九 R15③
「ギズモンド様!いくら功績があるとはいえ、一介の兵士をいきなり辺境伯とは…
さすがに無理があるように思います」参謀レベラが口を挟んだ。
「そこは様々な政治的な思惑があるのだ」ギズモンドはレベラへ答えた。
「そもそも俺の先祖自体、一介の兵士で只の平民でしかない。
戦場などで功績をあげ、貴族となっただけだ。
それが積み重なり、将軍の地位についただけだ。
俺は大貴族ではないので、貴族としては後ろ盾がない脆弱な立ち位置だ。
だが、やるべきことだと思うことをやってきた。
忖度をしなかったため、政敵が想定より多くなってしまった。
その上、この度の反逆者を取り押さえた件では、一部の大貴族の反感をかうこととなったのだ。
反逆者は大貴族だったからな。
つまり今の俺は、かなり危うい立場なのだ。
俺の領地の兵は忠実でいてくれるのだが、彼等も大勢いるわけではない。
俺には手を組める仲間が必要なのだ。
そのため、将軍であった自分が、此度の戦に貢献した者に恩賞を与え貴族とする。
そしてこの俺の仲間として同盟を組むのだ。
選ぶ条件は二つだ。
まず、反逆者達の息のかかった人物ではないこと。
そして将来的にも、彼等には与しないことがはっきりしている人物であることだ。」
ギズモンドはサタヴァに向きなおって話を続けた。
「…お前は、殺された俺の部下達について、仲間をよくもやってくれたなと憤り、たった一人で反逆者達に立ち向かってくれた。
そんなお前は、これらの条件にぴったり合うのだ。」
ギズモンドはレベラへ顔を向けた。
「レベラ、俺は最初に忠実なお前をこの地位につけると話したが、断ったではないか」
「それはその…
ここの土地はそもそも無人です。
人が居ないのでは、どうにもやりようがありません。
村や町もない場所でギズモンド様を支える領土へ育てるなど、私ごときには大変そうなので…」
レベラは次第に小声となり、黙ってしまった。
「この場所に人がいようがいまいが関係ない。
そもそも中央の連中は、こんなところまで調べに来ない。
書面上、俺に忠実な者が治める領地があることとする。
そうすると、俺の政敵は、俺の領土に攻撃をしづらくなるのでな。
たとえ実態がなくても、書面上だけで設定するだけでも、ある程度の効果は見込めるのだぞ。
レベラ、説明したはずだぞ」ギズモンドはちらりと横の参謀を見た。
「陛下も一部の大貴族連中には頭を悩ませておいでだ。
俺の話には一も二もなく乗ってきたのだ。
昇進としてはかなり飛び級だが、陛下にも利があるため話が通ったのだ。」




