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THE GUILD  作者: axe
第三章 外の世界へ
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第百三十八話 帰り道


炭焼き小屋を離れると、ガレスは来た道をそのまま村へ向かった。


エイルは少し後ろを歩く。


しばらく、会話はなかった。


ガレスは歩くのが速い。


走っているわけではないが、上りでも下りでもほとんど速度が変わらない。エイルも遅れないようについていった。


やがてガレスが振り返った。


「歳は?」


「十五です」


「卒業したばかりか」


「はい」


「バルガに俺を探せと言われたのか?」


「探せとは言われてません。魔物を狩る仕事をしてる人を知りませんかって聞いたら、ガレスさんを教えてくれました」


「余計なことを」


「知り合いなんですか?」


「昔、何度か仕事した」


エイルは少し驚いた。


「一緒に魔物を?」


「それもある」


「他には?」


「護衛」


ガレスは前を向いた。


「荷運びもしたな」


「ガレスさんも荷運びするんですか?」


「する」


返事は短かった。


「魔物の仕事だけじゃないんですね」


「毎日都合よく出てくると思ってるのか?」


「いや、それは思ってないです。俺もここまで来る間、荷運びばっかりしてたんで」


ガレスが一度だけエイルを見る。


「それで食えてるならいい」


⸻


しばらく歩いたところで、ガレスが急に止まった。


エイルも止まる。


「何です?」


ガレスは道の端を見ていた。


泥の上に跡がある。


エイルも近づこうとした。


「踏むな」


足を止めた。


ガレスはしゃがみ込む。


「これ、さっきのですか?」


「違う」


「分かるんですか?」


「小さい」


エイルも少し離れたところから見る。


四本指のような跡が、道を横切っていた。


「犬?」


「たぶんな」


ガレスは立ち上がる。


それだけで歩き始めた。


エイルは追いつく。


「確認しないんですか?」


「何を?」


「どこへ行ったかとか」


「犬を?」


「……必要ないですね」


「必要になったら見る」


ガレスはそのまま歩いた。


⸻


村が近づいた頃、エイルが聞いた。


「明日も炭焼き小屋へ行くんですよね?」


「ああ」


「俺も行っていいですか?」


「駄目だ」


あまりに早い返事だった。


「やっぱり?」


「お前が何できるか知らん」


「学校では剣と魔術も――」


「学校の話はしてない」


エイルは口を閉じた。


ガレスは歩きながら続ける。


「森で何か出た。まだ何かも分からん。そんなところに、会ったばかりの十五の奴を連れていく理由がない」


「それはそうですね」


「納得するのか」


「言ってることは分かるんで」


ガレスが少しだけ眉を上げた。


エイルは少し考えてから聞いた。


「じゃあ、今回の仕事が終わったら、少し話を聞いてもいいですか?」


ガレスがエイルを見る。


「話?」


「普段どうやって仕事してるのかとか。そういうのを聞きたいです」


少し間があった。


「それくらいならな」


「ありがとうございます」


それ以上、エイルは同行の話をしなかった。


⸻


村へ戻る頃には、日がかなり傾いていた。


宿へ入る。


女がガレスを見る。


「戻ったのかい」


「ああ」


「どうだった?」


「まだ分からん。明日も行く」


「夕飯は?」


「食う」


ガレスはそのまま部屋へ向かおうとした。


エイルが呼び止める。


「ガレスさん」


「何だ」


「明日の仕事には行かないですけど、終わるまでこの村にいてもいいですか?」


ガレスが振り返る。


「好きにしろ」


「さっきの話、終わったらお願いします」


「ああ」


ガレスは階段を上がっていった。


⸻


夕食の時、ガレスは一人で食べていた。


エイルは無理に隣へ座らなかった。


宿の女に頼んで食事を受け取り、少し離れた席に座る。


明日、ガレスが森へ行っている間どうするか。


何もせず宿で待つのも暇だった。


食事を運んできた女に聞く。


「この村で、一日だけでもできる仕事ってあります?」


「仕事?」


「はい。荷運びとか、畑とか」


「明日だけ?」


「たぶん」


女は少し考える。


「朝、市場の裏へ行ってみな。粉挽き小屋に運ぶ麦を積むって言ってたから、人手が足りなければ使ってもらえるかもね」


「ありがとうございます」


⸻


翌朝。


エイルが起きた時には、ガレスはもう宿を出ていた。


エイルも朝食を済ませ、市場の裏へ向かった。


麦袋を積んだ荷車が一台止まっている。


「人手、要ります?」


声をかけると、男がエイルを見る。


「持てるか?」


「はい」


「じゃあ一袋ずつ運べ」


身体強化を使い、袋を持ち上げる。


荷車へ積み、粉挽き小屋へ運び、そこでまた下ろす。


午前中いっぱいかかった。


昼には報酬を受け取った。


午後は仕事がなかった。


エイルは村の店で食料を補充し、靴の状態を確認した。


宿へ戻っても、まだガレスはいない。


日が傾き始めた頃。


外から複数の声が聞こえた。


エイルは宿を出た。


道の向こうから、昨日の猟師が歩いてくる。


その後ろにガレスがいた。


さらに二人で、棒に何かを吊って運んでいる。


灰色がかった毛。


犬よりずっと大きい。


エイルは近づいた。


「それ……魔物ですか?」


ガレスが答えた。


「ああ」


「何ていう魔物です?」


「森喰い犬だ」


エイルは初めて聞く名前だった。


「昨日の肉を取ったのは?」


「こいつだ」


「猪もいたんですよね?」


「いた。柵を壊したのはそっちだ」


二つの痕跡は、別々のものだった。


エイルが死骸を見る。


首の辺りに深い傷がある。


「ガレスさんが倒したんですか?」


「違う」


ガレスは隣の猟師を指した。


「こいつだ」


猟師が言う。


「追い込んだのはガレスだけどな」


ガレスはそれには答えなかった。


「話したいんだったな」


「はい」


「飯の後でいいか」


「はい」


ガレスは死骸を運ぶ二人の方へ戻った。


「先にこいつの金を決めるぞ」


エイルは少し離れて、その後をついていった。

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