王都へ向かおう!ーその6-
本日一話目です。
結構な人数になったのだが、大丈夫かな? などと思いつつも、お客さんは多くて賑やかな方が良いはず、と、気にせず向かう。皆仲良く? 話しながら歩いて行く様子に、ひとまず安心しつつ目的地へと進んで行くと、見えてきた露店に何故か人だかりが出来ていた。皆顔を見合わせつつ、
「何かあったのでしょうか?」
「凄い人だかりね」
集まっている人の多さにそう言い、足早に近づこうとすると、辺りに良い匂いが立ち込めている。なので、
うむ、この匂いに魅かれて集まってきているのですね。と思いつつ、店へと辿り着くと、
「おお、やっと来てくれたか。最初は坊主に、と、客を断っていたら周りがこうなってな。味も匂いと同様に満足できる出来だと思うぞ」
店主のその言葉に、我より先に姉上が、
「じゃあ、じゃんじゃん焼いて下さいな。家で待ってる子達にも持って帰るので、どれだけ出されても大丈夫よ」
勢いよくそう告げていた。それに対し、
「お、坊主の姉ちゃんも来たのか。で、この前来た子達は家で待ってるのか? じゃあ、頑張って焼かないとな」
こちらに向け、そう言いつつ、すぐに焼きに入ってくれたので、我も、
「ブレプスさん、よろしくお願いします。」
大勢できた断りを言いつつ出来るのを待つ事にする。で、今まで来た時はそれ程大人数ではなく、持ち帰る事もあったので気にならなかったのだが、周りを見ると落ち着いて待つ場所がないというのに気が付いた。なので、バックへと手を入れると何時もの如く、丸テーブルとイスを何セットかずつイメージすると、
「万物創造」
一旦中へと創り出し、皆に、
「すいません、少し場所を開けて頂いてもいいでしょうか?」
声を掛けていき、開けて頂いた場所に、次々と創った物をバッグより出していった。その様子を見ていた周りの者が暫し騒然となるが、取り出した子供の周りに居る者が誰も驚いていない事に気が付くと、落ち着きを取り戻していった。なので、
「お待ちの皆さんも、どうぞお座りになってお待ちを」
そう声を掛けると、
「ありがと~、セオ君」
「ありがとう御座います、セオス様」
「ありがとう、セオス君」
地面に座るわけにもいかない女性陣たちが、最初にお礼を言いながらイスに座り出すのを見て、周りの人達も、遠慮しつつもようやく腰を落ち着けるのだった。で、最初に焼けた物を持った店主がその場所をみて、
「このテーブルとイスは?」
こちらにそう訊ねてきたので、
「これからはこの露店も、かなり忙しくなると思うので、こういう物も要るかと思いまして」
店主へとそう答えると、
「これも坊主が? だとすると恩が大きすぎて当分返し終われねえな。取り敢えず種類が増えて4つになったんでそれぞれ持ってきたので、後で味の感想を聞かせてくれ。それで値段を決めてえからな」
皆に向けそう言い、次を焼くために戻っていく店主を見つつ、出された串焼きを見ると、既に両手に串を持ち、
「あ~、どれも美味し~。これはどれだけでも食べれるわ」
笑顔で美味しそうに食べながらそう言う、領主の娘とは思えない姉上を見つつ、
まぁ、そこが良いところなのですが、ね。などと考えながら皆と楽しく話をしながら食べるのだった。で、途中ある程度焼き終えた、ブレプスがやって来て、
「どうかな? 味の方は?」
皆にそう聞いて来ると、食べていた皆が揃って、
「「「美味しいです」」」
店主へとそう答えていた。それを満足そうに聞きつつも、
「だがこのままだと他の客に出す分の材料がな・・・・」
心配そうにそう言ってきたので、ついでに皆にもと、
「え~と、皆さんちょっと聞いてもらっていいですか。今から一週間しない内に、王都の方に我が家族総出で出掛けるので、街を暫く留守にします。友達になった皆も暫く依頼を一緒にできませんし、ギルドの方にも依頼を受けられず迷惑を掛けますが、なるべく早く戻りますので、よろしくお願いします。それと、ブレプスさん、肉の方はギルドに新しく出来た保管庫の方に、ギルドの方々にお願いして預けてありますので、必要な分は取りに行ってもらえれば、貰えるようになっていますから」
皆にそう話すと、ブレプスはギルドマスターと受付嬢を見つつ、
「本当に?」
二人に確認の為、そう訊ねると、
「はい。ちゃんと頼まれて了承しておりますので、いつでも取りにお伺いください」
ブレプスへと返事をしてくれているのだった。それを聞いたブレプスは、
「こんなに至れり尽くせりして貰ったんじゃ、更に頑張らねえとな。坊主に恥ずかしくない様に」
照れながら、そう言いつつ、気合を入れ直し焼き場へと戻っていった。で、子供達皆も、
「リーダー、早く帰ってきてくださいよ」
「セオス君、早く帰って来てね、待ってるからね」
「ついて行けないのが、残念です」
それぞれが我に声を掛けてくれた。一柱過ごした時間の中では掛けられる事のなかった言葉に、
友を持つというのは良いものですね。と思いつつ、皆に向け、
「なるべく早く街に戻りますからね」
笑顔で感謝を伝えるように、そう答えたのだった。
休日2話ですので、夜の分で出発できるかと^-^;




