ー魔境の森~浅層~4ー
「順調にここまで来れたね」
ユーグたちは浅層の奥までやって来た。ここまでの道中の魔物はビックマンティスだけを狩り、それ以外の魔物は避けることでそれほど時間をかけずに来ることができた。しかしビックマンティスともさほど遭遇はしなかったため依頼分の素材はまだ集めきれてなかった。
〈そうじゃのう、よしまずはビックマンティスを探して依頼を終わらせるとするか〉
「了解!
僕の魔力探知ではまだ見つからないんだけど、ブリューはどう?」
「ぐるぅ、ぐるる」
「見つけられた、じゃあそこに案内してくれる?」
「ぐるぅ!」
ブリューが先導してユーグたちはビックマンティスの反応があった場所に向かう。
・・・
「3体か、あれらを倒せば半分くらいになるね」
〈どういった戦法で今回は行くのじゃ?〉
「昨日、ニルスさんがウォール系の魔法でアイスボアを抑えて戦えば2体は相手できるって言ってたでしょ?
だからそれの練習をしようと思って」
〈ほう、そうか。
まぁビックマンティスもアイスボアほどじゃないが直線的な動きをする魔物ではあるな。
それでウォール系の魔法を使ってどうするのじゃ〉
「まずは魔法で2体を速攻で倒してから残りの1体がこっちに来たタイミングでブラブのアースウォールで止めてもらう感じかな。
僕のウォーターウォールじゃ止めるの難しいでしょ?」
〈そうじゃのう、ウォーターウォールはアースウォールに比べたら物理の攻撃には弱いのじゃから、ビックマンティスの突撃を防げはしないかもしれん。
アースウォールなら物理の攻撃にも強いから大丈夫じゃろう〉
「だよね、じゃあこんな感じでいいか。
もしアースウォールでもビックマンティスが止められなかったらブリュー頼むよ。
今回はあまり活躍の機会を与えられないけどお願いね」
「ぐるぅ!」
「よし、じゃあ行こうか、ブラブ」
「ゴブッ!」
「……ウォーターランス×2!」
「……ゴブブゴブ×2」
ユーグとブラブは魔力を動かし属性へと変化させ具現化させた。目の前に水と闇の槍が2本ずつ現れる。その魔法の槍がビックマンティスに向かって飛ぶ。
「「「キィシャアァァ!」」」
魔法の槍がビックマンティスに飛んでいる中にその存在に気づき、避けようとする。しかし通常より魔力を込められスピードが増している魔法の槍の方が先にビックマンティスに届き2体のビックマンティスはその身を貫かれた。
「キィシャァ!」
魔法の標的にならなかったビックマンティスは翅を広げ、ユーグたちに向かって真っすぐ突き進んで来た。
「ブラブ頼むよ!」
「……ゴブブゴゴブ!」
ブラブは再び魔力を動かす。その魔力は属性へと変化はするが具現化はさせず、その魔力は地面に通され干渉する。干渉された地面から土が勢いよく盛り上がガリユーグたちの目の前に土の壁が生成された。
「キィシャアッ!?」
ビックマンティスは土の壁が出来上がる直前に急加速しユーグたちに向かっていたため避けることもできずそのまま思い切りぶつかった。
「よし!上手くいったね。
今のうちにもう1回……ウォーターランス×2!」
土の壁にぶつかり動きを止めたビックマンティスにユーグは壁から横に飛び出し水の槍を放つ。水の槍はビックマンティスに真っすぐ進みそのまま突き刺さった。
「キィシャァァ……」
ビックマンティスは動きを止めて横に倒れるのであった。
「上手いこといったね。
ナイスタイミングだったよ、ブラブ!」
「ゴブー!」
〈うむ、今のは本当に良かったのじゃ。
ビックマンティスはアイスボアほどの突撃の力はないが、その分小回りが利くのじゃよ。
じゃからタイミングによってはビックマンティスに回避される可能性があったのじゃが、ブラブが良きタイミングで出してくれたおかげで上手いことハマったのう〉
「これならアイスボアとでも大丈夫かな?」
〈アイスボアは一度走り出したら中々止まることは出来ず、小回りも利かんからビックマンティスほどタイミングを考えなくてもいいから今よりは楽にいけると思うのじゃ。
じゃがその分力とスピードは増しているからのう生半可なウォール系の魔法では破壊されそのまま突撃されることもある。
魔力を今の以上に込めることを忘れるんじゃないぞ〉
「ゴブッ!」
「それならアイスボアと戦うときはブラブのウォールの前に僕のウォーターウォールを出して勢いを弱らすのはどうかな?」
〈ブラブだけのウォール系の魔法でも十分アイスボアを防ぐことは可能じゃと思うが、ユーグのもあれば余計に破られる心配はないのう〉
「よし!じゃあアイスボアと戦う時はその戦法でいこうか。
じゃあビックマンティスをしまって、出発しよう!」
ユーグたちはビックマンティスを保管庫にしまい、その場を立ち去るのであった。
・・・
「ふぅ、これで依頼の素材は集め終わったね。
まだ時間はあるからアイスボアと戦うことはできるかな?」
ユーグたちは浅層の奥部でビックマンティスを探し続け依頼の素材を集め終えた。まだグリムノーデンに帰還しようと思っていた時間に達してはいなかったためアイスボアを探すことをユーグは提案する。
〈うむ、ここではあまり出ないかもしれんが、時間にはまだ余裕があるからのう探してみるとするか。
もし帰還する時間になって見つからなくても今日の依頼の達成金で稼ぎは十分じゃろ。
昨日の狩りが意外と稼げたからのう〉
「うん、そうだね。
じゃあ探してみますか。
僕の魔力探知ではアイスボアの反応はないけどブリューはどう?」
「ぐるぅ?ぐるぅる」
「ブリューも反応を見つけられてないのか。
よし、とりあえずここから移動して中層にはいかない程度のところ動き回ってみようか」
ユーグはそう言うとその場を離れアイスボアを探すことにするのであった。
・・・
「ちょうど2体のアイスボアがいて良かった」
依頼の素材を集め終えてからさほど時間をかけずにユーグたちはアイスボアを見つけることができた。しかも運よく2体のみでちょうど狙っていた個体数である。
〈そうじゃな、周りにも他の魔物もおらんみたいじゃからな。
それでさっき話してたように戦うのか?〉
「そうだね。
ウォール系の魔法もビックマンティスで十分練習したから試してみたいと思うけど、どうかな?」
〈わしは平気じゃと思うぞ〉
「了解、それなら1体はブリューに抑えてもらって、もう1体はブラブも頼むよ。
最初に僕の魔法でアイスボアを狙うからそこからこっちに向かって来たらアースウォールをする感じで」
「ぐるぅ!」 「ゴブッ!」
「じゃあ行くよ。
……ウォーターランス×4」
ユーグは魔力を動かし水の槍を4本出現させた。水の槍は2本ずつそれぞれアイスボアに向かった。
「「フガガアアア!」」
ユーグの魔力の高まりを感知したアイスボアたちも自身の魔力を動かし氷を纏い始めた。完全に氷を纏い終えたタイミングで水の槍がアイスボアに到達するが、身に纏っている氷を破壊するだけにとどまりその身を傷つけるには至らなかった。
「「フガガァァ!」」
水の槍を氷で防いだアイスボアたちは今度は自分たちの番だと言わんばかりにユーグたちへ突撃する。
「ぐるぅああぁ!」
1体のアイスボアにブリューが突撃しぶつかり合う。そのまま両者は組み合い、ブリューはアイスボアを抑え込む。もう1体のアイスボアはユーグたちに向かって突き進む。
「……ウォーターウォール!」
「……ゴブブゴゴブ!」
ユーグは魔力を動かし属性へと変化させ具現化させる。具現化した魔力は水の壁となりユーグたちの前に出現した。ブラブは魔力を属性へと変化させた後地面に干渉し、水の壁の後方に土の壁を生成する。
「フガッ!?」
アイスボアはソタが言ってたように走り始めると止まることが出来ずにそのまま水の壁と土の壁に突っ込む。アイスボアと魔法の壁の衝突で凄い音が響き渡るが、2重の魔法の壁を壊すことが出来ずアイスボアは動きを止める。
次の投稿は水曜20時です。




