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EDDK『ソロでも勝つる!現代ダンジョン攻略サイト』  作者: 御神酒
菌糸森林域

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0層 凍雪地獄

 

 三つの地獄が、テントでも設置するかのように即座に展開された。テントの即時展開能力はものにもよるだろうけど。


 ともあれ、マズそうな空気を漂わせている事実に変わりない。三つの地獄が俺一人に矛先を向けたその時——。


「【Bloody Bullet】」

「【光煌龍】!」


 炎の領域に穿つ弾丸と、黄金の茨を斬り裂く光の龍みたいな形の斬撃が。


「カレラ!」

「間引きだけするつもりだったけど……こうなったらヤケクソね」


 ヤング(兄)と失礼眼鏡ちゃんである。位置関係的に、未だ気を失ったまま宙に浮くヤング(妹)ちゃんを中心に、それぞれ1対1になる構図。


「ナイスタイミング。目標はそこのヤング(妹)ちゃん、取り巻きは——」



 転移、相変わらずギンギラギンの“ナマクラ”でドラゴンを真っ二つに斬った。


「残る三人だけだ! モンスターだから遠慮しなくていい!」


 傷から黒い霧が出ていたので間違いない。そもそも召喚系のスキルで出てきたヤツらだし。

 状況を簡潔に伝えると、あっちの二人から了承の頷きが得られた。あっち的にも方向性は同じらしい。


 俺は転移して元の位置に戻る。

 そして同時に世界が閉ざされた。他のところも同じだろう。状況が見えないので、転移からの奇襲も難しい。さっさと各個撃破する他ないようだ。


 マッチアップは、俺と氷女、ヤング(兄)くんと炎女、失礼眼鏡ちゃんと金ピカ茨女。二人の実力のほどは知らないが、なんとか生きていて欲しいものである。


「我こそは、三獄将がひとり——」

「【土龍】!」


 なんか名乗ろうとして隙だらけだったので牽制の一撃を放つ。そして視線を切りながら回り込む。背後まではいかず、斜めから剣を振った。

 当然のように【土龍】は凍結させられて防がれ、そのまま俺にふぅー、と息をふきかけて凍らせようとしてきた。敵の吐息ではあるものの、なんだかヌッチである。


「残念! こおりましぇ〜ん!」


 寒くもない上に凍らなかったのでそのまま切りつけた。漏れ出る黒い霧の量が目に見えて増してきた。


「卑怯者……!」

「勝てばよかろうなのだ! HAHAHA!」



 トドメのために踏み込んだ瞬間、地面と頭上から氷塊が出現。俺をすり潰しにかかってきた。

 攻撃を止めて転移。

 敵の脇腹の至近距離。


「わき……」


 装備がノースリーブな氷のドレスだったので脇が見えて少しばかり気を取られたことも無きにしも非ずな感じだが、手は止めずにそのまま脇腹にブスリ。


「……ぅ、【冬の訪れ】」


 敵は距離をとって手を天井に掲げた。

 そして冬がやってきた。……今も冬だけど。そういえばそろそろクリスマスかー。

 吹雪だろうと視界良好、極寒だろうと寒さを感じない。いつもと何も変わらないのが、いつものことである。


「卑怯な人間風情に……!」



 敵の瞳がサファイアのように輝いた。

 氷の槍が上下左右四方八方から飛来する。

 転移で回避し続けながら相手が焦れるのを待つ。今仕掛けても槍を体から出してくるだけだろう。


「生きるか死ぬか、それも格上相手にそんな余裕も無ェっての。まあ安心しな。俺の左手には地獄の炎すら生ぬるい炎を宿してるから、一瞬で楽にしてやる」

「……」


 当然嘘である。こっそり【土龍】と【罠作成】を発動。そしてヤツの意識が左手にそれた瞬間に転移。首を斬った。


 しかし氷によってすぐさま繋がれた。

 距離をとろうと敵は狙い通り後退。罠が起動した。

 逃げるところに踏むと【土龍】が発動する罠を仕掛けたのである。

 周囲の冷気だけで龍は凍っていくも、氷女の動きを制限することには成功している。


「くらえ悪質タックル!」

「なっ!?」


 突進してグラウンドに持ち込む。

 俺の手が片方無いので、敵の腹部に剣を突き刺して下半身を固定。手は俺の足で押さえて、胸の辺りに腰を下ろす。


 剣は固定具にしてしまっているので市販のナイフを取り出すも、瞬く間に凍って砕けてしまった。

 仕方ない。


「歯ァ食いしばれよ体温激低モンスター」


 マウントポジションから拳をふりおろす。背中から氷の剣が突き刺さるのも無視して、左手しか無いのを不便に思いながら。


「【蒼剣山】!」


 敵の体から氷の剣山が生えてきた。飛び退かせるのが狙いだろう。

 正面背面どちらからも串刺しになりながらも、それらを無視して攻撃を続ける。格上相手に傷無しで勝てるわけが無いのは承知の上。負けて死ぬよりかは、勝って死にたい。そんだけだ。


「なめんなよ! 結構死線くぐってきてんだ。退(ひ)いたらダメなのは分かんだよ!」


 氷の剣山によって俺と敵は固定されている。つまりはもう剣による固定は置物だ。逆手で突き刺していた剣を抜いて心臓部に思いきり突き刺した。

 そして体重を前にかけて無理やり斬り裂いた。


 断末魔のような呻き声を上げ、例のごとくモンスターのように薄黒い霧となって消滅していった。


「あーくそ、服が穴だらけじゃねぇか」


 いよいよパンイチとかでいいかもわからん。冬だけど寒くないし、買い換えるのも面倒だし。


「っと、ヤング(妹)ちゃん起きたんだな……なんか髪伸びてるけどイメチェン?」


 氷の領域が解除され、最初に出迎えてくれたのは、宙に浮かぶ成長後のヤング(妹)ちゃんであった。



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