街に出ようーその22-
すいませんです、忙しくて遅くなりましたですです。
翌日、朝目が覚めると、清算を終わらせる為、ギルドへと向かう事にした。昨日の事はエルネストがうまくやってくれるだろうという事で、すぐに家族に挨拶を済ませ屋敷をあとにした。今日からは依頼を無理に受ける必要もないので、のんびりとした足取りで向かう。途中途中目に付く屋台へと顔を出しつつ街の風景を眺めながら歩いてゆく。途中の小物雑貨の店で綺麗なペンダントを見つけると、
そういえば、昨日の父上の話もそうだが、母上も無駄遣いなどせず、こういう物を持っておられないな。父上の物も創った事だし、母上にも。そう考え、またもバックの中に手を入れ、中心に母上の髪を思わせるような、透き通るような清潔な水色をした宝石を、両サイドを下から上へと天使の羽が包み込むようなイメージで固定すると、
「万物創造」
喜んでもらえるかな? そう思いつつ創り出し、夕食の時にでも渡そうと、そのまま収納しておくのだった。そんな事をしながらも、無事ギルドへと辿り着き、中へと入り、いつも通りカウンターを目指すと、如何にも寝不足ですと言わんばかりの職員たちと、やはり疲れたような、ヴィオラが、
「おはよう御座います、セオス君」
「おはよう御座います。ヴィオラお姉さん。皆さんずいぶん・・・・」
職員たちの顔色を見つつ、そう素直に表現すると、苦い表情をしながらも、
「さすがに一度にあの数の解体作業をするとこうなりますね」
こちらに向かい、そう言ってきたので、
「何だかすいません」
苦労をかけたなと、そう言うと、
「いいえ、依頼を受けて頂き、解決していただいたのですから、謝られることは何も。ただ予想以上の成果であったと言うだけで。で、申し訳ないのですが・・」
話の途中で表情を曇らせ、言いよどんだ。なので何事かと思い、
「えっと、何かあったのですか?」
彼女にそう問いかけると、
「討伐依頼の代金は、お約束していたので予想以上の数でしたが責任を持って払うのですが、魔物の討伐証明部位以外の買い取りが数が多すぎて在庫になりすぎるうえ、職員にも解体手数料を払う事になりますので、金額が予想以上にお安く・・」
言い難そうにそう答えてきたので、
「お幾らになったのでしょう?」
態度を変えず訊ねると、
「二百七匹の依頼と買取で、何とかきりのいいとこまで上げて頂き、35万Gにしていただきましたが・・・・少しずつ売ってこの量でしたら普通なら40万Gはするのですが、一度に売ってしまったので・・・・安いですよね」
申し訳なさそうに言ってきたので、笑顔で、
「なんだ、そんな事ですか。その金額で全然問題ありませんよ。出ないとかなら問題ですが・・・その位出してもらえれば目標額には届いていますので」
笑顔でそう話しかけると、向こうもやっとほっとした表情になり、
「よかった、機嫌を損ねられたりしたら大変だと、マスターも心配してらしたもので、余程の事かと・・・・」
安心したように、そう言ってきたので、
「いえ、それは心配し過ぎという物ですよ。もともとは盗賊退治した時に助けた女の子達をうちで雇う事にしたのですが、着の身着のままで助けたので、必要な物をプレゼントしようかと、で、我が言い出した手前、父上に全部お金を出させる、と言うのもどうかと思ってお金を稼いでいただけですから」
ヴィオラに向かい、そう言うと、
「あ、この前うちの領の騎士団が連行していた盗賊たち、あれもセオス君だったのですね。そこまでは知りませんでした。でもやはり凄いというか、規格外というか・・・・もう、色々常識外ですね」
思っている事を隠すことなく、そこまで言われ、
「そうなんでしょか?」
首を傾けて訊ねると、
「か、可愛いので、その聞き方は・・・・」
口ごもりつつ、赤くなりながらも、
「とにかく今回の依頼分の35万Gです。お受け取り下さい」
袋に入れた貨幣を、そう言って手渡してきたので、
「有難う御座います」
素直にそう言って受け取り、これも無限収納バックに入れておくのだった。その後は掲示板を見に行き、無理に稼ぐことはないので、いい依頼がなければ受けずに帰ろうと、見るだけ見ていると、定番の薬草採取とゴブリンの依頼位しか残っていなかったので、挨拶をしてギルドをでる。で、今日は街を見るだけにして屋敷へと帰る事にし、最近ゆっくり話すことがなかったな、と家族と話しながら過ごす事にした。家に帰りつき、母上を探すと、夕食の時に出も、と考えていたペンダントを手渡す、
「母上、これをどうぞ。我からの初プレゼントです」
我がそう言うと、最初品物を見てポカンとしていたが、目に涙を浮かべ、
「ありがとう、気を使わなくていいのよ。セオスは十分いい子に育ってくれているのだから、それだけでも立派な親孝行ですよ」
母上はそう言って久し振りり抱きしめてくれた。何だか照れくさいが嬉しくもあり、
「これからも、父上母上が恥ずかしがらなくて済む位には良い子に出来るようになりたいと思います」
我の両親に対しての気持ちを言うと、母上は笑顔で、
「はいはい、いまでももう十分ですから、元気に育ってくれるだけでいいのよ」
笑顔でそう言って、続けて久し振りに色んな話をしたのだった。まだ屋敷より出れぬ時は毎日一緒だったので、何だか久しぶりの感じがしたが、母上は大変うれしそうだった。夕食時までそれは続き、家族たちが集まる中、貰ったペンダントを首より下げニコニコと話す様子を皆も楽しそうに見ながら過ごすのだった。
もすこし早く書き込みたかったのですがすいませんです。遅くなりましたがお読みくださいです。




