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千年の恋の物語~運命の二人~  作者: 宝槻錬果
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乙女と剣士

 水宮家の呪いを解決した杏那や豪の力を見て、同じ時の神の力を持つ豪を訪ねてきた廉。豪と廉は神城家の応接室で向かい合っていた。


「はい。あの、杏那はいつもあれほどの力を使っていたのですか?」

「おぉ、我ら月城家の力よりお嬢様への興味だったか。まぁそれも良い。お嬢様は幼いころから無意識に神力を示していた。その力は使うほどに開花し強くなっている。しかし昨日のように一日に三度も使ったのは今回が初めてだ。私も心配していたが、レオ様もついていてくださる。体力的には問題なかったようだ。」

「レオ様は護衛騎士とおっしゃっていましたが、一体何者なのですか?」


豪は少し考える。

(レオ様が廉には自らを神獣と言わず護衛騎士とおっしゃっていたな。何かレオ様なりの意図があるはず。ここは神獣様であることはまだ伏せておくか…。)


「レオ様はお嬢様の遠い親戚…近しい力を持っていらっしゃる高貴なお方だ。お嬢様も自分の力を感覚的に理解してくれるレオ様がそばにおり頼もしく感じているようだな。」

「遠い親戚ですか?それでは二人は恋人とかそういった関係ではないのですね?」


豪は予想外の質問にお茶を吹き出しそうになる。


「二人が恋人?まさか昨日の様子を見てそう思ったのか?」

「はい、とても距離が近く親しげでしたし、信頼し合っているようでしたので…。」

「そうだな、信頼し合っていることは間違いないな。そういえば二人は出会った時からあの距離感だったな…。出会った当初はお嬢様が常に抱っこ…うむ、確かに親しいが…。」


豪はここでピンと来た。

(もしやレオ様は廉を煽りお嬢様への気持ちを自覚させるために、廉の前であのような言動・行動を!?うむ、間違いないな。それに廉はまんまとひっかかっている。ここはレオ様の策略に乗っからせていただくとしよう!さすがレオ様、感謝いたします!)


「廉よ、今日は私に恋愛相談で来たのか?」

「あ、いえ…その、気になってしまって…。」

「お嬢様の恋愛事情を気にする前に、お前にはやるべきことがあるだろう。そもそもお前が婚約に関わる行事をすべて欠席してきたからこうなっている。まずは受け継いだ力と向き合い、私の跡を任せられる“乙女の剣士”に成長し、お嬢様に認められることが先ではないか?」

「はい、おっしゃる通りです。」

「当主から聞いていると思うが、この力は太陽の乙女のためでなければ使えないし、そもそも太陽の乙女に認められなければ発動できないのだ。」

「しかし、認められるにはどうしたらいいのでしょうか?」

「そうだな、歴代の剣士たちは幼いころから乙女のそばで乙女を守ってきた。故に自然と乙女も剣士を信頼したのだが…。」

「そのために代々二人は許婚とされてきたのですね。」

「あぁ、そうだ。乙女と剣士は同じ日、同じ時間に生まれると宿命で定められている。乙女は幼い内から力を自然と発現するから、その乙女と同じ時に生を受けた月城家の者が剣士だと分かるのだ。遥か昔は許婚でなくても自然と惹かれ合い互いを伴侶に選んだようだ。そんな伝承もあって、それならば初めから許婚にしようとしたのだろうな。それに許婚であれば任務で行動を共にしても怪しまれないし、周囲への説明も都合がよかったのだろう。」


廉は豪の説明を納得しながら相槌を打って聞いていた。

「そうだ、廉、昨日私が時の神の力を使った時、指輪は何か反応したか?」

廉は右手の人差し指にはめた深紅の宝玉のついた指輪を見やった。

「……いえ。特に何も。」

「うむ、そうか。まだお嬢様から頼りにされていないという証拠だな。」


廉は“頼りにされていない”とはっきり言われてショックを受けているが、豪は気にも留めず先を続ける。


「それならば、まずはお嬢様の前で修行をするのだ。真剣に修行している逞しい姿を見せ、頼りになるところを示すのだ。お嬢様に“信頼できる、いざというとき頼りになる”と思わせるのだ。そうすればお嬢様の心も取り戻せるかもしれないぞ。」


(これで修行とお嬢様へのアピールが両立できて一石二鳥だな!)

豪は自分の策に自信を持っていた。


「ですが、修行中の姿をご令嬢に見せるなど、特に時の神の力という不確かな修行では情けないところを見られる可能性もありますし不本意ですが…。」


「その通り。お嬢様に見せるのは剣士の修行だ。時の神の力はお嬢様に認められ、己の精神力が鍛えられていれば自然と発動できるようになる。お嬢様にお見せするのは太陽の乙女をお守りできる剣士だというところだ。気づいていないようだが、太陽の乙女は悪しき者の浄化など闇を照らす太陽の力に特化している。つまり、戦闘能力は持たないということだ。隠されているとはいえ、特別な力を持つ乙女はその力で解決すべき不測の事態に突如引き寄せられることもあれば、力を欲する者から狙われることもあるし、望まれて対処にいくことばかりではない。太陽の乙女の力で対処できない害悪から乙女を守るのが剣士としての役割。そして、そもそも狙われることがないよう、知るべきでない者の記憶から太陽の乙女の情報を書き換えるのが時の神の力を持つ者の使命だ。」

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