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街に出ようーその16-

本日二話目できました^-^

「そろそろ孤島の正面近くなんだが、どこ等辺にいけばいい?」


 ディロスのその言葉に、閉じていた瞳をゆっくり開けると、


「甲板に出て確認してきますね」


 立ち上がり、そう言って船室を出る。甲板に出た後、船の先端部分へと辿り着くと孤島までの距離と今いる位置を確認し、一緒に状況を見に来ていたディロスと海兵たち一堂に向け、


「この場所で構いません。降りたら少し後方に避難して待機してて下さいね」

「神氷」


 皆に言葉を掛けた後、足場になる部分の海を凍らせる為、すぐに一言呟くと、確認もせず直後ににひょいっ、と甲板より軽く五メートルは下にある海面へと飛び降りた。見ていた者達は海へと飛び込んだように思ったのか、慌てて甲板の端に駆け寄り、飛び降りた方を確認すると、海の上に悠然と佇む我を見て、困惑と驚愕の顔を向け、こちらに向かい聞こえるよう大声で、


「無事なのか? それで、その、そこで本当に大丈夫なのか?」


 安否を確認する声を掛けて来るので、笑顔で手を振りながら、


「問題ないので今から始めます。なので早めに後方に下がってください」


 船の皆へそう声を掛け返す。ディロスは心配しつつも作戦を本当に実行できるか不安もある、そのような思いを顔に出しつつしばらくこちらの様子を窺っていたが持ち場へと戻っていく。そして我は眼前の手下により連絡を受け、こちらを遠くより覗き込んでいる海賊達を神眼で孤島の上に確認しながら、


 さぁ、はじめましょうか。我の後方はそう影響はないと思いますし。何より情けを掛ける相手でもありませんし。その様に考えをまとめ、戦艦の移動の開始を確認すると、さっそくとばかりに、


「神嵐」「神震」


 手を振りかざしながらそう呟いた。すると孤島の中心より竜巻を幾つも伴う暴風が外縁部目掛けて荒れ狂う。尚且つ地面には地響きがなり始め裂け目を作り高い場所を飲み込んでゆく。その様はまさしく”阿鼻叫喚”周りの木々や建物と共に巻き込まれ叩きつけられながら宙を舞い、地に飲み込まれていく海賊達。叫び声を上げのたうち回るも、嵐の音と地響きにかき消され誰の耳にも届くことはない。余りの規模と壮絶さに、見ているディロスと海兵達にも恐怖を与える程だった。孤島の端や船着き場等にいた海賊達は慌てて海へと逃げだすのだが、あえてメルゼールの街の中に潜む海賊の仲間を捕らえる為に役立つよう見逃し、海兵たちが待機する場所へと向かうようそれ以外の場所へと、


「神雷」


 もう一度手を振りかざし辺り一面へと雷の雨を降り注がせたのだった。メルゼール側の人間は、目の前の一人の子供が起こす、天災と呼ぶに相応しいその猛威を見守り続けながらも、約束を守る為、逃げ来る海賊達を次々と捕らえていく。生き残り逃げ出した者達すべてを捕まえる頃には、その猛威は止み、自然の要塞と化していた海賊達の拠点である孤島は、その面影もなく既に更地となり果てていたのだった。他の場所に待機しながら海賊達を捕らえていた海兵たちの戦艦を街へと先に戻るよう指示を出しつつ、ディロスの乗る主戦艦のみ、最後に残るセオスを回収する為、その場所へと向かう。海の上の様に見える厚い氷の上にいまだ悠然と佇むその少年を、今朝までの様にただの少年と見る事の出来る者は、もうこの場に一人もいなくなっていた。


「だ、大丈夫でしょうか? ご無事ですか?」


 我にそう声を掛けて来るディロスに、


「うむ? ああ、そっちの仕事は終わりましたか? これでこの孤島の方も片付いたと思いますがどうでしょう?」


 確認の為、そう質問の言葉をを返すと、


「は、はい、もう大丈夫だと思います。帰還いたしましょう」


 笑顔で言葉を返すセオスに慌てて返事をしてくるのだった。街へ帰る船の中、我が普段通りに話し掛け、会話を続けているうちにようやく平常心を取り戻し落ち着いてきたディロス達は、


「いや、それにしても凄い、としか言いようがないね。聞いてた噂が嘘の誇張したものどころか、だいぶおとなしめだった事を実感したよ。おかげでメルゼールの長い歴史の中で海賊達をすべて退けたのは、一時的にとは言え今回が初の功績だろう。まあ、人の欲という物は際限がないので港街を治め交易を続けていれば、また新たな海賊は出ると思うが、・・・・だが暫くは街の住民が安心して暮らせることには間違いはないだろう。今回は本当にありがとう」


 心の内の感謝を素直に表す言葉を掛けられ、


「うむ、シールズの街の住民もこちらの街に来ているみたいだし、これからも仲良く付き合ってもらえれば我も嬉しく思います」


 相手に向け、そう照れたように言い返すと、


「ああ、そういえばこの街に何日も拘束されているシールズの者がいるとの事でしたね。屋敷に戻り次第その者たちを先に門より通す許可証を出しますので、一度一緒に屋敷に来ていただければ助かるのですが?」


 我にそう言ってきたので、


「判りました、寄らせて頂きます」


 すぐに返事を返すのだった。それから先は固い話などはせず、お互いの領の名産などの話をしながら、港へ戻り、呼んであった馬車に乗り屋敷へと、というように順調に進んで行った。そして屋敷へと戻り門をくぐり抜け建物へと辿り着くと、


「父さま~おかえりなさい」


 笑みを浮かべた、ツインテールの髪をした可愛い感じの子が駆け寄ってきた。それを見たディロスは満面の笑みを浮かべ、


「おお、リーシャただいま。丁度良かった、紹介するよ。こちらは隣街の領主様の息子さんで同じ五歳のセオス君だ」


 笑顔でそう娘に紹介すると、こちらに向け、


「セオス君、こっちは私の娘でリーシャと言う。王の娘のマリカ様と同じ年に生まれたので、ご学友にと七歳を過ぎたら王都の学園に通う事になっているんだ。君ももし王都の学園に通うのなら・・・・いや、通わなくても仲良くしてくれると助かるよ」


 我へとそう言ってきた。なのでこれからも付き合っていく隣街の領主様の子供という事で、嫌われない様、


「リーシャさん、初めまして、これからよろしくお願いしますね」


 出来得る限りの笑顔で優しく話しかけると、真っ赤な顔になりながら、


「は、初めまして、こちらこそよろしくお願いしますセオス様」


 恥ずかしそうに挨拶をしてくれるのだった。それから皆で屋敷の中へと入り、約束通りにサルトさんとプレアさんの今回の門の優先通行許可証を発行して貰うと、ディロスより延々と引き止められながらも、


「また近いうちに来ますので」


 約束の言葉で開放してもらい、やっとの事で宿屋へと戻る。昨日来たばかりとは言え、宿屋の主人に一応挨拶をし通してもらい、部屋へと行き、


「サルトさん、いらっしゃいますか?」


 ドアの外で、そう声を掛けると、


「おお、お帰り。で、どうなったんだい?」


 こちらに向かい、そう言うサルトへ、


「約束通り全部かたずけて来ましたよ。はいこれ、領主様よりいただいてきた優先通行許可証です。これですぐにでも門を出てシールズに帰れますよ」


 貰ってきた許可証を、そう言って手渡すと、またも呆れながら、


「言った事を実行できるのは凄い事なんだが、凄すぎるというか何というか・・まあ、ありがとう、お礼に街に帰ったらこっちも一番に優先して君の服を作らせてもらうよ」


 サルトの感謝の言葉に、プレアも頷きながら、


「街に付いたらお店に顔を出してね。お姉ちゃんと一緒に似合う服を考えてお礼をするからね」


 笑顔でそう言ってきたので、


「うむ、喜んでよらせてもらいます。では我も家族を待たせているので、お先にシールズに戻ってますね」


 声を掛けつつ頭を下げる二人に、こちらも笑顔で手を振り宿を出た。またも駆け抜けシールズへと戻り、エミリアさん達に解決したのでもうすぐ戻る事を告げ、喜んでもらうと、今度こそ自分の屋敷へと戻る。そしてまた楽しい家族での夕食の時間を過ごした後部屋へと戻り、明日からの予定を思い浮かべながら一日を終えたのだった。

読んでいただき有難う御座いますです。

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