街に出ようーその1-
お買い物編の前段階です。
昨日は、とりあえず初日としてはまあまあだと思う5100Gを稼いだのだが、6人に何か買ってあげようと思うと、まだまだ心もとない、なのでギルドにも顔を出してはみるつもりではあるのだが、
う~~む、我のランクでは薬草採取などしかないからの~。街の仕事はお駄賃程度の報酬だったし、もう少し稼ぎたいのだが如何したものか。などと考えながら、今日も父上、母上、エリーナに<姉上は学園に行く為、朝早くに出ていない>出掛ける事を伝え、屋敷を出てとりあえずギルドへと向かう。昨日よりも早くに出た為、今日は乗り合い馬車は使わずに、露店などを見ながら徒歩で向かう。冒険者などを相手する為か、雑貨屋や食料品の露店は朝早くから営業しているらしく、店の前には既に今日必要なアイテムや食料を揃えようとする者達で賑わっていた。
うむうむ、父上の領地経営は順調そうだの。朝から活気に満ちておるな。そう考えつつも、歩きながら街の人々の生活風景を眺め、顔に笑みを浮かべながら進んで行く。しばらく行くと、人だかりの出来ている串焼きの露店からはいい匂いが漂ってくる。なので思わず、どのような味か、一本食べてみるかの。と、並んでいるお客の後ろへと並び順番を待つ。そして我の番になると、
「おう坊主、いらっしゃい、何本だい?」
「一本だけもらおう」
「はいよ、じゃあ10Gな」
店主とそう受け答えをし、商品を渡して来るのに合わせ、
「うむ、では10G、ところで店主、美味しそうだが、これは何の肉の串焼きなのだ?」
初めての料理にそう訊ねると、
「あ~露店は初めてかい? これは野兎だな、冒険者や手伝いの子供が仕事終わりに、帰るついでにとって来るのを夕方買取り、夜仕込んで朝から焼いて売りにだすんだ。安いし、うまそうだろ」
嫌な顔一つせず、そう教えてくれたので、
「うむ、安くて美味しそうじゃの、今度皆を連れて買いに来る事にする。場所はいつもここかの?」
「ああ、大体ここだな。坊主も野兎狩れるんなら、夕方ここへ持ってきな買い取るぞ」
「うむ、ありがたい、狩りに出る事になったら世話になる。では、またの」
「おう、またな坊主」
少しの間、店主とそんな話しながら、その場を後にして、また先へと進む。食べ物は、野菜を煮込んだスープやカットしたフルーツを出す露店などと他にも色々目につくし、雑貨屋の方はポーションや小袋、束ねる為のロープなど色々なものが並んでいる。そんな露店を眺めながら、ようやくギルドへとたどり着くと、
「セオス君、こっちこっち」
声のする方を見ると、受付嬢のヴィオラから手招きされる。うむ、なに用かの? と思いながらも其方に行けば、
「おはようございます、まずはマスターから用がある時は奥へ通す様にと連絡を受けましたので、その報告と、ついでに依頼ランクを現状のブロンズランクのみと限定せずに受けさせて構わない、という例外措置もおこなうとのことでした。取り敢えずはシルバーランクのジャハルさんを相手にもしなかったので、そのシルバーランクまでは、受けさせようとの事です。ここまでは?」
理解できた? と聞かれ、
「うむ、了解した」
ヴィオラにそう答えると、
「で、セオス君は何者?いままでギルドマスターが無条件で奥への許可を出すのも、ランクの融通も初めての事だよ」
疑問の言葉と視線を投げかけるので、
「領主の息子で連絡を取る時便利ではあるし、騎士団と鍛錬しておるゆへある程度戦えると判った事と、世間話で気に入られたからであろうな」
誤魔化しつつ、そう答えると、
「う~ん、それだけなのかなぁ~?」
納得できないとばかりに、疑い交じりの視線を投げ掛けられるが、スルーして、
「では、依頼を見て来るとするかな」
一人でそう言いながら、依頼が貼られている掲示板へと赴く。しばらく眺めていると、一つ目についたのが、
うむ? 道具の釘不足だと? なぜこのような依頼が? と、取り敢えずカウンターへと戻り、
「ヴィオラ姉さんや、この釘不足というのは何なのだ?」
依頼の紙を見せつつ、そう訊ねると、
「あ~それはですね、この街には鍛冶屋は何件かあるのですが、武器や防具でなく、生活用品を専門でおこなってる店は一件しかなくてですね、そんなにひどくはないそうなのですが、風邪で取り敢えず何日間かは仕事できないそうで、でも今郊外に建築中の放牧地や農地拡張用の柵などの建築を領主様って、セオス君のお父様ですか、が勧めてらっしゃるのでそれに使う釘などがもう足りないそうなので、他所の街から買取っでもと、依頼を出してるそうです。型に流して作られるので普通は100本で300Gなのですが今は500Gで買い取ると、つまり他所の街で買って来れば100本で200Gづつ儲かるということですね。ただ、大量にとなると重いですし少ないとあまり儲けにならないと、今のところ受け手がない状態ですね」
誰も受けたがらないと言う話を聞き、
うむ、これはいいの~、我が創り出せば、釘程度なら世に迷惑をかけぬし全額儲かるし、父上の仕事も進むし、ギルドも依頼を果たせる、といい事づくめじゃの。などと考えながら詳しく話そうとヴィオラに向かい、
「何本までなら買い取ってもらえるのだ?」
確認の為、そう訊ねると、
「え~上限は聞いてませんでしたが、1000本ずつ5人から買っても苦情は来ないと思うので、取り敢えず5000本は買えるかと」
ギルドの判断で買えるのがその本数との事なので、即、
「ヴィオラお姉さん、我が5000本受けよう。なので手続きを頼む」
彼女にそう言い放ち、
「ほんとに大丈夫なの?」
心配そうに言う、ヴィオラの言葉に、
「問題はない、任せておけ」
平然と言葉を返し、一旦ギルドを出るのだった。
いつもお読みいただきありがとうですです。




