第55基音:協奏する絆
「ハハハハハッ! この古代魔導炉に満ちる不協和音は、私という『魔導兵器』の真なる力と直結している! 貴様らの微小な調律など、この狂気の旋律で一瞬で呑み込んでくれるわ!!」
フォルテシモが両腕を広げると、魔導炉の天井と壁面から極太の紫色の結晶柱が一斉に突き出し、空間全体を押し潰すような重圧となって俺たちへ襲いかかってきた。
「くっ……広域調律!!」
俺は間一髪で金色の光幕を展開したが、魔導炉の不協和音を力に変えたフォルテシモの攻撃は凄まじい。光幕には次々と亀裂が走り、悲鳴のような高音が空間に響き渡る。
「アルト様、お一人で背負わないでください……っ!」
カノンが俺の隣に並び立ち、胸元の2つのコアを激しく脈動させた。濁りの消えた紫色の光芒が、澄み切った波動となって彼女の全身を包み込む。
「カノン……!?」
「過去の私がどんな罪を犯していようと……今の私はアルト様の『旋律』と共にあります。この手はもう、人を殺めるためではなく……あなた様を守るために!」
袖口から滑り出た刃に、カノン自身の魔力と俺の調律の光が融合し、眩い黄金と紫の二色光を帯びる。
「ぷしゅーーッ!!」
パルスも俺たちの間に飛び込み、二人の波長を完璧に同調させる『中継核』として全身を膨らませた。
「な……三号体の出力が、調律師の波長と干渉して増幅している……!? 兵器が他者と『協奏』するなど、あり得んッ!!」
「これが……俺とカノンが紡いできた絆の音色だッ!!」
俺とカノン、そしてパルスの三者の波長が完全に重なり合い、魔導炉の歪んだノイズを次々と打ち消していく。
「カノン、一気に決めるぞ!」
「はい、アルト様!!」
絶望の過去を乗り越え、真の信頼で結ばれた俺たちの旋律が、フォルテシモの放つ紫の狂気を切り裂いて一直線に疾走した——。




