能力初心者ガイダンス その1
「僕からだね。さっきも言ったけど名前は松島。まずは能力について言わなきゃね。実はね、なぜ能力が備わったのかは、わからないんだ」
松島と名乗る長身の男は続ける。額には変わった模様のバンダナを巻いている。
「もしかすると目覚めたとか覚醒したって言葉の方が当てはまるのかもね。で、僕は能力を行使すると透明になれる」と実際にやって見せた。
「本当だ……。皆、能力を持っているんですか?」
塔矢は辺りの顔ぶれを見渡す。
「そうだね。北雷、君の能力を説明してやってくれ」
大男は、ああ、とだけぶっきらぼうに言い、塔矢の体を起こした。そして塔矢は、殴られた。
「これで目ぇ覚ましただろ? しっかりと見とけよ。俺の能力は……」反射的に目を見開いた。いつの間にか北雷の手元には戦鎚があった。
「俺はこいつで1人殺した。破壊をそのまま武器にした代物だ。うっかり壊されないように気をつけるんだな」
「仕方ないことだよ。じゃなければ僕も君も死んでいただろう」松島が割って入る。
「次は亀崎君と黒野さん、いいかな」
塔矢は松島の顔を一瞥して振り向く。後ろには小柄でやつれた男子生徒と凛とした顔つきの女子生徒がいた。
「俺は田之口 星、よろしくな。2年A組だった。能力の説明だよな。笑わないでくれよ? 手から光る玉を出したり、直接手を光らせることもできる。正直、ここのメンバーの中で1番使えねえや」なんともひ弱な外見をしている。それでもここまで生き延びたのだ。それなりの実力があるに違いない。
「もういいかしら? 私は黒野 桜。田之口君と同じく2年生よ。私の能力は、物を弾き飛ばす力ね」黒髪ロングヘア、黒タイツ。まさに黒というイメージだ。それに付け加え、どこかの誰かとは違って豊満な体つきをしているのが服の上からでもわかる。
「そして最後だが、前川さん。塔矢君とは顔見知りのようだね」松島の発言に千紗は、
「はい、幼馴染ってやつですね!」と答える。薄く浮かんだ涙を拭いながら。塔矢は思う。見てくれは良いのだが、体型では黒野に敵わないと。小柄でつるぺたなのだ。
「塔矢の体、痛くないでしょ? 私が治したんだよ! 人の体を治療できる能力って言えばいいかな。塔矢が起きてくれて本当によかったよ!」千紗がにかっと笑う。体だけでなく心も癒された気がした。
「最後は俺だな。まあ知ってると思うけど、猖右 仁だ。塔矢、無事で良かったよ。俺の能力は刃だ。難しくて説明しづらいんだが、体を刃にできるって思ってくれ。あと、刃のようなものを飛ばすこともできる。さっき田嶋に使ったのはそれだ」
体格は塔矢と同じくらいだが、坊主頭で制服を着崩しているのもあって気迫がある。誰が見ても不良だと思うだろう。
塔矢は全員の顔を一瞥して、
「霞 塔矢 、1年A組。よろしくお願いします。それと、助けてくれてありがとうございました」と言い頭を深く下げた。




