街に出ようーその6-
何とか子供達の話はまとまるかな、と・・・・・・
少女達は絶望の中にいた。いつもの依頼、いつもの仲間、いつもの時間を過ごし、それぞれが家々へと帰るそんな普通の一日だったはずなのに。気が付けば豚の化け物に囲まれようとしていた。
「いままでこんな事なかったのに、なんでなの」
ペーシャのその言葉に、
「う、うん、でも・・逃げ切れるかな・・」
ファムはそう答え、ペーシャと共に残り二人を見ると、
「あ、あっ・・・・」
「なん、なんで~・・・・」
泣きじゃくり、足を震わせ怯えきっている。ついさっきまでは、女の子四人のみになったので、
「今日の出会いは最高ね」
「うんうん、セオス君可愛い」
「かっこいいし~きれいです~」
和気藹々にそれぞれが見た印象などを話し、最後に全員で、
「言葉遣いは変だったけどね~~」
皆で笑い合って、そう言っていたのだ。帰る前に人のいないところへ、女の子のみで用を足しに来て戻ろうとした時だった。前と両横から2匹ずつ6匹の魔物が近寄ってきているのに気が付いたのだ。ペーシャとファムはとっさに逃げようと構えたが、二メートル近い魔物を、それも六匹も初めて見るメニーナとルサラは、気が動転して訳が判らなくなり、正常な判断などできず、その場に立ち尽くすのみだった。そんな二人を置いて行く訳にもいかず、結局四人その場で身構えるしかできず、
「だ、誰か助けに来てくれるかな?」
怯えながらも、メニーナとルサラを後ろにさがらせ、二人で壁になろうと前に立つファムは、横に並ぶペーシャに諦めきれずに聞いてみると、
「私みたいな可愛い子なら、白馬の王子様がきっと助けに来るわ」
なんとか雰囲気をこれ以上悪くしない様、努めて明るい冗談を言ってみるのだが効果はなかった。普段なら、皆で大笑いし合っていた事だろうに。そしてとうとう目前に魔物が迫り魔物が襲い掛かってこようとしたその時、
「お待たせしました、みんな無事ですか?」
突然そうそばで声が聞こえたかと思った瞬間、
「神雷」
耳を澄ましていないと聞こえない様な、小さな囁き声と共に、”ズドーン”という轟音が辺りに響き渡る。目を塞ぐ様な激しい光と、ジューという水分を蒸発するような音と共に、焼け焦げた匂いが一瞬で広がり、
「グア~~」
「ギヤッ~~」
「ガッ」
断末魔にあげる魔物の悲鳴が聞こえたかと思うと、立ち込める煙がはれると其処には、先ほどまでの恐怖の対象であった、今は黒焦げの炭なり倒れている魔物と、銀の髪をなびかせ碧い瞳で優しく見つめて来る少年の姿があったのだった。
「あ、あっ、あの、セオス君? ありがと・・・・」
何とか、その状況を把握しようと試みるも、セオス君が来てくれたのだ、と判る位でしかないのだが、助かった喜びと、助けてもらった嬉しさに顔を赤くしながら、お礼を言うと、他のメンバーもその少年を、頬を赤く染め見つめているのだった。そこに遅れて、
「お、おいっ、みんな無事なのか・・」
息も絶え絶えになりながら、ダイグと辺りを尚も警戒しているマトスが追い付いてきた。なので、
「何とか間に合ったみたいです。案内する途中この光景が眼に届いた時は、さすがに説明する余裕はなかったので、置き去りにしてしまい申し訳ありませんでしたが」
我がそう言うと、ダイグは、
「ああ、順調に案内してもらっていたのに、いきなり追い付けない程加速したときは驚いたが」
女の子達の無事を確認しながらそう言い、マトスも、
「その眼も魔法なのか? 魔物を退治したのも? 恐ろしいな・・・・しかし・・・・」
状況確認する様、そう言いながら辺りを見回し、続けて、
「報告では三十を超える数という事だったが、ここには六匹のみ、早く皆の所に戻った方が良さそうだな。それとセオス君といったか、まだいけそうか?」
大量の魔力を使っただろうと考え、そう訊ねて来る言葉に対し、
「うむ、問題ない。皆の無事を約束したんだし、任せて」
こちらは別段問題ないのでそう答え、皆で急いで戻る事にした。女の子達も先ほどの様子をその目で見たおかけか幾分怯えも取れ、落ち着きを取り戻し、我の約束を聞き尚さら安心したのか、反論せず付いて来てくれる事になった。そして周りを警戒しながらも来た道を戻ると其処には必死に耐えている職員とダットの三名と、収穫とこの場所自体を奪おうとするオークの集団が相対していた。その様子を確認したマトスは、自分がすぐに助けに突っ込むべきか迷い、こちらに向かい、
「さっきの魔法で、何とかできるかい?」
此方に向けそう訊ねてくる。それはたぶん、数が三十ではなく四十は確実にいたからだろう。一緒にここまで逃げ帰った子供達も余りの数にまた怯えようとしていた。なので、皆に優しく笑いかけ背に庇い堂々と、
「これ位、造作もない。心配いらない、大丈夫だよ」
安心する様に、そう皆に語り掛け、まず、
「神壁」
素早くそう呟き、頑張って何とか持ちこたえていた三人を、土の壁で敵より庇うと、攻撃しようとしているオーク達に、
「神氷」
続けて前回の盗賊の時と同様に、魔物どもの氷の像を作り出した。余りの一瞬の出来事にマトスは、
「こ、これは、本当に魔法なのか? 冒険者時代、魔術師と出掛けた事はあるがこんなのは見た事も聞いたことも・・・・」
唖然としつつそう呟き、さらにダイグなどは常々父親の話を聞き、仲間を守る事に重きを置いていたのだが、必死に守るだけでなく、心までもと笑顔で庇う年下のはずの子供に、父親以上の感動を覚え、
「こ、こいつ、すげ~」
今までの年上の口調でではなく、感服した面持ちで思いを呟いていた。で我は、
「マトスさん、これで約束は果たせたかな?」
お道化てそう話しかけながら、神壁を解除し、三人を解放すると、
「ああ、十分だ」
マトスはそう答え、緊張の解けた皆に向かい、
「よし、皆疲れてるだろうが、本当に休憩する為、それと先に避難した皆と報告をする為に急ぎ街に戻ろう、収穫は無事だし後で回収に来るとして・・・・」
今回の収穫を魔物により諦めさせられそうになり、悔しがっていたダットに視線を向け、最後にそう言い放つと、ダットも、
「子供達も全員無事と言う、収穫以上の収穫もありましたしね」
マトス達、ギルド職員へと笑顔で返して来るのであった。そんなことを話しながらも魔物の襲来を無事に終え、急ぎ街へと皆で帰るのだった。
お買い物話の前に、街の住人の知り合いをまだ増やす予定ですのでもう暫し、街にーにお付き合いをお願いしますです。




