帰郷
「なんだよ、いきなり。」
「少しの間だけです。すぐに帰ります。」
「ほんっと、いきなりだなぁ。・・・・すぐにって、いつだよ。」
早くも説得を諦める。説得して止まる人間でも、様子でもない。
「長くても・・・・明日、明後日には帰ってきます。」
「ホントか?」
「私は、嘘を吐くのが苦手です。」
ああ、そういえば。と、好との出会いを思い出す。
「止めやせんが、精精早く帰って来いよ。」
「はい。」
未練も無く、沙凪宅を後にする。まあ、すぐに帰る予定だが。
徒歩二十分程。驚くほど近所に、家出少女の実家があった。
何だか、もう何年も来ていなかった気がした。実際には一月程なのだが。
「ただいまぁ。」
彼女らしくなく、砕け調子だった。
玄関を上がる。其の時、家の奥から、ドタバタと騒音が聞こえた。
「好ちゃん!?」
母である。
「友達の家行ってたんじゃ・・・・・・」
「・・・・・家が少し恋しくなったの。恋はいる?」
「ああ・・・・自分の部屋で音楽でも聴いてるんじゃない?」
前にも言ったが、恋は私の妹である。恋の部屋の所在はしっかり頭に入っている。
「レーーーン!」
扉を文字通り開け放って、其の名を叫ぶ。しかし恋は学習机に腰掛け、ヘッドフォンで音楽を聴いてノリノリになっていた。
そろりそろりと近寄る。そして脇腹を鷲掴みにする。
「あっひゃあ!?」
イスから猫のように飛び上がる。
なに!!なに!?と、慌てふためきながら振り向いた。
振り向けばそこには、上機嫌な姉貴がいた。
「よぉ!帰ってきたぜ。」
「お、お帰り・・・・おねぇちゃん。」
久々に再会した姉妹は、母の持ってくるお菓子やらジュースやらを堪能しながら、尽きぬ話を続ける。楽しい会話だった。ヤな思い出が薄れていく。嗚呼、幸せ。
幸福感に溺れる好に、招かれざる、とゆうか。少なくとも招いちゃいない客が現れた。
「好ぃ。お客さんよぉ。」
母の声。
客?私に?




