24層 獰猛な鳥だけが癒シンス
24層。
そこは背丈の大きな木々が乱立する野性味溢れる場所だった。
そしてその遥か上空――昼のような明るさの空に、大きめの鳥が何羽も見えた。
「焼き鳥にしたらすげーボリュームになりそ」
やはり焼き鳥はしお。
タレで包んで鳥本来の噛む瞬間を損なわせるなんて言語道断。
焼き鳥のしおの作り方を調べつつ、俺は手近な木を上りはじめる。
「そーらをじゆうに、とーびたーいなー♪ はい、全力ジャンプぅ〜」
太めの枝を足場に、力を込めて跳躍。
軽自動車サイズの鷹へ迫り、そのまま勢い余って鷹の上まで行きそうになった。
慌てて鷹の頭部にあるトサカのようになっている毛を掴む。
「ちょうどいいところに髪の毛あるたぁ、親切なこった! ハゲならこうもならなかったのに、さ!」
“塵舞”を首にブスリと刺して首を胴から分離させる。
……ハゲタカって本当にハゲているのだろうか。
そんなことを考えながら着地。死亡して薄黒い霧になったのを確認して次の獲物の真下へ移動する。
たぶんダンジョンで身体能力も向上している。
先程の感じだと、木に上る必要すらないように思えるのだ。
「獲物発見……待てよ?」
そういえば自身のスキルでまだ試していないことがあった。ものは試しと地面に手を当てる。
別にこの動作は必要ないのだが、やっぱりやるならこちらの方が戦ってる感ある。
「【土龍】」
地面から、今回の鷹くらいなら丸呑みできるサイズの龍が土の身体で出現し、そのまま鷹に突撃する。
そして一撃で仕留めたようで、鷹が薄黒い霧となって散っていった。
残ったのは、鷹より上空で勢いを緩めて落下してきたうんこだけ。
「余韻はともかく、やっぱ威力はかなりのもんだな」
捕まえた大量のGをまとめて倒せた実績もある。
戦闘終了後の見栄えさえ気にしなければ優秀といえるだろう。
射程も相当長いし。
「つぎつぎー」
マッピングを行いながら指をクイッとやって鷹を狩る。
俺の歩いた後にボトボトとうんこが着地する画以外は、それはもうスタイリッシュそのものであった。
「んー、あんま広くないな」
一通り見て周ってマッピングは完了。
それとほぼ同タイミングで昼の空が急激に暗くなっていく。
数羽飛んでいた鷹は、木へと降下。
そして代わりに、人間大の鳥が空へと舞い上がった。
その独特なフォルムは間違いなく、フクロウである。
「昼夜で活動するモンスターが切り替わる階層ってわけか」
途中から木登りをしなくなったからあれだが、していたらスヤスヤなフクロウがいたのかもしれない。
どんなものか確かめるためにも、俺は木を登り、ジャンプで相対する。
一瞬の見つめ合いの末、フクロウが動く。
こちらよりさらに上へ飛び、爪で俺の頭をホールド。そのまま地面に叩きつけようとスカイダイビングよろしく一緒に急降下。
夜目がきかなかったら、いつ地面と接触するかも分からぬまま叩きつけられるのだ。恐怖以外のなにものでもない。
「よゆーのよっちゃんっ!」
ぶら下がっていた足を腹筋だけでグイッと上げ、フクロウの後頭部に蹴りを入れた。
その衝撃で怯んだのか掴む爪の握力が弱まった。
身体を動かして拘束から脱出、お返しにフクロウの頭を掴んだ。
「判決! 市中引き回しの刑!」
フクロウの頭を片手で握り、顔面を地面につけた状態でかがみながらの全力ダッシュ。
しばらく走っていると、ブニブニした感触が消えて、そちらを見てみると薄黒い霧になっていた。
「姿勢は気持ち腰にクるけど楽しいな」
新品のゴムボールに乗って堤防を滑り落ちるような感覚だ。ちょっと気に入ったので十数羽ほどで遊んだ後、25層の入口にピンを刺してから帰還したのだった。
明日は学校だ。修学旅行あったんだし休ませてくれてもいいのに。




