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第77基音:調査報告

ギルドのカウンター奥で書類を整理していた受付嬢が、アルトとカノンの足音に気づいて顔を上げた。

「あ、アルトさん、カノンさん! ……浅層のダンジョン調査依頼、無事に戻られたのね」

「ただいま戻りました。受注していた浅層調査の完了報告です」

アルトは穏やかに微笑みそして、周囲に聞こえないよう少し声を落とし、懐から『原初の調律具』を覗かせる。

「実は浅層調査の最中、予期せぬ転移トラップでダンジョン最深部の古代遺跡まで飛ばされまして。そこでこの調律具とともに、ギルドの存亡に関わる重大な事実を見つけてきました」

「えっ……!? 転移トラップに……最深部の古代遺跡……!?」

深くは語らず、ただ懐から覗く調律具の異質な気配と、アルトの底知れぬ落ち着いた佇まい。それだけで事態の尋常ならざる重要性を察した受付嬢は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。

「わ、分かったわ……! 依頼の達成確認は済ませておくから、すぐにギルドマスターへ取り次いでくるわね! 執務室でお待ちください!」

受付嬢は急ぎ奥の階段へと走っていった。

「うまく通してもらえそうですね」

「はい、アルト様。無用な混乱を起こさずマスターへ繋げるあたり、さすがアルト様です」

カノンは美しい紫色の瞳を輝かせ、密かにアルトの手をギュッと握りしめた。

余計な騒ぎを起こすことなくギルドマスター室への導線を得た二人は、世界を揺るがす真実を伝えるため、重厚な階段を上っていくのだった。

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