神龍の娘と夏の日の思い出
夏休みの初め、アメリカの大学を卒業した兄が帰国した。
兄は帰国後すぐ、父の会社を手伝うようになり、早速優秀な頭脳を使い手腕を発揮している。
双子の弟たちは、叔父たちと同じように、色付きの龍を使役するようになった。
博人は灰龍、暁人は緑龍だ。
兄の将人は幼少の頃から、祖父と同じ黒鬼を使役していた。
しかし、弟たちはなかなか自分たちが使役するものができず、ガッカリしていた。
中学に入ってから、叔父たちと同じ龍を使役した途端、得意げにしている。
わたしは、というと特に決まった伴侶がいないし、使役しているものも、大物ではない。
極々極々極々普通に生きていきたいわたしには、色々な意味で、すごく平和で気楽なことだ。
わたしは自分の大切な、白猫のニーノを抱き上げた。
彼女はわたしが子どもの頃、捨て猫でほぼ亡くなっていたのを精霊として使役した。
わたしにはニーノの他にも、子犬のロッソ、うさぎのハニー、ハムスターのタローとジローがいる。
子どもの頃、やたらと瀕死の捨て猫や捨て犬を拾って来ては、使役するので両親は呆れていた。
この世では命を落としてしまったとこを、わたしが使役した、いわゆる霊だ。
霊として新米の彼らは、常々、龍や鬼、白虎などの大物に鍛えられ、そして可愛がられている。
ニーノたちは、春に母が倒れてから、わたしの元気がないことを、いつも気にかけてくれている。
わたしは今年、明王名物のサマースクールを欠席し、1日でも多く、母のそばにいようと思っている。
それでも夏期講習をサボるわけにはいかず、8月の後半、午前中だけは学校へ行っている。
残暑厳しい夏のある日、わたしが帰宅すると、母の部屋から楽しそうな笑い声が聞こえた。




