↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
51/54

第51話「何のお話でしょうか」

「何のお話でしょうか」


「いいえ、特別何かのお話をしたいということではないのですよ。祭さんと二人っきりになるなんて初めての事ですから、一度ゆっくりお話をしてみたかったのです」


 祭には紗栄子の真意が読めなかった。


「あまり時間もないので、出来れば今度ゆっくりと」


「いいえ、今度は多分なさそうなのでぜひ今ここでお話しをしたいのです」


 紗栄子は引きそうになかった。こんな紗栄子を見るのは初めてだ。ただの気の弱いお嬢様だとばかり思っていたのだが。


゜わっ、判りました。では少しだけ。直ぐに戻らなければ伶佳お嬢様から叱責を受けてしまいますので」


 それは本当の事だった。太田が来ていないので太田を連れだって屋敷には戻れない。時間をあまりかけることはできなかった。


「はい、勿論」


「それでお話ししたいこととは?」


「そうですね、太田さんの事です」


 紗栄子はストレートに言葉の槍を突きさしてくる気のようだ。


「太田さんの事ですか。それが何か?」


 祭は惚けた。紗栄子の言いたいことは痛いほど判る。


「私は太田さんのことが大好きです。多分伶佳さんよりずっと好きだと思っております」


 紗栄子は祭の眼をまっすく見て宣言した。それは祭を通じて伶佳へ戦乱布告するかのようだった。


「そうなんですね。それでそれが私に何か関係がございますのでしょうか」


「祭さんと言うよりも伶佳さんに関係があるのはご存知でしょう」


 紗栄子の言葉には言い逃れが出来ない圧があった。紗栄子が有する特殊能力かも知れない。気弱なお嬢様は世を忍ぶ仮の姿ということだ。


「私は何も」


「いいでしょう。私から言わせていただきます。西条伶佳さんは私と同じように太田さんのことを好いておられる、ということを確認しているのです」


 当然普段の態度で誰もが知っている事だった。ただ身分の違いがあるので結婚できないことも。ただそれは紗栄子にしても同じではないのか?


「それは確かにそういうこともあり得るとは思いますが」


 祭はなんとか言葉を濁そうとするが上手く行かなかった。嘘が吐けないのだ。言葉を選ぶしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。