セオス、お出かけをする、-教会、後編ー
なんとか、後編にいけました。いつも読んでくださる方、ありがとうございます。
「それにしても、こちらにお出でになっておられるとは、驚きました」
エレオノーラを見つつそう言う、エルネストの言葉に、
「今日、こちらに私が導き手としてお手伝いをすべき方々がお出でになるとお告げがあったもので」
普段通りの返事を聞き、その後に、
「紹介が遅れて申し訳ありません、こちらがエスターレ城にて修道女の代表の巫女をしていらっしゃるエレオノーラ様です」
初対面であるカインたち家族に、エレオノーラを紹介すると、
「こちらが領主のカイン・アルギュロス様と、その奥様でセリナ様、お子様のアイシャ様、セオス様です」
今度は逆にエルネストは、エレオノーラにも紹介を重ねておこなっていった。それを聞いたエレオノーラは笑顔で、
「お初にお目にかかります、エレオノーラと申します、本日は私が洗礼の儀式を執り行なわせて頂きますが、事前に不調法があった事、改めてお詫びします」
頭を下げつつ、そう告げてきたので、父上も、
「いえ、先ほども謝罪を受けておりますので、もう気にしてはおりません、それよりも本日はよろしくお願いします」
これ以上のお詫びは不要というように答えると、エレオノーラは、
「では、儀式の為奥の部屋に移動をするのですが、セリナ様お子様を抱かせていただいてもよろしいでしょうか?」
目線を抱かれている子供へと向けつつ話しかけてきたので、母上は、
「かまいませんよ、でもやさしくお願いしますね」
エレオノーラに笑って答える。そうして我を渡してもらい胸に抱くと、
「やっとお目通り願いました、よろしくお願いします」
呟くように我にだけ聞こえるよう小声で囁き、目配せをしてきた。
うむ、この者にはアウラニースがよくお告げをしていたが、我の事も伝えたのか? あまり手出しをしない様いっておいたというのに。と考えながらもエレオノーラを見つめ、
「エレ~」
わざと片言で、笑顔と共に言葉をかけておいた。エレオノーラは喜び、
「さあ、奥に移動しましょう、セオス様はこのまま私が抱きお連れしますわ」
名前を呼ばれ感極まった様子で案内しながら歩きだした。洗礼の儀式を他の者には見られぬ様、別の部屋で行うようになっている様だ。
さっきの僧侶はエレオノーラに問いただされ、余程慌てていたのだな、この様な人目のあるところで祈りを始めようとするなど、まあそれだけ後ろ暗い事があったということかな。などと考えていると、
「さあ、こちらの部屋です」
奥にある一つの部屋の通された。ここには女神像が一体あるだけのちょっと広めの部屋というだけであった。
「では早速始めたいと思いますが、どなたより?」
エレオノーラより訊ねられた言葉に、父上が、
「本来なら領主の私が先なのでしょうが、この日が来るのを数日前の決まった日より心待ちにしていた娘を先にして頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
伺うようにそう言いつつ、アイシャに目配せすると、恥ずかしそうに照れながらも笑顔をむけていた。エレオノーラも、
「ええ構いませんよ、女神様の前に民の順番など御座いませんから」
笑顔を我にも向けつつそう答え、儀式に入る。
「アウラニースよ、頼むぞ」
心の中でと神界と意識を繋げると、懐かしき声が、
「はい、父様。お任せください」
耳に届くよう聞こえてきた。なので続けて人には聞こえぬ様、
「うむ、この家族を頼む、それと、神託をだしたのか?」
今までの疑問にそう問いかけると、
「すみません、しかし兄様や姉様たちが・・・・。」
顔は見えないのだが恐縮したような声で返してきた。
まぁ、あの者たちの我第一主義ならありえるか・・・・などと考えながらも、
「気持ちは判っておるが、今後はあまり手出しせぬようにな」
今後の事を考えつつ言い含めると、
「はい、父様。では儀式の続きに戻りますね」
許してもらえた、といつもの元気な声に戻り、返事をしてきたのだった。
それからは家族の分は儀式は順調に進み、
「パパ、ママ、ちゃんと火の魔法が使えたわ」
姉上の嬉しそうな声に、母上が、
「はいはい、ママも水の、パパも光の魔法が使えるようになりましたよ」
他の家族全員終わり、我を残すのみとなったのだがエレオノーラの、
「すいません、セオス様には儀式を行えませんのでこれで終わりです」
儀式の終わりを告げるその言葉に、家族全員、
「なぜ、セオスにはして頂けないのでしょう?」
「どこか駄目なところがこの子にはあるのでしょうか?」
「セオ君が駄目なんておかしいでしょう?」
理由が判らないと、父上、母上、姉上が話しかけると、
「いえ、逆です、する必要がないのです、このお方は生まれながらにお力を持っていらっしゃるのですから。覚えておいででしょうか?アーカイド村に国王様の言葉を告げられに来たのを。その時の神託を受け、国王様に伝えたのが私なのですから。女神様よりこのお方はすべてのお力を使う事が出来るでしょう、と告げられていますので、心配はいりません」
説明する様に皆に笑顔で答えた、我も家族が心配しない様同意し、
「あぃ~」
声を出し、手をあげ返事をしておいた。それで皆も堅い雰囲気が取れたのか、
「そうでしたか、エレオノーラ様すいません、今日は家族全員お世話になり有難うございました」
今日のお礼を告げる父上の言葉に続き、
「ありがとうございました」
「ありがとう~」
母上、姉上も笑顔でお礼を告げるのだった。最後に
「エルネスト、お布施をお渡ししてください」
目配せをしつつ話しかけると、金貨の入った包を渡そうとするエルネストに、
「いえ、今回は不調法もありましたし、国王様よりすでに頂いておりますので、必要ありません。それよりも今度時間のある時に、セオス様のお顔を見に、お屋敷にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
逆に伺いつつ訊ねてくるようなその言葉に、
「こちらは構わないのですが、城の代表巫女様が個人で出掛けてもよろしいのですか?」
父上が困惑気味に訊ねると、満面の笑顔でエレオノーラは、
「問題ありません」
即答で答えるのだった。これで今回のお出かけは終わりかと思い、もう少し大きくなれば、隣の建物にも来たいとこだな。と思いながら、初めて街で時間を過ごすのだった。
感想をいただきました。大変うれしく今後の参考と励みにしたいと思います。ありがとうございます。




