ミカエル視点
「そうだったのね、ごめんなさい」
シャノンは……僕を避けているのか学園では全然会わない。姿を見ることがあっても遠くの存在のように思える。こんなに近くにいるのに、今も遠い存在。
シャノンは侯爵令嬢だし王族に嫁いでもおかしくない家柄。そして可愛いく、優しく素直。
家族のような存在と思っていたから会わなくなると、とても寂しいと思う。
将来一緒にいたい相手とはシャノンのことなのかもしれない。今更だけどそう思う。でも今なら間に合うはずだ! 殿下との婚約は発表されていない。
だってただの幼馴染だし、相手が殿下であってもスタート地点は同じ。いや。ぼくhあシャノンに告白されている分、一歩先に進んでいると考えていいだろう。
ここでもっと先に進んでやる!
「以前シャノンは僕に告白してくれただろ?」
「あ! そうなの。その話をしなきゃ」
手をぱんと叩き、笑顔で話出すシャノン。なんだ……?
「あ、うん。なに?」
少し前のめりで話を聞く自分がいる。シャノンがまた気持ちを伝えてくれるのか?
「あの話なんだけど、なかったことにしてほしいの」
「……ん?」
何て? なかったことに……って。
「ミカエルが学園で出会いがあるかもしれないから保留って言ったでしょう?」
笑顔を見せるシャノンに息をのむ。言ったさ。それを撤回しにきたんだからな。でも、なかったことって、何だ? 思考が……
「いっ、たね。保留か……」
「私が告白したことは、なかったことにして欲しいの」
「……それがシャノンの答えか」
どうやらシャノンの答えは出たようで、僕が馬鹿なことを言った……【保留】その意味を考える。
シャノンの気持ちを留めておくことなんて出来なかったのだ。今思えば他の言い方があったのに。と思うと情けない。
「私ね、ミカエルに甘えていたみたいなの」
「甘えてもいいんだ。僕とシャノンの仲じゃないか」
「ミカエルはちゃんと将来と家のことを考えていたのに、私は考えが甘かったって思ったの。ありがとう気付かせてくれて」
「あ、いや、あのさシャノン」
「なあに?」
「僕がシャノンのこと好きだって言ったらどうする? 婚約しようって言ったら?」
今更だけど、何%かの確立に賭けてみた。少しでも僕のことを思っていてくれるなら、ちゃんと話をしたいと思ったから。
「ミカエルは嫡男だし、私もお父様とお母様が守っている家を継がなきゃ。ううん。継ぎたいと思ってるの。あのときはどうにかなるかな。って軽い気持ちだったんだと思うの。今はちゃんとしたい」
「僕が婿養子に入れば問題ないんじゃないか?」
伯爵家は僕が継がなくてもいいんだってさ。そんなことあのときは思わなかった。
「ミカエルが? それはダメよ。ミカエルは嫡男だし伯爵家を継がなきゃ、ロンゴ伯爵夫妻もそのつもりで教育なさっていると思うから」
そう教育されてきたけど、弟がいるから、どうとでもなるんだよな。
コンコンコン……ノックの音。シャノンが返事をするとコレット侯爵が入ってきた。
「シャノンそろそろ、ピアノの時間じゃないか?」
「あ、そうだ。行かなきゃ! 時間の変更になったんだった。ミカエルごめんね、それじゃまた学園でね」
シャノンが部屋を出て行った。急に来たのも悪かったが、これでもうシャノンと話す機会は無くなりそうだ……。もっと早く気がつけばよかったのに。
学園で見るシャノンは僕の立場で言うと高嶺の花……。学園で。と言ったが学園で話すことは無さそうだな。
「ミカエル殿、悪いがこう言った形でシャノンに会いにくるのは最後にしてくれ。言っている意味分かるよね?」
シャノンに近々婚約者が出来るのだろうか。そうなると相手は殿下か……。
「コレット侯爵にお聞きしても良いでしょうか?」
「なんだ?」
「……仮にですけどシャノン嬢が僕を好いてくれていて、僕が婿入りとなっていたら賛成してくれましたか?」
「そうだな。シャノンが望むなら賛成していただろう」
「……そうですか」
「まぁ、仮の話だから言うだけで、あり得ない話と言うことだ。私は執務に戻る、ミカエル殿も遅くならないうちに帰りなさい」
「はい、お時間をいただいてしまい申し訳ございませんでした。失礼致します」
バカだなぁ……こんなことなら保留なんて言わずに、返事をしておけばよかった。
別に家を継ぐのは僕じゃなくても良かったなんて……そんなこと思いもしなかった。
シャノンとは家族みたいなもの、じゃなくて家族になれば良かったんだ。
シャノンとの時間は穏やかで居心地が良かったのに。今更気がつくなんて。
シャノンはもう手が届かない存在になった。




