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ー魔境の森〜浅層~2ー

今週も20時に投稿していきます。


「……ゴブブブ!」

 

 ブラブの前に黒い霧が出現する。その霧はユーグたちの視線の先にいるビックマンティスに向かう。ビックマンティスは魔法に弱いため魔力の高まりにも気づかず黒い霧の接近を許す。その黒い霧がビックマンティスたちに当たる寸前1体のビックマンティスが黒い霧の存在に気づく。


「よし、このまま行こうかって、なっ!⁉」


 黒い霧の存在に気づいたビックマンティスは翅を広げ背を低くし黒い霧の下を通る形で急加速しながらユーグたちに突撃してきた。黒い霧は1体のビックマンティスには避けられたがもう1体の方に当たり視界不良にさせる。


「ぐるぅわぁぁ!」


 急加速し突撃をしてきたビックマンティスに向かって、同じくブリューも駆け出し正面からビックマンティスに体当たりを喰らわす。


「ブリュー、そいつの相手は任せたよ!」


 ユーグはそう言うとダークフォグによって視界が遮られているビックマンティスに近づいた。


「ハァー、せぇい!」


 身体強化を掛け走りながら魔力をショートソードに流し横に構える。そのまま真横に剣を振りビックマンティスを斬撃を与える。しかし視界不良になりながらも何かの気配を捉えビックマンティスはその斬撃を自身の鎌で受け止める。


「目が見えないのに僕の攻撃をカードするなんて。

 でもそこまで力が入ってなかったから、このまま攻撃し続ければ」


 ユーグは自身のショートソードが受け止められた際、ビックマンティスの力が弱かったことに気づいた。視界が遮れているためにビックマンティスはユーグの攻撃を直前でしか気づくことができず、力を込めることができなかった。ゆえにこのまま攻撃を続けていけば守り切れずに倒せると考え、再びショートソードを構え、ユーグはビックマンティスを間断なく攻撃を与えていく。


「ハァ!ハァー!せぇい!」

 

 元々ユーグの攻撃を受け止めるのもギリギリの状態であったビックマンティスは徐々にユーグの攻撃をその身に受けることに。攻撃を受けダメージが蓄積していくビックマンティスは動きもどんどん緩慢になっていき、ユーグに決定的な隙を見せる。ユーグはその隙を見逃さずショートソードでビックマンティスの身体を両断する。


「ふぅ、意外と粘り強かったな。

 最初ショートソードを防がれたときは驚いたけど、力が弱かったから大丈夫だったね」


 ユーグがビックマンティスを倒す少し前にブリューもダークフォグが当たっていないビックマンティスを倒していた。ユーグがビックマンティスを倒すのをもって戦闘状態を解く。


〈野良の魔物はダンジョンの魔物と違い、経験を積めるからのう。

 あのビックマンティスは戦いの経験が豊富じゃったのかもしれんな。

 もう少し上位の魔物じゃったらあの状態でも防ぎきり、ユーグが押し切られたかもしれんのう〉


「うん、そうだね。

 だからもっと剣の鍛錬をして頑張んないとね」


〈そうじゃのう、闘技を使えるようになれば防がれてもその防御を貫いて攻撃を与えられるかもしれんしのう。

 頑張るじゃぞ!〉


「ゴブッ!」 「ぐるぅ!」


「うん、ブラブもブリューも一緒に頑張ろうね!」


 ユーグたちはビックマンティスをそのまま保管庫にしまい、また探索に戻っていく。


・・・


 その後もユーグたちは魔物を見つけ討伐していく。ビックマンティスのあとに見つけた魔物はマジックフォックスとグレーウルフであり、どちらもすでにダンジョンで既知の魔物であったため接近戦をメインで魔法をその補助としてダンジョンと同じように戦っていた。


「マジックフォックスとグレーウルフたちはダンジョンで何度も戦ったけど、野生の魔物だと少し手ごわいね」


 〈ビックマンティスの時も言ったが、野良の魔物は経験豊富のやつもおるからのう。

 ダンジョンの魔物と比べたら知恵を使い戦ってくるのじゃよ、じゃから少し手ごわく感じたのかもしれんのう〉


 冒険者や兵士などの戦闘職の間では野生に生息してる魔物よりダンジョンの魔物の方が容易に討伐できることで有名であった。これは研究者によるとダンジョンの魔物は成体でダンジョンによって生み出されるため、その戦闘の仕方はダンジョンが記憶している魔物の戦闘方法しかインプットされておらず画一的な戦闘しかできないのが理由である。複数出現する階層なら同じパーティー内の魔物とは連携は行うが、その仕方も同じ階層内の違うパーティーでも同じであった。それと違い野生の魔物は魔力から生まれてくる魔物以外は動物と同じ生態を持っているため幼体から生まれてくる。成体になるまでの成長過程で戦闘を含めた色々な経験を積め個性も出てくるためダンジョンの魔物と違い画一ではない戦闘の仕方をしてくる。ゆえに野生の魔物の方が手強いものになってくるのであった。ちなみにダンジョンの魔物も長く生存することができ、多くの戦闘を積めば野生の魔物のように経験を積み手強い魔物になるが、通常ダンジョンの魔物はすぐに冒険者などのダンジョンで活動するものに倒されてしまうため、未だかつてそう言った魔物は記録されていないのであった。


「うん、実際同じ魔物と戦ってみてわかったよ。

 まだアイアンランクだからそこまで違いがなかったけど、頭が良い魔物だったり強い魔物だとダンジョンと同じ戦い方したらヤバいかもね」


〈そうじゃのう、グリムノーデンにおる分には問題ないじゃろうな。

 これからはあのダンジョンに行く機会もほぼないじゃろうし、魔境の森での活動が主体になるしのう。

 まぁダンジョンばかりにこもらずちゃんと外での狩りもしとけってことじゃな〉


「確かにここなら魔境の森のおかげで大丈夫そうだね。

 じゃあもうそろそろ戻らないと暗くなりそうだから早く帰ろうか」


〈そうじゃのう、今日はもう十分じゃろ。

 戻るとするか〉


 ユーグたちは来た道を引き返してグリムノーデンへと戻るのであった。


 ・・・


 同時刻、ユーグたちがいた所より奥の魔境の森浅層


 ある冒険者パーティーが魔境の森の浅層域で何かを置いていた。


「ふぅ、それにしてもこんな楽な仕事が30000ドーラとは良い仕事をもらったな」


「ああ前金で半分も貰えたからな。

 武器を買い変えてもまだ余ってるぜ、残りも貰ったら街で豪遊だな」


「そうだな、でも俺らが置いてるこれはなんなんだ?

 楽な仕事だが奇妙な内容なんだが」


「依頼主はどう見ても裏の奴らだろう、森に何かをやるなんてどう考えても良い影響を与えるなんて考えられんしな。

 まぁどうせ悪影響でるのはここドライツェンだからな、俺らには関係ねぇよ」


「おい、もしかしたらこれ国に戻ったら売れるかもしれんぞ。

 何かはわからんが持ち帰って売ろうぜ」


 冒険者パーティーの1人が持っている袋を指しながら持って帰る算段の話をし始める。


「おい、止めとけよ。

 裏の奴らが関わってるもんなんて、バレたらどうなるかわからんぞ」


「平気だよ、ドライツェンの裏の奴らがロワイシュバリーまで来るはずはないだろ。

 それにだ前金でこれだけくれるってことは俺らが置いてるこれも重要なもんってことだ、これの効果が分かれば大金が手に入るかもしれんぞ」


「うーん、でもな……」


「どうせこの仕事が終わったらとっととこの国を離れて戻る予定だったろ?

 それならこれくらい持ってても大丈夫さ」


「おーい、次の場所いくぞ!」


「おう、わかった。

 ほら早く行こうぜ」


「ああ、でもな」


「気にしすぎだよ、それにしてもこの国奴らは何でテイマーなんぞに地位を与えるのかな」


「ああ、あの魔力の圧が強かった奴のことだろ?」


「そうだ、話を聞いてみるとアイツは冒険者ギルドの中でも上の方の奴らしいぞ」


「そうなのか、でもどうせ魔道具かなんかを使ってインチキしてるんだろ。

 それのネタがわかれば俺らでやってやるのに」


「なぁそれならその前にいたあのテイマーのガキをやっちまおうぜ。

 最近この森に来てるらしいからな、見かけたらやっちまって従魔も素材にして国に戻ってから売ってしまえばバレねぇだろ」


「そいつはいい案だな、でも森で見かけたらな。

 街中だとマズいし、そのために時間を取られるわけにもいかないしな」


「ああ、わかってるって。

 見かけることを神に祈るとするか」


 

明日も20時に投稿します。

平日の5日間は投稿で、

土日はお休みさせていただきます。

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