第42話「解読は終わりましたよ」
「解読は終わりましたよ」
翌日、蔵書から出て来た無名は感動している様子もなく祭に対峙していた。
「おお、それはそれはよかったですね。これで西条家の悲願が」
「そのことですが。京極にも依頼し昨日方波見家の方にもお願いしたのですが、儀式に必要なものが全くそろっていません」
儀式には解読した呪文、力を顕現させるための大量の生贄、肝心な依り代としての生贄、そして星辰が揃う日時が必要だった。
そのどれか一つでも欠けていれば目的を達することが出来ない。
「方波見家の方は心当たりがあると仰っていましたが」
「れいな様は当家に関する情報を統べてらっしゃるご家系の現当主様ですから、そのようなことも」
「いずれにしても非合法にしかなりませんが問題ありませんか?」
「そう言ったことも含めてご処理されるのが方波見家の使命でございます」
「それならいいのですが。まあ例のものが顕現すればそれどころではないとも思いますが」
「無名様、滅多なことを仰らない様、お気をつけくださいませ」
無名は元々西条家の悲願については口にしない様言いつけられていた。万が一にも誰かに聞かれてしまうと大変だからだ。
「祭さんの様に使い魔を使って来る相手も居る、ということなのですね」
「そうです。私が出来ることは他の誰かも出来ると思っておかないと。でも無名様がおやりになられていることは、代わりが効きません。どうぞご自愛くださいませ」
無名はほぼ不眠不休で解読に取り掛かっていのだった。ただそれも一旦終了した。あとは必要なものと星辰のは位置が揃いさえすればいいだけなのだ。
星辰の位置が揃う時は近づいている。もうそれほど時間の猶予はないのだ。
「今のところ、特に何も邪魔は入っていないようですが」
「そうですね。でも油断はできません。こちらの用意が整ったと知れば全力で阻止してくるでしょう」
「それだと私はお屋敷には戻らない方がいいかも知れませんね」
「まだ解読が終っていないように見せると?」
「そうです。私がここに居る、ということはそうなりませんか?」
「確かに。ただ私はいつまでもここに居る訳にも参りませんが」
「祭さんは今日にでも戻っていただいて結構ですよ。手伝っていただけて本当に助かりました」
祭が身の回りのことをしてくれるので無名は解読に集中できた。更に少しは祭の知識も役に立っていたのだった。




