ーアイスボアー
次は金曜です。
「今回は問題なく普通に倒せたな。
ユーグ、アイスボアは脅威を感じると氷を纏うのが特徴だ。
それにあの氷を飛ばしてくることはないが、イノシシ形の魔物の突進は元々かなりの威力があるがアイスボアの氷の纏いながらのはそれらを上回るからな。
注意が必要なんだ」
「それでニルスさんが攻撃しないでクラウスさんたちの前で構えていたんですね」
「ああそうだ。
誰かの攻撃が失敗してアイスボアがこっちに向かって来たら、クラウスたちだけでは太刀打ちできないからな、それで俺が盾になってたんだ。
昨日の時も同じだが、3体いたからな。
本来ならクラウスたちかロッテがアイスボアを倒していたら俺が前に出る予定になっていたんだ。
そういうこともせずにロッテ1人で倒してしまったがな」
「そうだったんですね」
ニルスは[熊の腕]が倒したアイスボアをマジックバックに回収しながらユーグに昨日と今回のアイスボアとの戦闘の説明をしていた。
「そうよ、昨日のアイスボアはあたしたちの事を無視していた感じだったから氷を纏いもせず楽に倒せたけど普通は氷を壊してからじゃないととどめの攻撃は難しいのよ」
「そうだな、その氷を破壊できるかでアイスボアの狩りの難易度は変わるな。
それでどうする?ユーグ。
次はユーグたちでアイスボアと戦ってみるか?」
「いいんですか?」
ニルスはユーグにユーグたち単独でのアイスボアの狩りの提案をする。
「もちろん、構わないぞ。
じゃないと一緒に来た意味がないからな」
「じゃあやってみたいです!
でも僕たちだけで倒せるかな?」
「俺の見立てではたぶんできると思うぞ。
さっき俺が使ったランスの魔法は戦闘試験でのユーグのランスと同じくらいの魔力を込めてたからな、ブリューもいることだし氷は壊せるだろ。
まぁでも出来なくても俺たちがサポートするから大丈夫だ」
「わかりました、それを聞くと僕たちで倒せそうな気がします」
「よし、それなら今回みたいに2体か単独でのアイスボアがいいだろ。
カールどうだ?気配を感じるか?」
「単独でのアイスボアはいなさそうだ。
2体ならギリギリ気配を感じるとこだな」
「じゃあその2体のアイスボアのとこへ案内してくれ」
カールを先導にしユーグたちと[熊の腕]は気配があったアイスボアのとこに向かった。
・・・
「よし、2体のアイスボアだな。
周りにも他の魔物の気配は感じられないな。
1体は俺たちが受け持つからもう1体のアイスボアをユーグたちが相手してくれ」
ユーグたちと[熊の腕]はカールが感知したアイスボアの近くまでやってきた。カールの感知通り2体のアイスボアで周りには他の魔物の気配もない。
「わかりました」
「どういう戦術をするのかは任せるからな。
あまり失敗たときのことを考えず自由に戦ってくれ」
「はい!
それじゃあどうしようか?
とりあえず最初に僕とブラブの魔法で戦ってみる?
ランスの魔法なら纏われている氷も破壊できるみたいだし」
〈うむ、それでいいのじゃが、せっかくサポートしてくれる[熊の腕]がいることじゃしブラブは拘束魔法でもいいんじゃないか?
これからのことを考えるならアイスボアは突進が脅威じゃからな、それを回避するためにも拘束魔法を使った方が良いじゃろ。
もし失敗しても[熊の腕]もいるのじゃし、どのくらいの魔法で拘束できるかは試した方がいいのじゃ〉
「そうだね、その方がいいかも。
じゃあ僕はランスの魔法でブラブはバインドの魔法でお願い、それでブリューはニルスさんみたいにもし突進して来たらガードしてね」
「ゴブ!」 「ぐるぅ!」
「じゃあそんな感じでいこうか。
ニルスさん、僕たちの準備は出来ました」
「よし、俺たちも準備は出来てるからないつでも大丈夫だ。
ユーグたちに合わせるからいつでも始めてくれ」
「はい、わかりました。
じゃあブラブいくよ!」
「ゴブ!
……ゴブブ!」
「……ウォーターランス×2」
ユーグとブラブの目の前に水の槍と土の輪が現れる。魔法の槍と輪はそのまま真っすぐアイスボアへと向かう。
「フガガアアア!」
ユーグとブラブの魔力の高まりで魔法とユーグたちに気づき、アイスボアは魔力を動かし氷を纏い始めた。
「フグゥ!」
まず先に水の槍がアイスボアに到達し、その身に纏っている氷を破壊した。しかし続いて土の輪がアイスボアに当たるが一瞬だけ拘束しただけでアイスボアが力を入れるとすぐに拘束が解かれてしまった。
「やっぱりダメだったか。
とりあえずアイスボアの行動を遅らせないと。
……ウォーターアロ―×5」
「……ゴブブゴブ×2」
土の輪を破壊したアイスボアはすぐに突進の行動を取るべく身体をユーグたちに向ける。その間にユーグとブラブは再び魔法の準備を整え水の矢と闇の槍を出現させた。魔法の矢と槍はすぐにアイスボアに向かって飛ぶ。
「フゴゴォォオ!」
アイスボアは身体を動かし、水の矢と闇の槍はアイスボアの氷へと当たる。行動を若干阻害することには成功するが、そのために魔力を込めることはしなかったため纏っている氷を破壊することは出来なかった。そしてアイスボアはそのままユーグたちに向かって突き進む。
「ぐるぅああ!」
突進してきたアイスボアにブリューが全力で疾走しぶつかる。ブリューも重量がある魔物であるためアイスボアの突進を正面から受け止める。アイスボアは突進を受け止めているブリューをどかそうとより一層力を入れる。それに対抗してブリューもまた力を入れアイスボアを留まらせる。アイスボアとブリューは拮抗状態に入った。
「よし!ブラブ、今のうちに氷がない部分にランス系の魔法を当てるよ。
……ウォーターランス×3!」
「……ゴブブゴブ×2!」
三度ユーグとブラブは魔法を放つ。目の前に出現した水の槍と土の槍はブリューと組みあっているアイスボアに向かって飛ぶ。ユーグとブラブは魔法の槍を操作し、ブリューを避けてアイスボアに当てる。
「フガガァァ!」
ユーグたちの魔法の槍はアイスボアの氷のない部分に当たるが、操作性を重視して放っていたためアイスボアに致命傷を与えることは出来なかった。しかし魔法の槍が当たったためにアイスボアの組み合っている力が弱まる。
「ぐるるぅぅ!」
その隙を逃さずブリューはアイスボアを横なぎに倒し、自身の爪に氷を纏わせ氷爪でアイスボアの無防備な部分を突き刺す。
「フゴォォ……」
アイスボアは力ない声をあげ、ほどなくして動きを止めた。
「[熊の腕]の皆さんはほうは?
もう終わってるよね。
ふぅ、やっぱり浅層とは全然違うね」
ユーグはアイスボアが完全に倒れたのを確認すると残心しながら[熊の腕]の方を見る。[熊の腕]は余裕を持ってアイスボアを倒し終えており、ユーグたちの戦闘を見守っていた。
「ユーグ、アイスボアを相手した感想はどうだ?」
「はい、今まで戦ってきた魔物とは全然違いました。
同じくらいの魔物で言うとミミックオウルがいましたけど、あの魔物は素早いのと姿を隠すので攻撃を当てるのが難しかったのが、アイスボアは纏ってる氷が邪魔で魔法も考えて放たないと中々倒しにくい相手だと思いました。
僕たちならどちらかというとミミックオウルの方が倒しやすい魔物ですね」
「そうね、ミミックオウルは攻撃が当たればシルバーランクでも倒せるけど、それをするのが難しいのよね。
アイスボアは逆に攻撃を当てるのは簡単でも倒しきる威力や数はけっこう必要よね。
ユーグ君はまだ威力が高い技を持ってないみたいだから、討伐ランクが低くてもアイスボアの方が倒すのが難しいはずよ」
「でもユーグの戦闘を見ている限りアイスボアは2体でも大丈夫じゃないかな、ユーグはウォール系の魔法は使えるか?」
「はい、僕もブラブも使えます」
「それなら1体はブリューが抑え、もう1体をウォールで突進を妨害しながら倒せば2体までなら相手できるじゃないか?」
「そうですね、今戦った感じで言うとたぶん大丈夫そうです」
「そろそろアイスボアをしまって移動しようぜ、早くしないと魔物が来るかもしれんし」
戦闘を終えての感想をユーグとニルスとロッテでしているとクラウスが移動を促す。
「そうだな、移動しようか」
アイスボアを保管庫とマジックバックに仕舞ったユーグたちと[熊の腕]はその場を離れるのであった。
次は金曜の20時に投稿します。




