都での滞在ーその30-
うにゅ、ゴールデンウイークが~~まだこないにゃ;-;
「マテウス王、すいませんがその王錫を彼に見せてあげてもらえませんか。此処に来る時にそう約束していましたので」
王へとそう話しかけると、大切そうに携えているそれを彼へと手渡しつつ、
「其方よりの頼みなら、聞かねばなるまい。ただし大切に扱って欲しい」
エルガリオへとそう言うのだった。それを受け取り見せてもらいつつ、今度は我の方に向け、
「贅沢な事だとは思いますが、先程の宝剣も見せてもらえませんか?」
真剣にそう訴えかけてきたので、それ程の事ではないと、
「これでよろしいですか?」
気軽な感じで、彼へと手渡すのだった。王から渡される時と違い余りの気軽さに、
「貴方から渡されると、大した事ない普通の剣を渡されたような気分になりそうですな」
顔に苦笑を浮かべつつ、そう呟くのだった。で、二つをソファーの中心に添えてあるテーブルの上に並べると、
「見事としか言いようのない品物ですな。意匠から同一の神が作り上げたと推測できるのですが、素材にしろ技術にしろ、人には、いや鍛冶の専門家のドワーフですらこれは作りだせないでしょう。まさしく家宝にするに相応しい、”宝物”ですな」
飽きる事無く、杖と剣を眺めつつそう何度も頷きながら呟き続けるのだった。品物の持つ魔力や格調に興奮しつつ、続けて、
「儂もいつかは此処までとはいかないまでも、素晴らしいと言える品を作ってみたいものです」
皆に向けてそう言いつつ、杖と剣を持ち主の元へと返却するのだった。その会話を聞いていたかのように、終わったタイミングで、部屋の入口の方より、
「お時間は宜しいでしょうか?」
王に向けそう問いかける声がすると、笑顔のままで、
「ああ、もう難しい話は済んでおるので入っても構わんぞ」
マテウス王がそう返事をすると、ドアより最近見慣れた少女、マリカがちょこん、とお辞儀をしつつ、
「失礼します。やはり私もご一緒したくて」
皆に向けそう言いつつ近寄って来ると、父である王の隣ではなく、我の横へとやって来て一言、
「宜しいでしょうか?」
我へとそう訊ねてくるので、もちろん断る事なく、
「うむ、我の横で良ければ、どうぞ」
マリカへと返事を返すと、嬉しそうに微笑みつつ、座り、
「ありがとう御座います」
皆の前で我へとそう言ってくるのだった。その様子に、王は顔を緩めつつ、
「いやはや、誠に似合いの二人だと思いませんか? カイン殿」
王にそう話を振られ、
「息子には勿体なくもありますが、私もそう思うので、嬉しく思います」
父上が王へとそう答えるのだった。で、それからは、たわいのない話などで盛り上がりつつも、今度は家族総出で遊びに来てほしいと言われ、それを了承しつつ、最後に王より、
「では、二年後の春、学園入園時の少し前に、王都に来て貰いたい。それまでにはこちらも準備を整えておきますので、よろしくお願いしますぞ。まあ、セオス殿ならば聞いたところによれば、この距離を苦にしないということなので、マリカが寂しがらぬ様、ちょこちょこ会いに来ていただいても構いませんがね。お、そうだ、これを」
懐より一つの勲章を取り出す。それをこちらに差し出しながら、
「それを城に来られた時は胸につけられれば、通行証の代わりになりますので、収めておいてください」
王が渡したそれを見つつ、
「ありがとう御座います。時間が出来たら尋ねたいと思います。遊びにですので、仕事の話はなしですが、ね」
我がそう笑顔で答えると、この前の食事の会話を思い出したのかマリカが微笑みだし、王も、
「はい、なるべく、そうする様、心掛けましょう」
笑顔でそう答えるのだった。そんな会話を、エルネスト、アルフォンス、そして何とか父上までは納得しつつ聞いていたが、エルガリオは、
「王が気を遣う子供とは凄いな、セオス殿」
呆れた様子でそう呟きつつ、されど口を挟む事も出来ず、会話が終わるのを待ち続けるのだった。そうして皆での会話を終え、城を後にすることにし、王が、
「ベトルス、お送りを」
声を掛けるまでもなく、ベトルスはエレオノーラが神託を告げに来たシールズの事件の日を思い出しながら、この子なのだと実感しつつ、失礼の無いよう丁寧に、
「心得ております、王よ」
王へと返事を返し目配せをしつつ、皆の方へと向き直ると、
「では、ご案内いたしますので、おつづきください」
先頭に立ち、迷路のような城内を迷うことなく出口へと導いて行くのだった。そんな様子で進んで行く中、精霊から聞いていた大切な情報の一つを思い出し、
「そういば、エルネストさん、親子でゆっくり話す事は無かったのですか? ベトルスさんと」
エルネストへと、そう話しかけると、途端、皆の足が止まり、まず父上が、
「セ、セオス、誰と誰が親子なのだ?」
慌ててそう聞き返して来るのに、当人二人が呆れたように、
「セオス様、流石ですね」
「何というか、聞いてはいたのだが、凄いな。王家の者何人かしか知らぬことを、簡単に言われるとは」
驚きの混じる真剣な顔でそう言いつつ、
「ばれているのならお送りした後、少し時間を頂こうかな。宜しいかな、カイン殿?」
父上はその言葉に快く、
「断る必要はありません、いつも彼には必要以上に世話になっているのです。自由な時間をもっと作って欲しいのですが、私が不甲斐ない為、今までそうできませんでした。なのでこんな時くらい、セオスの言う様に、ゆっくり過ごしてください」
エルネストたちに向け、そう言うと、
「とんでもない。良い方の元へ王より任命された事心より喜んでおります。なので好きでしていること。カイン様が心苦しく思う必要はありません。しかし、せっかくの心遣いです、今日は有り難く甘えさせていただきます」
父上にそう言うと、皆に向け、
「では、あす宿に戻りますので、皆様は先にお戻りください」
城の出口で、代わりに御者を務める、ヴィタールが馬車を停め待機していた。それに乗り込み、
「では、ヴィタールさん。宿の方におねがいします」
御者席に座る彼にそう告げるのだった。
もう一日頑張るのにゃ;-;




