10 ホーリーアロー
俺はいい案を思いついて、今多さんに聞く。
「動いている魔物だと、BB弾が当たらないこともあるので、今多さんが木刀で弱らせたあとに銃を使ったらダメなんですか? そうすれば確実にアシスト付くし、そのあとに水戸さんがとどめをさせばいいかと思うんですが」
「それだと、銃で魔物が死ぬ可能性も万が一ですが、あります。少しでもリスクは避けましょう。大宮くんは最初の攻撃で中てる努力をしてください」
【愚者】はそれほど気をつけなければならないのか……
「ファイト〜、大宮〜」 「くん」は絶対つける気ないな。でも、応援、うれしいよ。
「がんばります」 俺はそう言って、パッと銃を構える練習を繰り返した。
三人でダンジョンを歩き出す。しばらくすると五羽のブラックラビットが向かってくるのが見えた。
「大宮くん!」 今多さんの声に俺はすぐ銃を構えて撃つ。
パパパパパパパパーンという連射のあと、静かにホーリーアローが五つ放たれた。きれいな光の矢だ。
ホーリーアロー!とか、詠唱はないの? ないんだ……
すると、ウサギは……いなくなってしまった……
強過ぎないか? ホーリーアローって。命中率百パーセント? たまたまかな?
「やったー、百発百中だー」 水戸さんが歓声を上げる。
五発五中です。俺はこころの中で訂正する。
「初めてにしては立派すぎます。水戸さんって才能、ありますね」
今多さん、それはほめすぎです。
水戸さんは俺を横目で見て、オモチャの銃は当たった? と笑顔で聞く。
「もちろん当たったさ」
たぶん一羽外したように思うけど、それは黙っていよう。どうせわからないし。
水戸さんは走ってクリスタルを拾いながら、ほんとかな〜、と疑っている。
「本人が言うんだからホントだよ。手応えあったから」
思わずそう言って、しまった、と思った。
「手応え、ねぇ」 水戸さんがクスクス笑っている。今多さんまで笑っていた……
午前中は地下一階層を昨日と同じように回った。午前中だけで百五十ほどのウサギを天に送った。
水戸さんはホーリーアローで大活躍だった。ただ、最後のほうは、さすがに疲れたのか、笑顔が少なくなってしまったが。
「持っている魔力が切れてきたんですね。あまり無理はしないことと、持っている魔力が少なくなってきた感覚は覚えてください」
今多さんがアドバイスする。
スキルの発動には魔力が必要で、その量の感覚を覚えることが大切なんだそうだ。
「でも、水戸さんの魔力は、まだダンジョン二日目なのに高そうですね。これだけホーリーアローが撃てるなんて」
今多さんも驚いている。水戸さんに笑顔はないが、フンス、という表情だ。威張っているな。
「ブラックラビットってこんなに殺したら、いなくなることはないのかな」
俺がそうつぶやくと、
「魔素がダンジョンにある限り、次々湧いてくるのでその心配は杞憂です。これから地下二層の階段を降ります」
今多さんはそう言って先を歩いていく。
地下二階層への階段を降りると四畳半ほどの広場がある。
「ここは安全地帯、魔物は層を跨いで他の層に行くことができないので、この広場に入ってくることができないんです。ここでお弁当を食べましょう」
今多さんは背負っていたリュックの中からお弁当三つとペットボトルのお茶を取り出した。
水戸さんは疲れたのだろう、ペタッと座り込んでしまった。
俺はまだまだ余裕なんだか。
トリガー引いてるだけだからね。
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