28層 きのこっのこーのこげんきのこ
皆さんはお元気ですか。
私は元気です。親のキノコ(意味深)より見たキノコモンスターを狩り、焼き、食べる。ぶっちゃけ単純作業になっていた。
如何せん生け捕りの方法を色々試しているうちに、このキノコ野郎は、茎? 持つところ? にある顔の鼻から下を切ってやると気絶して1時間ちかくそのまま、経過すると漏れ出る薄黒い霧が尽きて消えてしまう。
つまるところ、同じ位置を切るだけで簡単に手に入るのである。
キノコの種類が違ってもそれは同じらしく、向こうの攻撃を楽しむしか戦闘パートでは楽しみが無くなっていた。
逆に、食事パートは最高だ。
七輪で丸ごと焼いて煙の匂いのついたキノコを、種類によった形で味わえる。中でも分かってきたのは、毒っぽい攻撃をするやつほど普通のキノコと似ているが、パチパチとしていて口の中が楽しいことである。
「リアリーもよく食うなー。俺は美味そうに食うやつは好きだけど、デブは嫌いだぞ。太ったらジムに通わせるからな。いてて」
こいつすぐに噛むな。
知能はあるが沸点は低い。さてはツンデレ美少女擬人化フラグだな?
是非とも早急にしてほしいものだが、それを言うと逆張りでしてくれない気がする。気長に成長と変化を待とう。
そんなこんなでまったりとキノコ食べ放題を満喫していると、急にリアリーが踊り始めた。
「どうしたどうしたー、変なもん当たったか?」
俺の心配を他所に、リアリーは軽快なステップでつま先(?)をコツコツと地面に連打しながら踊り狂い始めた。なんだか楽しそうなので俺も見よう見まねで踊ることに。ちなみに俺はもちろんシラフである。
数十分ほど一緒に踊っていると、急にリアリーがぶっ倒れた。ひっくり返って痙攣までしている。
「毒でも回ったか?」
毒で倒れた人……いや、モンスターの応急処置なんて知るはずもなく、試しに心臓圧迫するやつを試してみる。
「脈ナシ! そもそもモンスターには心臓も血流もナシ!」
次の手は人工呼吸か?
だが、俺に獣を愛でる特殊性癖は無い。
せめて人化していて美少女or美女だったら可能性もあった。悲しい。俺はリアリーのことを諦めた。
出会いがあれば別れもある。旅は道連れ世は情けってやつだ。
「しょぎょーむじょー。あばよ。……さ、マッピングするか」
俺は時折焼ききのこを追加でつまみながら、いつもよりのんびり地図を描いた。キノコのリポップする場所によって味も見た目も違うので、キノコが好きな人なためにも写真を揃えつつしっかり整えたのである。
そうこうしているうちにすっかり明け方になってしまった。
学校行く前に次の階層の触りだけでも見ておこうと階段へ向かう。
「あれ、リアリー。生きてたんだ」
階段付近で待っていたようで、魔石が転がっていた。キノコを撃退する元気も残っていたらしい。いつものポジションに戻り、そのまま眠りについた。
「ほんと、マイペースだなぁ」
少しだけ軽くなった足取りで、29層へ降りるのだった。




