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第41話「それで今はどの程度まで?」

「それで今はどの程度まで?」


「あと少し、というところまで来ております。解読している者とお話をされますか?」


 主筋の家のメイド長と傘下の伯爵家の跡取り娘、立場の上下は少し微妙だった。ただ祭はれいなを立てる。


「そうですね、そうしていただければ」


「ではこちらへ」


 れいなが通されたのは西条家の佐島の別荘地下にある蔵書庫だった。無名羅都はいつもそこで作業をしている。


「羅都さん、お客様をお連れしました」


「ああ祭さん、お客様ですか?」


「はい、当家の系列に連なる方波見伯爵家のれいな様です」


「お初にお目に掛ります、方波見けいなと申します」


「無名羅都です。それで何か御用ですか?」


 作業を邪魔されたくない無名は冷たく応えた。


「ええ、進捗をお伺いしたかったのと、お手伝いできることがないかお聞きしたくて参りました」


「なぜあなたが?」


「あなたのやっておられることが西条家に連なる者の悲願だからです」


「できれば邪魔をしないでいただけると有難いのですが」


 無名羅都は冷たい表情のままだ。


「お邪魔はいたしません。当家は西条家に連なる者として情報や分析を担っております。そちら様で言うところのスパイというところでしょうか。お役に立てることがあるのではありませんか?」


 無名羅都の表情が動いた。京極に頼んでいることが上手く行っていない。できればそこを補助してもらえるのであれば有難い。


 無名は事情をれいなに率直に話し助力を請うた。


「なるほど判りました。ではその京極様に連絡を取ってお手伝いできるようにいたしましょう」


 それだけ言い残すと方波見れいなは直ぐに佐島の別荘を辞した。星辰が揃う日が近づいている。余り余裕がないのだ。


「あれでよかったのでしょうか」


「そうですね、利用できる者は全て利用しなければ目的を達することはできないでしょう。無名様はご自身の作業に集中してくださいませ」


 そう言われて無名は作業に戻るのだった。

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