街に出ようーその21-
あう、番外編の様な屋敷回になってしまいました・・
清算が明日という事になり、今日はもう屋敷へと戻ることにして、ギルドを後にする。今回の清算が終われば多分資金的には問題ない位にはなっただろうと思いながら帰路につき、屋敷へと辿り着くと父上とエルネストの話し声が聞こえてきた。なので耳を澄ませてみると、
「う~~ん、もうそんな時期なのか。行きたくはないが・・それに今回はセオスも連れていく事になりそうだし、あの手の話は聞かせたくはないのだが・・・・」
「と言われましても、貴族様方のお家自慢、家宝自慢はもう慣例になっておりますので・・・・カイン様、そろそろアルギュロス家でも何か購入しますか? ここをお継ぎになった際、前領主が不正に手に入れた物全て処分され、領民の為に使われたのですが、そろそろ領も落ち着き黒字も増えております。この家の為に少しは使われても領民も何も言わないと思うのですが・・・・」
「しかし、そんな自慢する為だけの物の為に、せっかくの黒字を使うのもな~。他の貴族より元農民と馬鹿にされても、領民の為になる事の方に税は使いたいのだが・・・・私はいいのだが・・息子にまで惨めな思いはさせたくはないのだが、な・・・・」
「そんな所が、この領に配属になり貴方に仕えられて良かったと心より思えるところなのですが、実際、賢王と言われる今の王家にすら権威を表そうとする品々はありますので、それを考えると仕方のない事かと・・・・」
二人して家宝について話し込んでいた。最後まで決着はつかず先送りにしたようなので、話し終えて持ち場に戻ろうとしたエルネストを呼び止め、
「エルネストさん、お疲れさま。今のお話は?」
何故そのような話をしていたのか気になり、そう訊ねると、
「年に一度王家が主催する王族への、貴族たちの拝礼の式典がもうすぐなのですが、今年から末姫のマリカ様もお出になるそうなので、他の貴族たちへの顔見世も含めセオス様も連れて行こうか、と言う話だったのですが・・・・」
我には言いにくいのか、お茶を濁す口振りだったので、
「だったのですが?」
エルネストに向け、話の続きをと促すと、
「毎年貴族になってからというもの、カイン様は他の貴族より家宝も持てぬ貧乏貴族と言われ続けておられたのですが、それでも領民を、と頑なに家宝は買われませんでした。しかし今年はセオス様もいらっしゃるとの事なので、貴方様にはそういう思いをして欲しくはない、と」
父上は悩んでいたという事だったので、
「その気遣いは大変嬉しく思いますが、父上がされている事が、真の領主だと我も思います。なので、エルネストさんが気を回して買い付けることなどないように、それと父上には内緒にして欲しいのですが、家宝となるものは、心当たりがありますので<創りますので>大丈夫ですよ。」
我がそう答えると、驚愕して、
「貴族が家宝として誇れるものを、ですか? 万が一の為御見せ頂きたいのですが?」
こちらに向かい、そう言ってきたので、
うむ、懐刀を悩ませても仕方ないしね。で、持っていける剣でいいかな?腰に下げられるくらいの剣で尚且つ装飾は持った手を龍が守るように伸びていて、鍔元にもその龍の手が両サイドに伸びている感じで、柄の先端に赤い宝石をはめ、刃は神鋼で六十センチ位、全体で八十センチちょい位で・・・・などと明確に剣のイメージを固めながら、無限収納のバックへとわざと手を入れ、
「万物創造」
小声でそう呟きながら、バックの中で創りだし、入れていた物を取り出したかのように見せ、
「エルネストさん、これを我がアルギュロス家の家宝として式典の際、貴族が集まった時に父上に渡してください。その時に、神よりエレオノーラ様に神託があり、我が家にこれが授けられた。と言っておいてくださいね」
創り出した剣を、そう言って手渡す。エルネストは、その一振りの剣を受け取ると、鞘より抜き、刀身を見て震えながら、
「あ、有難う御座います、セオス様。これはこの世界中を探しても比べる物がない程の家宝に相応しい物となるでしょう。し、しかし、一つ問題が・・・・」
心配そうにそう言ってきたので、うむ? 品物的には問題ないはずだが? などと思いながら、
「エルネストさん、何が問題なのでしょう?」
エルネストに、そう問いかけると、
「新しく出来たばかりの新参のそれも男爵程度がこの様な、王すら持てぬような物を神より授かったとなると、他の貴族のやっかみが更に酷くなりましょう。せめて王が何か持っていれば・・」
格たる理由を我に答えてきたので、
うむ、さすがです、エルネストさん。そこまで周りの先々の気持ちにまで考慮しているとは・・そう思い、ならば、とまた頭の中で短い杖、王錫、龍が寄り添うよう巻き付き碧き大きい宝石が先端に付いている様子を思いうかべ、バックへとまた手を入れて、
「万物創造」
今度もまた、聞こえぬ様そう呟き、創りだすとエルネストに、
「エルネストさん、これを事前に王へ神より授かったと渡せますか?」
今創り出した王錫を、そう言って手渡すと、今度も持った手を震わせながら、
「必ず、王へ届けましょう。これで王が恥をかく事も、我が家が恥をかく事もないはず。有難う御座います、セオス様」
感動したように、そう言ってきたので、
「いいえ、これは領民の為にと尽くす、王と領主への神の褒美です。なので御礼は神様にでも」
頭を下げ礼を言うエルネストに背を向け、笑ってそう言ってその場を立ち去った。父上の問題が一つ片付いたかと、その日の晩は気持ちよく過ごし過ぎてゆくのだった。
その晩、呼び出されたアルフォンスはエルネストより手渡された品を持ち王都を早馬で目指す。数日掛け無事届け終わると安堵の息を吐き、
「あんなこの世の物と思えない様なシロモノ、預けられたら、身が持たないな」
一人そう呟くのだった。そして伝達の魔道具でエルネストより報告を受けていた王はその王錫を受け取ると、
「さ、さすがの一品としか言いようがない。これが神以外では創れぬものと、見る者が見ればすぐに判るであろう。これを我に下さるとは。大切に王家の新たな象徴とする家宝にいたします」
飽きる事無く見つめつつ、そう言って一日中その王錫を大事そうに手元に置きつつ過ごすのだった。
今後王都に出る伏線なのですが・・わかりずらいですよね^-^;




