王都へ向かおう!ーその13-
昨日からの続きです^-^
「王家の人間には自由はない。男に生まれれば次の王にと派閥を作られ努力を強いられ、女に生まれれば、他所との絆の為の道具としか見られぬ。なので儂と王妃は跡継ぎに男の子一人と、もし他所の国との婚姻が必要なればと女の子一人を作り、その時が来るまではせめて、と自由に育てておった。そして争いの起きぬ様それ以上子を生す事をしようとは思わなかった。だが、思わぬ事があった。王家の人間と付き合おうと、それを利用することなく、逆に守り抜ける方がお生まれになるとお告げがあったのだ。それを聞いた時、王家の人間なのに、将来自由に過ごす事の出来る子を持つ事が出来ると思うと嬉しくなり、王妃と話し合い生れてきたのがマリカ、お前なのだ。だが、その方とつり合いをとる為にはと、他の子にはない習い事などを強要したりもした事を許して欲しい。そして、儂からの言葉をよく聞いておいて欲しい。王子エウリス、王女アンジェリカ、そして許嫁となるマリカよ、正直に言おう、そのお方は、女神アウラニース様より巫女エレオノーラ様に告げられた神託によれば、まごう事なき神王なのだそうだ。そしてこの5年間で、宰相のベトルスの息子エルネスト、近衛のイアンの息子アルフォンスを側近にと出していたのだが、その二人のみではなく辺境伯であるメルゼール伯からも、それが真実であると確認のとれる事を報告してきておる。この世界のたかが一国の王程度で敵対してよいお方ではない事を頭に置いて付き合っていってほしい。これが今日の食事会の大事な話の全てだ」
王はその長い説明の話をし終わると、子供達の方を向き笑顔を見せる。その様子に告げられたことが真実なのであろうという事が判り、
「それが真実であれば、どの様に付き合えば・・・・」
事の大きさに、悩めるような態度の王子エウリスの呟きに続き、王女アンジェリカは違う事を王と王妃に、
「父上と母上にも若い時から自由はなかったのですか?」
両親への質問に、
「ああ、ソフィアは伯爵家の御令嬢でね。幼馴染ではあったので、お互いそれだけは運が良かったといまだに思うが、あとは決められたレールを外す事を許される事なく過ごして来たよ。だが国民の為にと努力し学び続ける事を悪い事だとは思ってはいない。寧ろ当然の勤めなのだ。なので、臣下や国民に見限られる事なく国王を続けてこれたよ」
王のその答えを聞いて、更に思い悩む王子に、
「お前は恵まれておるな」
笑顔でそう話しかける。真意が判らず、
「父上、何がでしょう?」
教えて欲しく思い、そう訊ねると、
「儂が若い時には、周り全部が儂を蹴落とす敵に見え、腹の探り合いで付き合いたくない者ともつき合わされ、そして身につけたい学問や情報も、まずはどれが真実かを見極めねばならなかったのだが」
過去を思い、そう言いつつ、マリカの方にも笑顔を向け、
「兄弟で争いを起こすことなく付き合っていける生涯の友を持て、全ての事を教えてもらえ、尚且つ国が栄える方法までも与えられているのだ、幸せな事であろう」
王子達へとそう話し、
「貴族たちの拝礼の前に、一度この家族の晩餐に来ていただくか? 皆の前での態度も決めておかねばならぬしな。事前に人となりが判った方が付き合いやすいだろうしな。但し、エウリスよ、偉いと思う心は捨てておけよ」
王がそう冗談を含めて言うと、王子もやっと笑顔を見せ、
「判りました父上、是非、生涯の友になって頂きましょう」
笑顔でそう答えるのだった。そこでやっと口を開いたマリカが、
「私は父上、母上に嫌われていて、自由にさせてもらえず、習い事をさせられ、嫁ぎ先をも決められているものと思っていました」
小さな声でそう話すと、
「とんでもないぞ、お前は儂達の希望なのだ、王族という事に縛られず、自由に羽ばたく事を許されるという将来を約束されている、な。ただ、まあ今はあのお方の伴侶として恥ずかしくない程度には。と、親として習い事を強要した事もそう思う理由なのだろうから、気持ちは判るのだが、決してお前を大事に思っていないなどという事ではないぞ」
娘の心の内の気持ちを初めて聞いた、王ではなく親としてそう告げると、こちらもやっと安心した顔をしてマリカは期待も含め、
「事前にお会い出来るのは嬉しいのですが、どの様な方なのでしょう? 怖い方なのでしょうか?」
不安に思える事を素直に聞いてみると、王も困ったように、
「事前に聞いた話によると、見目は麗しく神童と評判になるほどの快活さをお持ちの様で、獣人の子供達を保護したりと心も優しそうなのではあるが・・・・、その一方、盗賊、海賊、魔物をただお一人で壊滅させるほどのお方だそうな。なので、やはり、会わぬと判断出来ないかもしれんな」
判断基準が明確でない事を悩みつつ、皆の顔を見渡し思いを読み取り、
「王都に辿り着かれたら、使いを送り、取り敢えず一度顔合わせをお願いしよう」
家族に向かい、そう締めくくると、皆もその意見を肯定するかの如く全員で頷きつつ、その日の晩餐を過ごしてゆくのだった。
一方その頃、王城でそんな会話が行われている事を知らないアルギュロス家一行は、幌馬車でのんびり王都への道程を音楽を演奏し、会話を盛り上げつつ、急ぐことなく楽し気に進んでいるのだった。
何とか2話でまとまりましたです^-^;




