第42基音:絆の旋律
カノンの温かな胸の中で静かに涙を流し尽くした夜が明け――。
窓から差し込む朝日に照らされた部屋で、俺はすっきりと澄み渡った心地で目を覚ました。
「ふぁぁ……よく眠れた……」
胸の奥に澱んでいた重い後悔が消えたわけではない。けれど、カノンが示してくれた優しさと温もりが、前に進むための確かな強さを俺に与えてくれていた。
「おはようございます、アルト様。……お顔立ちが、昨夜よりもずっと晴れやかになられましたわね」
ベッドの脇で待機していたカノンが、どこか誇らしげで愛おしそうな笑みを浮かべてお辞儀をする。
「うん。カノンのおかげだよ、本当にありがとう」
「ぷしゅ〜♪(嬉しそうにアルトの膝へ跳び乗ってくるパルス)」
「パルスも心配してくれてありがとうね。よし……それじゃあ、これからのことを話そうか」
俺たちは宿のテーブルに地図を広げた。
「あの敵組織『不協和音の影』の手がかりは、捕まえた男の記憶にあった『カデンツァで黒服の男に接触された』という点だけだ。でも、奴らの狙いがカノンの残るコアの奪取と完全暴走なら、いずれ必ず俺たちの前に現れる」
「はい。受けて立つのは望むところですが、奴らの裏をかくためにも、更なる『古代魔導コア』の回収と、私の機能解放を急ぐべきかと存じますわ」
「そうだね。カノンの完全な復活を進めることが、最大の防衛であり対策だ」
俺は地図のさらに東――幾多の魔導技師が集う学術と機械の巨大都市【魔導都市フォルテ】を指さした。
「フォルテには世界中の古代遺物や魔導書が集まっている。そこなら、3つ目のコアの所在や、不協和音の魔導結晶に関する手がかりが掴めるかもしれない」
「魔導都市フォルテ……! 確かに、あそこならば私の構造解析や、アルト様の新たな『調律』のヒントとなる文献も見つかるかもしれませんわね!」
「よし、決まりだ! 目的地は『魔導都市フォルテ』!」
「ぷしゅーーっ!!」
パルスも気合十分に体を膨らませる。
ヴァンとミリアの悲劇を二度と繰り返さないために。そして、迫りくる敵組織の陰謀から大切な存在を守り抜くために。
俺たちは絆をより一層深め、新たな希望と決意を胸に、白銀のビアンカの街を後にして【魔導都市フォルテ】への道を歩み始めるのだった。




