12 こころのゆく先
今多さんはことばを続ける
「適性検査のラジオ体操って個室だったでしょ? そのときに、AIを使って心理探査をしているの。もちろんジョブも考慮するのよ、だけど、探査の結果、飛び抜けて高い数字の人だけをスカウトするようにしてるのよ。そっちのほうが重要なの」
!? 極めて高い数字?
水戸さんと俺は目を合わした。
極めて高い数字を、この人が? 基準はなに?
俺はそう思って水戸さんを見たが、きっと水戸さんも同じことを考えて俺を見ているのだろう。
「志向性の違う三種類のAIを使っているというから、かなり信頼できるというのが部内の話よ。今までの統計からもそれが証明されているらしいわ。未来のこころのゆく先は、それでもわからないと思うけど。矛盾しているかもしれないけど、だけど、あなたたち二人はお互い、信頼し合っていいと思う。これは私の直感」
そう今多さんが言ったあと、今までと違う気配が強くなった。
「ブラックウルフね。今までと違って動きが速いわよ。準備はいい?」
俺は気持ちを切り替え、坑内に銃を構える。数が多い。二十匹近くいそうだ。しかも、たしかに速い。ファイターラビットの1.5倍ぐらいの速さだ。銃口を向け、マガジンに入っているBB弾をすべて連射する。
直後、ホーリーアローが尾を引く。だが、かいくぐった三匹が目前に迫る。すかさず、今多さんの木刀が振るわれた。最後に、水戸さんが今日初めてレイピアを使い、霧にする。
俺がクリスタルを拾いながら、ブラックウルフだとホーリーアローでも皆中は難しいね、と言うと、
「しっつれいねー。十六匹当ててるのよ? 皆中の二乗! ほめてほめて〜」
と円を描いてスキップしている。
十六当てたの? あのスピードに、オートとはいえ、すごい能力だな。
「お嬢様見事でございます」 俺が直立後、礼をしながら、そう言うと、
「先ほどの暴言、許す」と胸を張る。
こういうところ、かわいいと思ってしまう俺は、甘すぎだな。
今多さんも笑っていた。
午後は二百五十以上のウサギと狼に対面した。地下二階層から戻るのも、最短の道を通ったが時間がかかってしまう。
ダンジョンから出る前に二人で今日の成果を確認する。
ステータスオープンを唱えて、表示をみるとA 467とある。エンカウントしている魔物を正確に撃っていたら、もっと数字が伸びるはずなんだが、だいぶ外しているみたいだ。
水戸さんは表示をジーッと見てなにも言わない。昨日と変わってないのだろう。そりゃそうだ。毎日レベルが上がっていくなんて、あるわけがない。
「土日もダンジョンに入れるんですか?」
不意に水戸さんが今多さんに尋ねると、
土日はお休みにしないと私たちが怒られちゃいます、と笑ったあと、早く成長したいもんね、入っちゃおうか、と小声で言う。
結局、土日もダンジョンに入ることになった。その日の交通費と日当はなし、休日扱いだからだ。ただ、平日に特別業務代という名目で土日の分を回してくれるという。
「今多さん大好きー」
そう言って水戸さんが抱きついていた。
俺も一緒に、今多さん好きですー、と言って抱きつきたかった。
さすがにそれはできず、ありがとうございます、と俺は無理して落ち着いた大人を演じた。
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