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THE GUILD  作者: axe
第三章 外の世界へ
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第百二十二話 町で使う金


翌朝。


エイルは昨日約束した店へ向かった。


店の前にはすでに荷車が二台止まっている。


「来たな」


「はい」


「今日は多いぞ」


店主の言葉通り、荷台には木箱や袋が隙間なく積まれていた。


エイルは上着を脱ぎ、袖をまくった。


身体強化を使い、一つ目の箱を持ち上げる。


倉庫へ運ぶ。


戻る。


次は袋。


また戻る。


しばらくすると、もう一人の男が荷車の上から声をかけた。


「それ、奥じゃなくて手前」


「こっち?」


「そう。午後に出す」


「分かりました」


ただ運ぶだけではない。


品物によって置く場所が違う。


エイルは店の者に確認しながら運んだ。


---


昼。


休憩に入ると、エイルは店の裏で座り込んだ。


「疲れた……」


身体強化を使っていても、一日中動けば疲れる。


店主から昼食代として少しだけ金を渡された。


「食ってこい。午後もあるぞ」


「ありがとうございます」


近くの店で安いパンと煮込みを頼む。


食べながら、昨日の護衛仕事を思い出した。


ロッドとハンスは、今頃もう北へ向かっているはずだ。


二人とも次の仕事が決まっていた。


自分も今日は仕事がある。


明日は分からない。


食事を終え、店へ戻った。


---


午後は荷下ろしだけではなかった。


倉庫から別の商品を出し、店頭へ運ぶ。


空になった箱をまとめる。


破れた袋から麦が少しこぼれれば、それも片づける。


「エイル、それ終わったら裏」


「はい」


「裏終わったら樽」


「はい」


次々に仕事が来る。


魔術を使うような場面はほとんどなかった。


重い物を運ぶ時に身体強化を使うくらいだ。


途中、倉庫の奥が暗かったので灯りを出そうとしたが、店の男が先に壁の灯具へ火をつけた。


「これでいい」


「はい」


そのまま作業を続けた。


---


夕方。


ようやく全部終わった。


報酬を受け取る。


一日働いただけあって、半日の荷運びよりは多かった。


「また荷が来たら頼む」


「いつです?」


「来週かな」


「日にちは?」


「まだ分からん」


「分かったら教えてください」


「お前が来た時にな」


エイルは笑った。


「ですよね」


店を出た。


---


新しい宿へ戻る途中、足の裏に違和感があった。


靴を見る。


底が少し浮いている。


「また金か」


翌朝。


仕事を探す前に靴屋へ持っていった。


男が靴をひっくり返す。


「ここだな」


「直せます?」


「直せる」


「いくらです?」


金額を聞く。


エイルは少し顔をしかめた。


「高くないですか?」


「ならそのまま履け」


「歩いてる途中で取れません?」


「取れるかもな」


「直してください」


靴を預ける。


夕方にはできるらしい。


替えの靴に履き替えて店を出た。


---


市場へ向かう。


いつもの店を何軒か回った。


仕事はなかった。


運送商会にも行く。


「今日はないな」


「明日は?」


「今のところない」


エイルは外へ出た。


今日は空いた。


以前なら、すぐ町の外へ練習に行ったかもしれない。


だが、靴の修理が終わるまであまり遠くへ行きたくない。


宿へ戻る。


狭い部屋の机に、魔術のノートを広げた。


前に途中で迷った術式を読み直す。


設計を追う。


記号だけを見るのではなく、どこが何につながっているのかを確認する。


一度ノートを閉じる。


形成。


途中まで進む。


止まる。


「違うな」


消す。


もう一度ノートを見る。


今度は最後まで確認してから閉じた。


形成。


最後まで形ができる。


エイルはしばらく維持してから消した。


次は別の術式。


こちらは一度でできた。


「これは覚えてる」


そのまま何種類か確認する。


昼を過ぎたところで腹が減り、練習をやめた。


---


安い食堂で昼を済ませたあと、エイルは市場をぶらついた。


仕事を探すというより、何を売っているのかを見る。


縄。


水筒。


雨具。


薬。


保存食。


刃物。


学校にいた頃は、必要なものは実習の前に揃っていることが多かった。


今は自分で買う。


値段も違う。


安い物もあれば、高い物もある。


同じ縄でも太さが違う。


昨日ハンスが傷んだ縄を交換していたのを思い出す。


エイルは自分の鞄から縄を出した。


端の方が少し毛羽立っている。


店主に見せる。


「これ、まだ使えます?」


「何に使う?」


「荷物を縛ったり」


「それならまだ使える」


「人を支えたりするなら?」


「新しいの買え」


用途によって違うらしい。


今日は買わなかった。


代わりに、少し安い保存食を売っている店を覚えておく。


---


夕方。


修理された靴を受け取った。


底はしっかり戻っている。


履いてみる。


「大丈夫そうです」


「また剥がれたら持ってこい」


「また金かかります?」


「当たり前だ」


鍛冶屋でも同じことを言われた気がする。


エイルは代金を払った。


宿へ戻る。


今日の収入はゼロ。


靴の修理代。


宿代。


食事代。


財布の中身は朝より減っている。


それでも、明日になれば仕事があるかもしれない。


なければまた探す。


部屋へ戻ると、エイルは机の上に財布を置いた。


その隣には魔術のノート。


壁には剣。


床には修理した靴。


全部、自分で使うものだった。


エイルは明日の分の金を残して財布をしまった。


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