19 対人模擬戦 真顔
地下の会場に降りて、武器を確認する。
水戸さんの杖と俺のショートソードは変わらないが、俺の銃がホンモノに変わるのだ。
「これが大宮くんの今回使用する銃です。リボルバー式ダブルアクションのマグナムです。六連発で弾を入れ替えます。スピードローダーを使えば弾の入れ替えが早くできますが、ローダーは五つだけになります。今までのようにむやみやたらとは撃てないので注意してください」
受け取ると今までの銃より重い。左手で扱うには、慣れが必要そうだ。ローダーも初めて使う。対人戦直前で使いこなせるか、不安だ。
そう思っていると、
「私、今回の、対人模擬戦をするにあたって、考えたことがあるんです」
真顔で水戸さんが言う。
え、なに? と今多さんと俺が、水戸さんを見る。真顔の水戸さんは珍しい。
水戸さんは、今多さん、俺、と、順番にその表情を確認したあと、ゆっくりと、言い聞かせるように話し出す。
「このツーマンセルパーティーの名前ですが、」 え? 名前? 「ひらがなで『しんげつ』にしたいと思います」
なにそれ? 名前? それって必要?
さすがの今多さんも絶句している。
「ちゃんと命名の意味もあるんですよ。『しんげつ』はーー」
「えっと、時間がないので、今回使用する魔道具の説明、いいですか?」
今多さんが無視した!
あ、はい、とちょっとシュンとした水戸さんは放置だ。
「これがメガネの両耳の柄を前で繋げて使う通信具です。ごく小さな声で会話が可能です。こっちが簡易鑑定ができる魔道具です。相手に差し向けて真ん中を折ると、こっちの腕輪にジョブ名が出ます。慣れるためにも今回使ってください」
ワイヤー状の通信具とペン状の鑑定具、腕輪を渡される。
もうすぐ初めての対人模擬戦が始まる。
水戸さんと二人、メガネをかけて、通信具をつける。
それぞれ腕輪をつけて鑑定具をポケットにしまう。
シュンとしていた水戸さんも顔が戻ってきた。
「それじゃあ、『しんげつ』、いきますか」
俺がそう言うと、今多さんが呆れたように微笑み、水戸さんはニヤリとした。
水戸さんが俺に寄り添い、
「いい名前でしょ?」とささやいた。
今、そうじゃないでしょ? ーーー俺はとりあえず、うなずいた。
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