街に出ようーその9-
まだまだ街にーが続いてます。よろしくです。
教えてもらった通りの道順を進んで行くと、確かに教えてもらったような針と糸をモチーフにした看板を下げた店が見えてきた。なので店の前まで進みドアに手を掛けようとすると、突然中からドアが開かれる。
うむ、計った様なタイミングですね。何事でしょう。そう思いつつ様子を見ていると、ドアを開けて、こちらを向き、思ったのと違う時の残念そうな顔の少女を見つけ、何事だろう、そう考えていると、
「あ、君、お客様? ごめんなさい。父か妹だと思ったものだから。取り敢えず中へどうぞ」
手招きしそう言いつつ、中へと案内され、言われたとおりに進んで行くと、片付けられた店内に色彩豊かな服たちが綺麗に並べられている、店内はそんな空間だった。奥にはレジ兼カウンターの様なものも見え、その少し手前には二人ずつ座れる様なソファーがテーブルを挟み対面する形で置かれていた。そのソファーへと案内され、取り敢えず座ると、少女が口を開く。
「さっきはごめんなさいね、ビックリしたでしょう。ドアの前に人の気配がしたものだから、父が妹と帰ってきたものだと思って」
此方に向け、そう言ってきたので、
「いえ、それ程驚きませんでしたので気にしないで下さい」
彼女にそう言うと、
「それで、今日はどんな御用だったのかしら? 初めてのお客様よね?」
此方の顔を確認しつつ、そう訊ねてきたので、
「最近街に来るようになったのですが、今着ている服がなんか目立っているみたいなので、普通に着れる服をと、ギルドのヴィオラお姉さんに相談したところ、こちらの店を紹介してもらいましたので」
此処に来た理由をそう説明すると、
「ああ、ヴィオラの紹介なのね」
一瞬明るい表情になったかと思ったが、すぐにまた困惑した表情に戻り、
「ごめんなさい、いつもなら喜んで引き受けるとこなんですが、今は・・・・」
途中で言い掛けて、口を濁して、悲しそうな表情をし出したので、
「すいませんお姉さん、我はセオスと言います。で、こんな子供では頼りないかもしれませんが、ヴィオラお姉さんやギルドマスターとも知り合いという事で、その困っている表情の理由を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
理由が気になり、そう聞いてみると、
「あ、こちらこそ、ごめんなさい。私はエミリアと言います。で理由なのですが、うちの衣服屋は元商人の父が生地の買い付けをし、母が裁断や縫製の仕事を、私と妹がお店でお客の相手をしながら、その方に似合うデザインを考える、という感じで商売をしていたのですが、先月結構服が売れて生地が足りなくなったので、今回は多めに仕入れようという話になって、手伝いに妹まで連れて父が買い付けに出掛けたのですが、本来帰る予定の日より三日も過ぎているのにまだ帰らないもので、母も心配して夜も寝むれずに待っていたので、今なんとか寝てもらった所です。いままでは遅れても一日位が精々で、元が商人ですので日数にはうるさくて、予定通りか早く帰って来るのが普通だったのに、です」
彼女はそう事情を教えてくれた。なので、
「仕入れに行くのはどの街でしょう? それと行くのはいつも父上のみですか? 護衛などは?」
我がそう聞き返すと、
「港町メルゼールの方へ。護衛が必要な時期は、ギルドに依頼を出して二人程つけて行ってたみたいですが今回はどうかは判りません。帰りのみ向こうで依頼してつけることもあったみたいなので」
今回はどうかわからない、そう答えてきたので、
「うむ、ではしばらく待っててください。我が少し調べて探してきますので」
不安そうな彼女にそう言って席を立とうとすると、
「あっ、いいのよ。今日初めて来たばかりの君がそう気を遣わなくても」
此方に向け、そう言ってきたので、相手に気を遣わせない様、
「いえ、父上と妹君が早く帰られれば、我の衣装も早く作ってもらえると思うので」
我がそう笑顔で話しかけながら、
「頼りないように見えるかもしれませんが、期待して待ってて下さい」
もう一度彼女に向け、声を掛け、店を出た。まず、ギルドへと引き換えし、先ほどとは違い人の少なくなったカウンターへと向かい、ヴィオラへと話しかける。今回の仕入れに対し依頼が出ていないか調べてもらうためだ。最初は、依頼の内容などは、依頼主と依頼を受けたもの以外には、家族にも教えられないのが規則なので、と言ってきたので、クレアに会いにゆき事情を説明し、他の者には他言無用を約束し教えてもらう事になったのだが、
「依頼は出ています。で、二人組の女性の冒険者が同行したはずですが、こちらもまだ戻った形跡がありません」
渋々ヴィオラが答えてくれた。なので、
「ありがとう、ヴィオラお姉さん」
彼女にお礼を言ってギルドを出る。
そうなると、メルゼールへの行き帰りのどちらかか、向こうの街で問題があったか、ですね。取り敢えず、心配して待ってる方がいるのですから、早い方がいいので、今から向かってみますか。そう考えながら、普段は昼間使わないようにしている神力を惜しげもなく使い、目にも止まらぬスピードで東門の方へと駆け出すのだった。
なんか風邪をリアルでひいてるみたいなのですが~負けずに頑張りたいと思いますです。




