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王都へ向かおう!ーその12-

今回は王都側のお話です。

 順調に王都への旅を続けるアルギュロス家一行。然したる問題も起きずのんびりとした速度の幌馬車で、皆で楽しく会話しつつ進んでいた。一方、続々と貴族の集まってきている王都、その中心たるエスターレ城では、一人の少女が悩んでいるのだった。


「ねえ、ばあや、私は父上、母上に嫌われているのでしょうか?」


 城の一室で傍に居る乳母にそう訊ねると、


「王様や王妃様がですか? そんな事はないのですが、どうしてそうお思いなのでしょうか?」


 乳母は、その少女、マリカに向かいそう告げると、


「兄上や姉上は、貴族へのお披露目を学園に行かれる前の7歳で行われたのに、私は早くもう今年に行うそうですもの。それに、私には兄上や姉上と違い習い事が沢山あるし、何より嫁いでいく先が既に決められているのですもの」


 悲しそうな顔でそう答えてきた。なので乳母はやさしく、


「私の知る限り嫌われているという事は絶対にありません。それに今日は、王様、王妃様が珍しく時間が空いているそうなので、家族の皆で夕食を、と仰っていましたので、その時に思い切って聞いてみてはいかがですか?」


 王女へとそう語り掛ける。なのでマリカは、


「答えてもらえるでしょうか?」


 不安な顔で、乳母へとそう話しかけ、その時間を待つのだった。そして時は進み夕食の時間になると侍女が食堂にと告げにきたので、家族の待つ食堂へと向かう。お客が来た時にも使われるそこはかなり広く、5名程度では空いている空間の方が多く寂しくすらある。皆、取り敢えずいつもの決められた席に着くと、おもむろに王が、


「今日は皆に話しておきたい事もあったので、この時間を作り集まったのだが、普段の話も聞きたいので、それぞれ最近の事を聞かせてくれ」


 家族に向かい、そう告げると、王妃も、


「普段、様子を見に行きたくても気軽には行けないものね。出来るなら話だけではなくこの目で見に行きたいとは思っているのだけれど」


 残念そうに子供達に話し掛けていた。なので兄弟の一番上の王子がまず最近の学園生活の様子や授業で出た事、剣術を学んだことなどを告げると、次は姉の王女が話し出した。二人とも楽しそうに最近の様子を話していたが、その話を聞くにつれ、


 私とは違い、自分が学びたい事を学び、自由な時間も自分で作れるのですね。などと考えつつ、暗い顔になりかけている時、父上より、


「最後にマリカの話を聞く番なのだが、その前に、皆に話しておかねばならない事がある」


 王妃と目配せしつつ、真剣な顔をしたマテウス王は、子供達を順に見つめつつ一旦間をあける。その様子に何事だろうと、兄も姉も私も緊張を隠せずにいる。すると、前置きとして一つの事実を話すために色々な事を説明せねばならないので長くはなるが、と言うと、


「まず今回のマリカのお披露目なのだが、正直に言うとメインとなるのはマリカではない」


 衝撃の言葉を告げる、皆驚きつつも話を聞き続けると、


「マリカの披露を急いだのは、一人の方を王都に招く口実なのだ。その方を王子とマリカに会せようと思ってな」


 二人にそう話し、理解できない王子は、


「一人の方ですか? どのような方なのでしょう?」


 疑問を素直に口にする。それに答えるかのように、マテウス王は、


「この国の辺境にあるシールズという街に新しく出来たアルギュロス男爵家の子供で、名をセオス様という。マリカと同い年であり婚約者だ。で、今回来てもらい出来れば王都の学園にマリカと共に通ってもらう様話をする為、お披露目をこの年にすることにした。本来の7歳で行えば、あの方は間違いなくシールズの学園にお通いになるだろうからな。それだと王子と学友になってもらう事も難しくなるのでな」


 王子へとそう言ってくる。その話自体は皆何とか理解したのだが、途中途中のマリカと同じ年という子供に対しての、この国の王たる者の遜り方に違和感を感じえず、王子は堪らず、


「その子供と友誼を結べばいいのですか? 話し掛ければ向こうから来るのでは?」


 普段通りに、単純に考えそう言うと、王は頭を抑えながら、


「やはり今日前もって集まって話をしていてよかったと思う。その王子などという思い上がりをその方の前で出したなら、間違いなく儂はお前を王子の座より外さねばならなくなる処だったからな」


 真剣に王子へとそう告げ、


「世には上には、上というものがある。そもそも王とは国の上に立つものではない。国民である皆を支える為の土台だと考えよ。その為に、国民より食べさせてもらい良い生活が出来ているのだと」


 王子達、兄弟を見据えながら言うと、恐縮しだした王子に優しい笑顔に変え、


「まあ、儂も若い時には勘違いした事もあったので、今学べたのだと思えばいいのだ」


 優しくそう諭すのだった。で、次にやっとマリカの方に笑顔を向け、


「儂と、ソフィアの昔からの気持ちを聞いてくれるかな、マリカ」


 彼女へと話し掛け、


「は、はい。父上」


 すぐにそう返事をすると、マテウス王は話し始めるのだった。

一話で、終わりませんでした;-;

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