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状況整理

「全員一か所に固まり動くな!!」


オーク達の動きが止まったことで、ザーガさん達の対応が変わった。オークの攻撃が止んだ時、彼らは周りを見渡して何が起きているのか分からないといった感じだった。サリヤ達も攻撃は止めたものの、その行動に違和感を感じていた。周囲のオークの死体を見て動揺する者もいたが、こちらに攻撃を仕掛けてくる事は無かった。


「よいしょ。」


オークが持っていた杖を回収する。固い芯の周りに、ぶよぶよした触手が巻き付けてあるようだ。


「レイト。その杖を凍らせて。」


「え?大丈夫ですか?大切な証拠なんじゃあ?」


「触手が出てきてあなたを操るかもしれないでしょう?」


「・・・それは嫌だ。」


《アイスホールド》


杖を氷で覆う。


「ついでにこのオークも。」


動かないオークも顔以外を凍らせておく。


「そうだ!インフィさん!」


壁まで吹っ飛ばしてしまったインフィさんの元へ向かう。壁にたたきつけてしまい、気を失っている。


「・・・取り合えず死んではいないようです。」


「ほっ。良かった。」


「それにしても水魔法から氷魔法につなげるとは。貴方の魔法の使い方は日々成長していますね。」


「えっ?あ、ありがとうございます。」


こんな場所だが顔を見て直球で褒められると照れてしまう。


「魔法の成長もですが、戦いに対する理解も深まっているようですね。何かそういった鍛錬をしているのですか?私といるときはしていなかったと思いますが。」


「え、えーっと。」


夢の中でミナとやっていたとはあまり言いづらい。


「こ、この世界に慣れてきたからじゃないですかね?」


「・・・遠くから少し見ただけですが、あの戦い方は見覚えがある気がします。」


「え、ええ?そうですかね?」


サリヤ程達人になると戦い方で分かっちゃうのか?


「・・・・・・。」


「うぅ。」


サリヤからの冷ややかな視線が痛い。


「まあ良いでしょう。貴方が馴染んできたのは嬉しい事です。」


「ほっ。」


「サリヤ殿!レイト殿!」


安堵しているとザーガさんがやってきた。


「ひとまずオーク達を落ち着かせることが出来ました。今は全員の元の集落の場所を確認しています。」


「そうですか。」


「操られる前は頭の中で彼らを呼ぶ声がしていたようですが今はしていないと。そして先ほどまでのように操られたり、自我が無くなるようなことは無い様です。」


「ってことはあの杖であのオークが操ってたのかな?」


「かもしれませんね。彼のように触手を入れられた者はいましたか?」


「恐らくいません。彼らの操られる前の最後の記憶は洞窟内であの杖に何かの魔法をかけられたところだそうです。頭の中に触手の違和感を持つものもいないようです。」


「なるほど。では謎の声でオーク達を誘拐し、あの杖で操る魔法をかけたようですね。袋の中身はやはり子供でしたか?」


「はい。ここにいたオークの子供だったようです。子供には睡眠を強いる魔法がかけられていたようですが、今は解かれています。幸いにも全員の親はここにいたようで、再会することが出来たようです。」


ザーガさんの後ろを除くと抱き合っているオークが何体もいる。


「殺してしまった中に親が居なくて良かったです。」


「そうとう遠くから集められたオークもいるようで、もしかしたら魔界全土から集められたのかもしれません。」


「うぅ。」


話をしていると杖を持っていたオークが目を覚ましたようで、周囲の状況を確認している。


「こ、これは!何故使役魔法が解けているのだ!?」


慌ててて周囲を見渡し俺が持っている杖を見た。


「人間!貴様!その杖を返せ!」


「嫌ですよ。これを返したらまたオークを操るんでしょう?」


「ぐぅ・・・。ち、違う!デメテル様の導きを教えているのだ!」


「導きを教えられただけで操られたら怖すぎますよ・・・。」


「あなたとインフィの会話を聞いていました。デメテルのお考えとはなんでしょう。そしてこの人間とどう関係があるのですか?」


「うぅぅ。」


サリヤの迫力に圧されてうろたえている。


「まあ答えなくても良いです。オフルス国に連行してしっかりと尋問しますので。」


「ぐぅぅぅぅ!!」


ものすごい悔しそうな顔を一か所に集まっているオーク達の方に向けた。


「おい!何をしている!私を助けろ!!」


だがオーク達は動こうとしない。


「同じオークだろう!同じデメテル様の子ではないか!何故助けない!」


「お前の蛮行のせいだろう。」


ザーガさんが歩み寄る。


「元々オーク達は頭の中の声に導かれ集まった。その声は母のように優しい声で抗うことが出来なかった。そして集まった場所にお前がいて、人間を探すために力を貸せと言われたと。それだけなら良いが断ったオークにその杖で使役魔法をかけたそうだな。そしてそれを見て怯えてしまった他のオークにも同じように使役魔法をかけたと。」


「ってことは結局全員無理矢理操ってるじゃないですか。何が導きですか。」


思わず呆れてしまう。


「ぐぅ・・・。デメテル様のお導きが叶えば全てのオークが夢の世界に行けるのだ!迫害などされない夢の世界に!だがそこにいる同胞たちはそれを断った!夢の世界など行かないと!迫害など今はされてないと!そんなことはない!デメテル様はずっと迫害に苦しんでおられるのだ!だから我らオークでお救いするのだ!!」


「・・・結局デメテルの為?」


「こうまでしてオークを動員してレイト殿を狙う理由とはデメテルの為と。しかし何故レイト殿を?」


「まあ、ここで問答をしていても吐かないでしょうから早くオフルス国に戻りましょう。」


サリヤが杖のオークの口を氷で塞いだ。


「そうですね。レイト殿を探していたという事は、他の国でも同じような襲撃が起きているかもしれません。急ぎましょう。」


「レイトはインフィを持ってきてください。」


俺が持っていた杖を取り、インフィさんの方に視線をやった。


「了解です。」


インフィさんに近づくとまだ気絶しているようだったので、何とか背中に背負った。後ろ手に大剣も持つと大分重い。


「おっとっと。」


バランスを崩しそうになりながらもサリヤについていく。


「うぅ。」


すると背中のインフィさんがうめき声をあげて体が少し動いた。


「あっ、起きました?」


顔を向けると


「ううう。」


俺を見るインフィさんの目は、まだ血走っていた。


「うぁぁぁぁぁぁ!!!!」


そして叫び声をあげたインフィさんの頭から触手が生えだした!

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