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第29話「それでいかがしましょうか」

「それでいかがしましょうか」


 いずれにしても伶佳をそのままにしておくわけには行かなかった。


「神戸家の者は拙い。その使用人が神戸家にどれほど関りがあるのかにもよるが、神戸家当主とのかかわり方を見ていると関係はかなり深いとみるべきだろう」


 監物は何度か西条家主催のパーティーに来ていた神戸家当主神戸道隆と太田を見かけていた。


 二人の関係は相当深いように見えた。神戸家があの神戸家だと祭から聞かされていたので気に掛けていたのだ。


「嬬森家とも関りが深いようですが」


「嬬森か。あの男も飄々とした顔をして食えない男だ。儂が手掛けるいくつかの事業を儂には気づかれない様につぶしに掛かっておる。まあいくら隠そうとも儂には通用せんがな」


 西条監物が、というか西条家が成りあがって今や公爵家としても第一位と言われるようになったのも、その特殊能力のお陰だった。


 西条家の当主は代々真実を見抜く目を持って生まれて来た。西条家当主を騙すことは不可能なのだ。


 その能力のことは当主本人以外は誰も知らない。家族ですら知らされていなかった。そしてその能力は当主の死によって次の当主に受け継がれていくものなのだ。


 もしかしたらその能力を本来はまだ持つはずがない伶佳が持っているのではないか、とすら思えた。本人は自覚していないのだろうが。


 特に跡継ぎとしては伶佳の兄である秀成がその能力を継ぐはずだ。伶佳に能力が伝わるはずがないのだ。


「儂から伶佳に話そう。その太田と言う男は伶佳がどうしても欲しいと言うのであれば、連れて来てここで飼うが良い」


 監物は人一人を屋敷で軟禁することに何の抵抗もない。伶佳の為なら今すぐにでも、とすれ思った。しなし問題は太田が神戸家に関わる人間だという事だ。


「嬬森への権勢にもなるのであれば神戸家を潰しても良い」


 ただそれは祭としては反対だった。神戸家は容易に手を出していい家ではない。


「旦那様、それは」


「祭、お前の言いたいことは判る。とりあえずもっと神戸家のことを調べるのだ。本当にあの神戸家かどうか、ということも含めてな」


「判りました。お嬢様の件は」


「儂に任せておけ。伶佳には太田の件も儂に任せたと伝えればよい」


 祭はそう言われても、とは思ったが主人の言いつけに反対することはできない。


「判りました。ではよろしくお願いいたします」


 祭はそれだけ言い残して監物の書斎を出た。


「さて、お前たち、聞いていたでしょ。神戸家のことをもっと調べてくるのよ」


 祭の言葉に何かが反応した。 

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