街に出ようーその20-
うにゅ、清算話だけのつもりが・・一話で終わらず・・
シルフィーネを伴い街まで戻ってくると、さっそく報告の為、ギルドを目指す。街往く人々も夕方になりつつある今の時間は忙しそうだ。そろそろ冒険者たちも帰ってくる時間なので混む前に済ませてしまおうと、足を速める。建物にたどり着き中を覗き込むと、やはりちらほら戻って来ている冒険者たちが目に入る。なのでさっそくカウンターを目指し、既に担当とかしているヴィオラ嬢の元へ行くと、
「お疲れ様です、ヴィオラお姉さん」
「お疲れさま、セオス君。アントの報告よね? 少しは数を減らせたかな?」
顔を合わせ、お互い挨拶をすると、ついでに今日の成果を訊ねらたので、
「はい、廃坑にいた蟻は全滅させて来ましたよ」
すぐにそう答えると、
「・・・・・・・・・・へ? たしか何百かいると報告がきてたような・・・・普通パーティでも一日四、五匹・・・・オークの集団の時は四十という数字でもまだ納得できたのですが・・・・理解不能です。もしかして・・・・討伐部位も本体ごと全部?」
話を聞いた後、自分を説得するような呟きと共に質問してきたので、
「はい、丸ごと全部ですね。で、どこに出しましょうか?」
彼女への返事と共に、質問を返すと、
「何匹位いるの?」
恐る恐るという感じで、こちらに向け、そう確認してきたので、
「二百七匹かな? でっかいボス? クイーン? の様な奴も含めてですが」
倒した魔物の数について、そう答えると、目を丸くしながら、
「大討伐の依頼を組む前に、被害を増やさない為の応急処置での間引きの依頼で、それも個人で受けてて全滅させるなんて・・・・今まで受付してきて聞いたこともないわ。取り敢えず、他の職員にも相談して解体も出来る場所を確保してもらうので、ちょっと待ってて下さいね」
ヴィオラよりそう言われ、
「うむ、どれ位掛かりそうかな? 掛かる時間によっては出直してもいいけど?」
気を遣い、そう言うと、
「そこまでは待たせませんので、マスターの執務室か、横の酒場で飲み物でも飲みながら待っててください」
呆れ顔をしながらも、きちんと返事を返し、急いで奥へと入って行くヴィオラを見送りながら、
うむ、ならば我は何処で待とうかな。そういえば、此処の酒場は利用したことがありませんでしたね。お酒でない普通の飲み物か、美味しい食べ物があればいいのですが・・・・などと考えながら行ってみる事にした。酒場に顔を出し、カウンターにいる強面の厳つい店主に、
「こんにちわ、お酒以外の飲み物か食べ物が欲しいのですが何がありますか?」
店主にそう訊ねると、元からいた既に飲んでいる冒険者たちの笑い声が響く。
「おいおい、聞いたか、酒場に来て酒以外だとよ」
「というか、あんな小僧が此処でなにしてるって話だよな」
「家に帰って、ママにでも作ってもらえ」
こちらに向け、戯言を言ってる者達を無視しつつ、店主の返事を待っていると、
「果物のジュースがあるぞ。料理は肉ばかりだがな」
我に向け、言葉が返ってきた。なので、
「じゃあ、今日はそのジュースを貰います」
店主へとそう言うと、
「20Gだ、外と違い高いが酒場なんでな、すまんな」
値段を詫びつつ、飲み物を注いで渡してきたので、
「いえ構いません。有難う御座います」
20Gを渡しながら受け取った。店主の前のカウンターの席にちょこんと座りながら待っていると、依頼を終え帰ってきた冒険者たちで賑わいだしてきた。するとさっきの冒険者達が此方に来て、
「おい、小僧。今からここは大人たちで混む時間だ。お手伝いが終わったら、とっとと帰れ」
こちらに向け、そう言ってきたが、
「ヴィオラお姉さんから、こちらで待つように言われてますので」
絡んできた冒険者に、そう答え座ったままでいると、
「俺の言葉が聞こえないのか? 目障りだからガキは帰れと言ってるんだ」
怒りに顔を染め殴りかかりそうになりながら詰め掛かって来るその様子に、
こやつはジャハル2号かな? 相変わらず馬鹿が減りませんね。蟻なら全滅させられるのですが、ね。そう思いながらどうやって黙らせようか考えていると、今まで姿を隠していたシルフィーネが、
「貴方、今、かみ・・・いえマスターに何かおっしゃいましたか?」
二人の間に入り問いかけると、
「お、こんな美人今まで居たか? というかこんなガキのとこに居ずこっちにこいよ」
にやけた笑い声で、手を伸ばしながら言ってくるのを、
「痴れ者め、マスターの前より失せなさい」
相手にそう一言呟くと、突然その者だけを目掛け突風が吹き荒れ壁まで吹き飛ばされる。その様子を見ていた周りの者は騒然としながらも、助け起こしに行き、その後、
「お、おい、あの子供・・この前ジャハルを片付けた・・あの子だ」
周りの冒険者たちの、その言葉を聞くと、絡んできた男と一緒に飲んでた者達は一気に青ざめ、倒れた男を抱えると、
「す、すいませんでした」
「お連れの方は凄い美人なので、魔がさしたんだと・・」
「どうか、勘弁してください」
こちらに向かい、そう言って慌てて酒場を後にしていった。結果まだ何もなかったので、まぁいいか。と思いつつ、シルフィーネに、
「いつもありがとう、助かったよ」
感謝して、そう声を掛けると、
「いえ出過ぎた真似を。あの程度かみ・・・・マスターが相手をする程ではないと思い、つい」
我のお礼の言葉に、照れくさそうに言ってきた。なので席の横を勧め二人で待っていることにし、時間を潰していると、準備を終えたヴィオラが、
「裏の広場を解放してもらいました。そちらの方にお願いします」
準備が済んだと言いに来たので、
「判りました。ではさっそくそちらに行きましょう」
ヴィオラにそう言って、立ち上がり、酒場の店主に向け、
「ご馳走様でした。また来ます」
笑顔で声を掛け、その場をあとのするのだった。裏の広場につくとそこに無限収納のバックより次々と、蟻の魔物を取り出してゆく。見ているヴィオラと職員たちが魔物もだが余りの収納力を誇るバックにも唖然となりながら、これは解体と計算は今日は徹夜でも終わらないぞ、と頭を抱え、
「セオス君、という訳で、明日また清算に来てもらっていいかな?」
今日の内での清算は無理だと言うヴィオラの一言で、本日のギルドでの活動は終わりを告げるのだった。
いつも読んでいただき有難う御座います。これからもお付き合いのほどよろしくです。




