シャノンのお誕生日会
シャノンがミカエルに告白の撤回をしてからしばらく経った。
シャノンは十六歳の誕生日を迎えようとしていた。
コレット侯爵の一人娘シャノンの誕生日となるとそれはそれは盛大だ。
シャノンは婚約者がいないため、コレット侯爵家とお近づきになりたいと願う家はとても多い。
「シャノン誕生日会の招待をありがとう」
誕生会をするとどこからか聞きつけてきたナセル様は、招待状を渡してもいないのに、出席すると誰より
「ナセル様、お忙しいのにありがとうございます。クラスの皆さんもお誘いしたら、いいお返事を貰えて良かったです」
カルロス様やレイレ様まで来てくださると言う。お母様がクラスのお友達を招待したら? と言ってくださったので、勇気を出しお誘いしたら喜んで参加するよ。と言って下さった。
「クラスの皆は友達だろう? そりゃ喜んで招待を受けるよ」
「はい、嬉しいです!」
本当に嬉しかった。私が一方的に友達だと思っていたわけではなさそう……。
「シャノン誕生日にエスコート役がいないなんて寂しいだろう? 私にシャノンのエスコート役をさせて貰えないだろうか?」
お母様がナセル様はきっとエスコート役をしたいと言ってくるはずだ。と言っていたけど、そのとおりになった。
「はい、お願いします」
「わ! 珍しい。シャノンが素直に受け取った」
「本当はお父様が、エスコートをしてくださると言ったの。お母様のエスコートも、もちろんお父様で両手に花だ! って言っていらしたんですけれど、ナセル様にお願いしますね」
「喜んで!」
「シャノン様、わたくしもマックスと参加しますね。マックスは少し遅れるそうだけど」
「マックスお兄様も来てくださるんですか? お忙しいのに申し訳ありませんわ……」
「あらいいんですよ。わたくしのパートナーですもの。喜んでお祝いに駆けつけますわよ。ねぇナセル様」
「兄上が来るって言うんだから止めても無駄だよ。この前のデートのときにシャノンからってキャンディーを渡したら喜んでいたよ」
あのあと、マックスお兄様からカードが届いた。ありがとう。って簡単なメッセージとお返しのクッキーまで。
「そうですわ。普段は恐ろしい顔をしているのに何度もキャンディーを見て嬉しそうな顔をしていらっしゃるのよ。シャノン様を、ずっと気にかけていらしたもの。すごく嬉しかったのよ」
「私は兄上からキャンディなんて貰ったことないよ。シャノンには甘いよな」
「マックスお兄様とわたくしの秘密だったのですね。内緒にすれば良かったですわね」
ふふふと笑うと。
「シャノン様はマックスをお好きとか?」
真顔のルイズ様に驚くナセル様。答えは決まっている。
「はい。もちろん大好きですよ。ルイズ様のお好きと言う気持ちとは違いますわよ? 尊敬しています」
「ふふふ……知ってます! マックスもシャノン様のことがお好きですもの」
「ビックリした! ルイズがそんなこと言うから肝を冷やした。私の好きとは気持ちとは違うんだね」
ナセル様は私の手を取ろうとすると、ルイズ様にペチンと手を叩かれていた。
「それはお二人のときにお願いしますね。お誕生会が楽しみですわね」
何事もなかったように、にこりと笑顔を見せられた。
「シャノンの社交デビューも兼ねているんだ。シャノンが恥ずかしくないように、しっかり努めさせてもらうよ」
******
誕生会当日。準備が整った!
「あらシャノンちゃんとっても素敵! 可愛いわよ。さすが私たちの娘ね!」
「あんなに可愛かった私たちの天使が今日は女神の如く美しい」
白地に薄いピンクの生地を重ねて色を揃えたバラとパールが縫い合わせている。髪にも長めのパールを付けて流した感じでセットされた。ポイントにはピンクのバラ。
くるっと回るとドレスの裾が靡いて、軽やかだ。
「天使は女神にはなれませんよ。あなた」
「ものの例えだよ」
相変わらず仲がいい両親に笑顔で答える。
「ありがとうございます、お父様、お母様」
照れながら感謝の気持ちを伝えた。それにしても褒めすぎではないかな……
「可愛いなぁ、シャノン。ずっと見ていられるよ!」
そういうお父様もビシッと決まって、娘の私から見てもカッコいいし、お母様もこんな大きな娘がいる様には見えないくらい美しい。
「自慢の娘だもの。シャノンちゃんのお友達に会えるのも嬉しいわね、あなた」
「隣国のカルロス殿下とレイレ嬢も参加されるなんて光栄だね。護衛も十分配置した。うちの娘の誕生会で物騒なことは起こさせない。王太子殿下が来られることは一部の人間しか知らないがナセル殿下が来られるのは知られているから、しっかりと目を配らないとな」
「屋敷の者にはしっかりと言い聞かせていますわ。シャノンちゃんは気にせず楽しんでね。お酒を飲んでもいい年だけど、できれば飲んで欲しくないわ。酔っ払ったらみっともないからお酒は徐々に慣らしていきましょうね」
お父様もお母様も今日の日の為に時間をかけて用意して下さった。
殿下たちが来るということは警備にも相当気を遣っているから、今日の日を無事に迎えられますように。
お母様の言いつけとおりお酒は飲みません!
「ナセル殿下が到着いたしました」
執事が声を掛ける。
「私が対応する」
お父様がナセル様に当主として挨拶に行った。お母様は私の姿の最終チェックしている。
「うん。とっても可愛いわ! 王国一のお姫様ね!」
相変わらずの親バカだ。
「この姿を見たらナセル殿下、イチコロよ!」
「イチコロって何?」
「ふふっ。シャノンちゃんを見た瞬間に骨抜きになること! メロメロってことよ」
「まさか! お城には美しい人がたくさんいらっしゃるのに」
「なんでシャノンちゃんはそんなに自分に自信がないのかしら……こんなに可愛いのに。ちゃんと自分と向き合いなさいね」
「何のこと?」
「ナセル様のことよ! 本当は好きになってるんでしょう? デートも楽しかったみたいだし」
頬をツンツンと突かれた。
「そんなんじゃないもん!」
「可愛くないわね。そんな様子じゃまた振られるわよ」
また……って。お母様酷い!
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