少し気になった事
ここら辺から、バットエンドが色濃くなる。
「んじゃ。帰るねぇ。」
「ホント、何しに来たんだよ。」
「何よぉ。用が無きゃ来ちゃいけない訳ぇ?ほな、さいならぁ。」
本当に嵐のように去って行った。
「何だったんだろ。なあ、好。」
返事は無い。いつの間にか好は消えていた。
「・・・・・何処行ったんだぁ・・・・・アイツ。」
なんとなく、なんとなく。胸騒ぎがする。
一方、沙凪の心配の種は日和子の下に居た。
「何?どうかしたの?胸おっきくする方法なら知んないよ。」
「そんな事訊きに来たんじゃありません。」
「・・・・・じゃあ、何?」
どこか深刻な空気を察して、日和子も開き直る。
「お尋ねしたい事があるんです。」
「何でも訊きなさい。できっしこ答えるから。」
「その・・・・」
意を決して好は尋ねる。
「貴女は、沙凪さんの事、愛してますか?」
「・・・・・・は?」
少女の白磁のような肌は見る見る夕焼けが如く、赤くなる。
「そ、そりゃあ。弟としては・・・・・愛してる。かな?」
「そうじゃないんです。異性として、愛してますか?」
好の余りに真剣な表情に日和子まで顔が火照る。
「そ、そんな訳ないでしょ!?弟よ!弟・・・・」
「そうですか・・・・・」
残念そうな、哀しそうな、いや、そんな言葉では表すことの出来ぬ悲愴感に満ちた表情だった。
「なぁにぃ?オネェさんが、沙凪を自分から取っちゃうぅ、なんて思っちゃった?」
そんな砕けた言葉を使う場面ではない事を、日和子は重々承知していた。
しかし、使わずにはいられなかった。それほどまでに少女は暗く沈んでいた。
「ありがとうございました。」
そうとだけ返すと、少女は沙凪の下へ向き直り、ゆっくり歩み始める。
「あ・・・・」
呼び止めようとした。しかし言葉が出ない。
あんな背中。たかが十五歳がしていいものではない。分かってるのに。
日和子はただ立ち尽くし、見送る事しか出来なかった。




