第30話 西条家とは何者なのか。
西条家とは何者なのか。
西条家のメイド長である祭祥子は立場で言うのであればただの使用人だったが西条家代々の種族的には眷属といってもいい。
ただ他の眷属たちとは違い祭には身体的特徴が備わっては居ない。
能力的なものついては一族の中でも最上位といってもいい祭だったが、その身体的特徴を継いでいないという一点で低く見られている。
祭からすると低俗な使い魔を自由自在に使役することなど造作もなかった。
祭の使い魔はその性格上水が関連するところであればどこにでも入り込める。そして、情報を伝えるにしても水を介して幾らでも遠くに伝えることが出来た。
祭の使い魔たちは神戸家の上水道に忍び込む。そして屋敷内での会話の内容を全て祭に報告するのだ。
但しその情報量は凄ざましいものがあった。神戸家の家人が発する言葉が常人の発する言葉の情報量を遥かに凌駕しているのだ。
「これでは何が何だか判らないわね」
使い魔の情報は人語としては全く体を成していなかったのだ。
「屋敷内では人間の言葉を話していない、ということなのかしら」
奴らが自分たちにしか通じない言語で意思疎通をしていることは十分考えられる。西条家も普通に人間の言葉を話しているが、勿論別の言葉も話せることに違いは無い。
「あの男の力を借りる方がよさそうね」
祭は経過の部屋へと向かった。
「お嬢様、お願いがございます」
「あら珍しいわね、祭が私にお願いだなんて。それでどうしたの?」
「佐島へ行かせてはいただけませんか?」
「佐島ですって?何をしに行くと言うの?今、佐島では無名さんが『無名祭祀書』を私でも使えるように解読してくれている最中なのよ。邪魔するつもり?」
「とんでもありません、お嬢様。ただ確かにあの男は有能です。ぜひあの男の力を利用させていただきたいのです」
「だから、それはどうしてなの?」
「神戸家の件です。神戸家の屋敷内での会話を解読してもらいたいのです」
「屋敷内での会話?盗聴でもしたというの、はしたない」
「盗聴といいますか」
「使い魔を使ったのね。まあそれはいいとして、あなたには理解できなかったということ?」
「申し訳ありません、確かに祭ではその内容を把握することができませんでした」
伶佳から怒られる話ではない筈だったのだが祭は太田の件で引け目を感じている。そのことを敏感に伶佳に悟られているのだった。




