セオス、お出かけをする、ー教会、回想編ー
何と言いますか、後編にも行けず、教会説明回になってしまいました。申し訳ありません。なんとかお楽しみいただける作品にするよう頑張りますので、飽きずにお付き合いをおねがいしますです。
そもそもこの世界、女神アウラニースが兄、姉を模倣し他の神達のように統一された星の種の劣化版ともいうべき者たちを作り出し、一つ星の中に混在させ、そこより更に枝分かれし今の星が出来上がっていった。そしてその途中、我らの姿に似た種が誕生したのだが、他の種に比べ余りにも弱く脆かった。天使、悪魔、鬼、獣、竜などの種族が居るこの星ではあまりにも弱い存在でしかなく、最初は助け合い集まり合い、数でしか他の種族に対抗できず、いつも寄り添い合っていた。その頃まではまだ我としてもアウラニースとどうなっていくかと眺めているだけだったのだが、数が増え力が増すと自分たちの集まる場所を拡大せんと欲し出した。それでも他種族に迷惑を掛けぬうちは黙っていたのだが、自分らにかなわぬ弱い種を見つけると労働力や、欲を満たすために戦うようになっていった。
なんと愚かな、我らに似たのは姿のみか、最初の頃は助け合い寄り添うことを良しとしていたはずなのに。そう思いながらも見ていると、とうとう我の怒りに触れる行いをしだした。ただ平穏に過ごす森の民という種族を見つけ我が物にせんと欲し、争いを起こしたのだ。相手の族長の娘がただひたすら種族の平和を望み、尚且つ相手をも傷つける事を嫌い、森の奥へと撤退を続けていく、そんな中その争いを起こし指揮していた人族の王は、手に入らぬのならと、その娘に火矢をも放ち殺そうとまでしたのだ。その攻撃で顔にまで火傷を負い見る影を失った族長の娘に種族の者達は怒りを覚えていたが、
「なりません、皆助かるのであればこれ位、撤退を続けるのです」
皆を諭す娘の言葉に動かされ、なんとか争いを回避し続けるのであった。それを見ていた我とアウラニースは揃い、その者たちに力を貸すことを決め、その場に精霊たちが住むに相応しい魔力を作れるようにと、世界樹を創造し植え付け、その星の属性を操る事の出来る精霊をも友として創造し与え、
「今日より、その樹を守り精霊と共に暮らすがよい。さすればそこをおぬし達の安住の土地としよう」
という、声と共にその地に結界を張り住まわせ、相対した者どもには、
「おぬし達も、相応の罪と罰いうものを、覚えるがよい。何をしても許されるという道理は、この世にはない」
守るべき理を言い放ち、神雷を降り注がせ争いをしていた者たちを根絶やしにした。で残った者たちは恐れ戦きながらも、数が激変した為、元の助け合う生活に戻ったのだが、虐げた他の種族により逆襲をくらい追い詰められていった。自業自得とはいえ元は弱い種族の為集まるしかなかったのが理由なのだが如何すべきだろうとアウラニースと話しながらも見続けていると、人種族の中に神の声を聴いたが為、我らに祈りを捧げ、ささやかながらも助け合っていこうと提言する者達が現れだした。その者たちはその日の糧を必要量に応じ、分け与え助け合っていった。その事を最初に言い出した少女は、若いながらも皆の見本となるべく我が身の事も顧みず、労働に勤しみながらも、皆を手助けし、恵まれない者には糧を分け与えていった、年老いるまで。その時まで見続けた我らは、この者になら必要な力を与えても争いなどには使うまい。我が与える力は生活を豊かにする事も出来るのだが、争いの火種にもなりうる。誰にでも与えてよい、という訳にはいかぬからな。そう考えながら、我の神力の劣化版とも言うべき、森の民のもとに植えた世界樹により大気に満ちる魔力を使う方法、魔法をこの人族初の神の巫女となった者に、聖女と言う称号と共に、人種族が滅びぬ様、
「永くおぬしを見ておったが心根を変えることなく続けたその祈り、我は聞き届けたり、故にそなたに魔の法を教え、導き手を選び育てる事を託す、この力は人を助すく事も出来るが破滅させる事も出来うるので、使える様にする者を選び、我らに祈り伝えし後使えるようにする事。よいな」
守るべき戒律の言葉と共に、力を与えた。その後その者、聖女エリザヴェータは言いつけを守り導き手を育て、渡す相手を選ぶ為、小さいながらも教会という組織を作り上げた。それが今から1300年前の話、教会の前身である。
うむ、エレオノーラを見るに、巫女の質は受け継がれているようだが、組織はまた劣化している様だな。人族とは懲りる事を知らぬ種族なのかな? などと過去に思いを馳せる、セオスなのだった。
頑張って続けます。




