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ーポーションー

今週も20時に投稿していきます。


「おう、ユーグ、久しぶりでもないか。

 今日は何してたんだ?」


「あら、ユーグくんじゃない、こんにちは」


「あっニルスさんにロッテさん、それに[熊の腕]の皆さん、こんにちは。

 今日は鍛錬と冒険者活動をお休みして街を見てました」


 ビックマンティスを倒した日から数日ユーグたちは変わらず午前は闘技の鍛錬を行い、午後は魔境の森へ行き浅層域で活動していた。この日は連日鍛錬と魔境の森に行っていたため休みを取り、グリムノーデンの街を見て回っていた。ちょうど冒険者ギルドがある大通りを見ていたところに[熊の腕]の皆がやって来てユーグに声をかける。


「そうだったのか、何か面白いもんでもあったか?」


「いやー、特には。

 必要なものは最低限揃えたので他に何を買った方が良いのかわからなかったので、商店を見て回っていただけなので」


「そうなの?

 ユーグ君の言う最低限の道具って何を持ってるのかな?」


「はい、主には野営道具です。

 他には解体用のナイフくらいですかね」


「ポーションとかは持ってないのか?

 それともユーグ君たちの誰かが回復魔法を使えたりするのか?」 


「いや、僕もまだ回復魔法は使えないですね。

 ポーションは持ってますよ、自作で作っているので」


「あら、ユーグ君なら水の属性なんだから回復魔法も使えたりするんじゃないの?

 水と光は他の属性より回復ができるんだから」


 身体が傷つけられたり、不調が出たりした場合この地方では主に2つの方法が採られる。1つはポーションという俗に言う回復薬という魔力によって薬草の効力を上げた薬を用いる方法である。2つ目は魔法によって治す方法である。属性によって出来ること出来ないことはあるが、この回復という現象においては全ての属性で共通して行えるものであった。その場合属性によって効率的に治せる対象が違うが、こと人や魔物などの生物の回復は水と光の属性が効果的である。【ジョブ】の治療師のものたちも多くはこの属性を持っており、それを活かして治癒という行為をしていた。


「そうなんですけどね。

 森にいたときも錬金術の練習でポーションを常備していたので、本格的に鍛錬したことがなくて。

 今度他の魔法と一緒に練習してみます」


「おう、回復魔法は使えたことに越したことはねぇからな。

 それにしても道具はそれで十分じゃないか、他に何か必要なもんとかあったっけ?」


「うーん、今は思いつかないわね。

 普通はある程度稼げるようになったらマジックバックを買うことを勧めるんだけど、ユーグ君は空間魔法使えるからねぇ」


「あっそうだ!

 もし時間があるなら明日俺たちと一緒に魔境の森に行かないか?

 一緒に活動していたら使える道具に何か気づくかもしれんだろ」


「うん、それはニルスにしては良いアイディアね!」


 ユーグに冒険者活動で必要な道具を教えようとしたニルスやロッテだったが、ユーグは必要最低限のものはすでに揃えており、特に他のものは思いつかなかった。そこでニルスはユーグに魔境の森での行動を誘う。


「えっいいんですか!?

 僕まだ浅層でしか行動したことないんですけど」


「そうなのか?

 でも浅層域の魔物たちはユーグたちの相手にはならんだろ?

 中層でも奥に行かなければ大丈夫そうだしな」


「そうね、中層は浅層より広いし魔物も多いからね。

 奥の深部の方に近づかなければ強い魔物もそこまで出てこないしね」


「そうなんですか?

 じゃあ僕たちも一緒に連れて行ってもらっても平気ですか?」


「ああ、もちろんだ。

 中層の魔物なら余程奥から強力な魔物が出てこない限り俺たちだけで大丈夫だからな」


「それじゃあ明日はよろしくお願いします!」


「ぐるぅ!」 「ゴブ!」


「よし、じゃあ明日の朝は『嵐豹』で集合だな。

 そこから冒険者ギルドに行くとしよう。

 また明日な」


「はい、また明日!」


 [熊の腕]はユーグたちと別れ街の中を歩き出す。


〈ユーグよ、明日は魔境の森へ入る前にわしが話せることを説明した方が良いじゃろな。

 [熊の腕]の皆は知らんからのう、突然森の中で話し始めたらビックリするじゃろ?〉

 

「うん、そうだね、僕たちと[熊の腕]の皆だけのタイミングで話そうか。

 それで僕たちはこのあとどうしよう?

 道具はもう今日はいいでしょ」


〈そうじゃの、特に欲しいものや必要なものはなかったのじゃろ?

 それなら明日[熊の腕]と一緒に活動してからで大丈夫じゃな。

 うむ、それなら久しぶりにポーションでも作るとするか?

 こないだ大量に薬草を取ってきたからのう、街に卸す分も含めてまとめて作るか〉


「いいね!

 でもどこですればいいんだろう?

 流石に『嵐豹』じゃダメだよね」


〈一度戻って確認してみるか。

 ダメだったらどこでやれるのか聞けばいいのじゃからな〉


「うん、わかった!」


 ユーグたちは大通りから裏道に入り『嵐豹』へ戻る。


 ・・・


「良かったね、簡単なポーション作りなら部屋でもいいってなってて」


〈そうじゃのう、難しい薬作りだとそもそも薬草や素材の臭いがキツイ上に作業の工程でもっと濃くなってしまうからのう。

 そういうものを扱い時は薬師ギルドに行った方が良いな〉


「まだ僕はそういうのは作れないから当分は部屋でもできるね。

 じゃあ始めようか」


 ユーグはそう言うと保管庫から大きな鍋みたいなものを取り出した。


「……ウォーター。

 鍋に水が半分くらいの量になったら、すでに下処理をしてある薬草たちを入れて」


 ユーグは魔法で水を鍋に出す。その水が鍋に必要量満たしたら保管庫から取り出した乾燥し細かくしてあった薬草を鍋に入れていく。


「それで鍋に魔力を流しながらかき混ぜるっと」


〈ポーションの作り方はちゃんと覚えていたようじゃのう。

 しばらくかき混ぜればできるのじゃが、その時均一の量の魔力を流すことを意識するのを忘れるなよ。

 魔力の量がブレるとムラが出てポーションの質に悪影響が出るからのう〉


 錬金術でのポーションの作り方は魔力が重要になってくる。水に薬草を入れるまでは薬師の調合とそこまで変わりがないが、そのあと錬金術では魔力を使いポーションを仕上げていく。水と薬草に魔力を流しながらかき混ぜ、2つのものが合わさるようにするとポーションは出来上がる。この際魔力は水と薬草を合わせる接着剤みたいな役割を果たすのと同時に薬草の効果を上げる役割もある。また混ぜ合わせる水に高濃度の魔力がある場合はその魔力が薬草との接着剤代わりになるため、かき混ぜる際の魔力は薬草の効果を上げる役割のみを果たすためより高品質のポーションが出来上がる。魔力を均一に流すのは接着剤の役割を果たす時は水と薬草を均一に合わせるためであり、効果を上げるのも合わせる薬草全体に魔力を浸透させるためであった。


「ふぅ、この均一に魔力を流すのがけっこう難しいんだよね。

 これも魔力操作の鍛錬になるね」

 

〈優れた錬金術師は魔力操作もお手のものじゃからな。

 ある程度魔力操作の技量がなければそもそも錬金術は使えんし、良いものを作ろうとしたら魔力操作も上達しないといけんのじゃ。

 錬金術の製法じゃと魔力操作の鍛錬になるから一石二鳥じゃのう〉

 

「そういえば薬師が作るポーションとは作り方が違うって言ってたけど、どこか違うの?」


〈うむ薬師の場合は調合と言ってのう、詳しくは知らんのじゃが水と薬草を混ぜるのは一緒でそこから魔力を使わずに2つを合わせるのが調合じゃな。

 魔力を使わないところが薬師の腕に関わるみたいじゃな。

 製法も人によって大きく異なるのも調合の特徴らしいのう〉


 ポーション作りにおいての薬師の調合と錬金術師の錬金術の大きな違いは魔力を使うかどうかである。魔力なしに水と薬草を合わせその効力を高めるのがポーションの調合の妙であり、薬師の腕の見せ所であった。しかし全ての薬師が手探りでポーション作るのではなく基本的なレシピというものもあり、それは薬師ギルドに登録されている薬師なら誰でも見ることができる。多くの薬師はそのレシピに改良を加えポーションの効能を上げていた。またそのレシピを使わずに独自のレシピでポーション等の薬を作り上げる薬師もいるがそういったものは少数であった。


「よし、これで出来上がり。

 次もどんどん作っちゃおうか」


 ユーグはその日残りの時間をポーション作りに費やし終えるのであった。

明日も20時に投稿します。

平日の5日間は投稿で、

土日はお休みさせていただきます。

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