猫被りの秘術
「この寒空のした、なにやってんの。そんな薄着だと、風邪とかよ・・・」
少女は制服姿であった。清楚でいかにもな優等学校の制服である。
「この制服は確か・・・」
「サンタマリア女学院のものです。」
沈黙を守り続けていた少女が口を開いた。早口でなんとも無愛想な口調であった。
「・・・そこって、とんでもない名門校じゃなかったか?」
「まあ、この辺りではそうですねぇ。」
それって全国的に見たら大したことないって意味だろうか?
「なんか・・・尊敬すんね・・・」
つい呟く。沙凪とゆう男は三流高校のC奨学で大喜びするような。いわゆる落ちこぼれであった。
「どこにどう尊敬するんですか?」
いかにも沙凪の言葉を理解できないとゆう風に訊いてくる少女であった。
「それはさておいて」
この話を続ければ精神的致命傷を負いかねないと察し、話を変えた。
「ほんとに、こんなトコで、そんなカッコでなにやってんだ。幽霊に間違えられるぞ。」
「・・・幽霊?」
「あぁ・・・こっちの話だ。」
「はぁ・・・」
「とにかく。」と、逸れかけた話を戻す。
「こんなトコでそんなカッコでなにやってんだ。」
先ほどの質問と全く同じ質問をあびせる。すると、少女の顔色が目に見えて暗くなる。
「実は・・・・」
どこかわざとらしさを感じる程深刻な表情をする少女。沙凪はシリアスな展開を予想し固唾を呑む。
「実は私・・・お父さんから苛められてるの。」
「それって・・・DVってやつか・・・・」
「うん。日常茶飯事のように、頬をぶつの・・・」
嗚呼・・・・少女が泣いてしまいそうだ。
心の中で慰めの言葉を模索していると、ふと素朴な疑問がわいてしまう。
「なぁ、疑ってる訳じゃねぇが・・・殴られまくってる頬がなんでそんなツルツルツヤツヤなんだ?」
少女は愕然としていた。




