モフモフ丸くん可愛い
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隣で成り行きを見守っていたアリシアが、くすくすと笑いながら言う。
「モフモフ丸さん、素敵な名前ですね」
「……お前まで乗るのかよ」
呆れながらも、ソウタはモフモフ丸の頭を優しく撫でた。物々しい名を持つ魔獣は、こうしてすっかり緩い名前で呼ばれる相棒になったのだった。
……さて、明日の無茶振りは何だ? 第14話へ続く。
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まさかのネーミングセンス回でした。モフモフ丸、正式名称です。今後もその名前で呼んであげてください。
次回もお楽しみに! ブックマーク登録・評価・感想レビュー、お待ちしております!




