ー稽古が終わってー
今週も20時に投稿していきます。
「よし、今日はもうこれくらいでいいだろう。
お疲れ様!」
「ハァ……ハァ……、ありがとうございました」
ユーグの素振りは昼をまたぎ夕方前まで続けられていた。その間昼食を食べる時間以外は全て素振りに費やし、シグルズもまたそれに付き合っていた。
「凄い集中力だな、想像以上に今日一日でだいぶできるようになったと思う。
これをこのまま続けていけば思ったより早く闘技を使えるようになるかもしれんな」
「ハァ……ハァ、ホントですか?
よし、このまま毎日続けていきます!」
ユーグは疲れながら素振りを毎日続けることをシグルズに宣言する。
「その調子で頑張るんだぞ。
息も整ったことだし、そろそろ受付の方に戻るか」
「はい、わかりました」
ユーグたちはシグルズに連れられ受付に戻った。
「お疲れ様です。
ユーグさん、シグルズさん」
受付に戻るとナディネがユーグたちとシグルズに話しかける。
「おう、ナディネさんか。お疲れさん」
「ナディネさんもお疲れ様です!」
「支部長が稽古の感想を聞きたいみたいなので、また支部長室へどうぞ」
「またか、まぁ支部長が呼んでいるならしょうがないか」
「僕は問題ないですよ!」
「じゃあ案内するので着いてきてください」
ナディネはユーグたちとシグルズを連れて支部長室へと移動する。
・・・
コンコン
「支部長、ユーグさんたちとシグルズさんをお連れしました」
ナディネは支部長室の扉を叩き、中にいるであろうハンスに声を掛ける。
「おう、終わったのか。
中に入って大丈夫じゃぞ」
「はい、どうぞ中へ」
ナディネは支部長室の扉を開け、ユーグたちとシグルズを中へ促す。
「それでどうじゃったか?稽古は?」
ユーグたちとシグルズが席についたのを確認したハンスは稽古の感想を聞く。
「俺はあとでも平気だから、先にユーグが答えてくれ」
「はい!えっーと、僕は凄くためになりました!
今までわからなかったことがわかったので」
「ほう、剣のことでわからなかったことか。
何がわからなかったのじゃ?」
「はい、剣の事っていうか闘技をどうやって出せるのかがわからなくて。
[熊の腕]の皆さんに聞いたときも、僕の魔力操作なら闘技が使えておかしくないって言われてたんですけど使えなくて。
でもシグルズさんにその原因を教えてもらったので大丈夫そうです」
「原因については俺が説明しよう。
支部長はユーグの戦闘試験を担当しているから知ってると思うが、ユーグの魔力操作は年齢につり合わない高レベルだ。
それが原因で闘技が使えなかったと俺は考えている」
「なるほどのう。
魔力操作が高いために闘技の動作が頭に出なかったのか、それは使えないはずじゃのう。
シグルズの推測はたぶん合ってるとわしも思うのじゃ」
「まぁだから俺が2つほど闘技の見本を見せてから、素振りをしてもらった。
今日見た感じだとこのまま素振りを続ければもう少しで使えるようになると思う」
「それは思ったより早いのじゃな」
「まぁそうだな、思ったより優秀だったというのが1番かな。
それに自分の力量に驕らず向上心がある、今日も昼以外休まずずっと素振りを続けていたからな。
大人でもあれほどの集中力を持って素振りを続けることはできない。
これが続けばできるのもそう遠くないはずだ」
「そんな、優秀だなんて」
「まぁあの魔力操作だけを見てもユーグはその辺の同年代よりかは幾分か抜けて優秀じゃからな。
よし稽古の話はこんなもんで十分じゃろ。
他に何かなければもう戻っても大丈夫じゃが」
「俺も特に”今は”話すことはないな」
「僕も大丈夫です」
「それじゃあ、また何かあれば受付に声をかけてくれ」
ハンスはそう言い、ユーグたちとシグルズは支部長室を出て受付に戻る。
「おっ!ユーグたちだ!」
「あっ!ニルスさん、それに皆さんも!」
ユーグたちが受付に戻ると[熊の腕]の皆がいた。
「やっぱり早く戻ってきて正解だったな!
ユーグは今、終わったとこか?」
受付には他の冒険者はおらず、まだ冒険者ギルドが混む時間ではなかった。
「はい、ついさっき終わりました。
皆さんはどうしてこんな早くにいるんですか?
昨日の話では今日1日魔境の森で活動されるって話してましたよね?」
「ああ、そうなんだが……」
ニルスはユーグに近づき、小声で話し出す。
「(実は、シグルズさんに会いたくて依頼を頑張って早く終わらせて来たんだ。
昨日も話しただろ、まだシグルズさんと話したことがないんだ。
だから俺らの紹介をシグルズさんにしてくれないか?)」
ハンスはユーグにシグルズへの自分たちの紹介を頼む。
「ええ、まぁ大丈夫ですけど。
えっーと、シグルズさんこちら僕がお世話になっているマギアイアンランクの冒険者パーティーの[熊の腕]の皆さんです」
「そうか、俺は知っていると思うがシグルズだ、一応アダマンタイトランクの冒険者をしている」
「は、は、はじめまして、私は[熊の腕]のリーダーをしています、ニルスって言います。
こちらがパーティーのメンバーの、右からロッテ、クラウス、カール、ロッテです。
よろしくお願いします!」
「「「「よろしくお願いします」」」」
ユーグに紹介された[熊の腕]のメンバーはシグルズに挨拶する。
「ああ、よろしく。
それでユーグはこのあとどうするんだ?」
「僕ですか?
そうですね、まだ夜まで時間が少しあるので資料室で勉強してから宿に戻ろうと思ってます」
「それならユーグ君、夜はまた一緒に食べようよ。
私たちも宿で取るからさ」
ロッテがユーグに夕食の誘いをする。
「いいですよ。
あっそうだ!シグルズさんも一緒に来ませんか?
『嵐豹』って宿に泊まっているんですけど、そこのご飯は美味しいので。
それと今日のお礼もしたいので」
「『嵐豹』なら知ってるぞ、もちろん店主であるマゼルさんのこともな。
それに俺も一緒に行っていいのか?」
「はい、もちろんです!
ハンスさんたちもいいですか?
お金はたくさんは難しいけど、僕が出しますし」
「えっ?
俺たちも一緒にいいんですか?
シグルズさんとは初対面なのに」
ユーグがシグルズを誘ったことに驚き、さらにその誘いを了承しそうなことにさらに驚くハンスたち。
「俺は君たちが問題なければ大丈夫だな。
ユーグたちも君たちのことは認めているみたいだしな。
ああ、それとユーグ、金のことは気にしなくていいぞ。
俺が出すからな」
シグルズはユーグたち、特にソタに意味ありげな視線を向けながら話す。
「シグルズさんが平気なら、俺たちはぜひ参加したいです!
なぁみんな」
「ええ、もちろんです。
まさかユーグ君を誘ったら、シグルズさんまで来てくれるなんて夢のようだわ」
「??
じゃあ僕はこのまま資料室へ行くんで、またあとで」
「俺も一度戻ってから『嵐豹』へ行くからな。
ここで1回解散だな」
「はい、じゃあ俺たちは先に『嵐豹』へ戻るので、また夜にお願いします!
ユーグも夜にな」
「はい!」
ユーグたちは冒険者ギルドの資料室へと向かい、シグルズと[熊の腕]の皆は外へと出た。
・・・・・
「それじゃあ、今回の出会いを祝して乾杯!」
ユーグたちは冒険者ギルドでの勉強も終え、『嵐豹』へと戻ってきた。その時はまだシグルズは来ていなかったので、荷物を部屋に置き食堂で[熊の腕]の皆とシグルズを待つ。ほどなくしてシグルズも来たため、そのまま食事を始めることに。ちなみに乾杯の音頭は何故かハンスが取ることになった。
「いやー、まさかシグルズさんと話できるだけでなく一緒に食事までできるなんて、ユーグ様様だな」
「本当にね、でももっと驚いたのはマゼルさんやマリーさんがシグルズさんの冒険者の手ほどきをしてたことよね」
明日も20時に投稿します。
土日はお休みです。




