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ーシグルズとの稽古2ー

今週も20時に投稿していきます。


「闘技ですか?

 それが僕何故か使えないんですよね」


「そうなのか?

 ユーグくらいに魔力操作出来ていたら普通は楽に闘技も使えるはずなんだがな」


「それは知り合いの冒険者の人にも言われました。

 でもなぜかできないんですよね」


「1度魔力を剣に流したまま素振りをしてくれないか?

 闘技においても魔力の流れは重要だからな、それを見てやろう」


「あっ、ありがとうございます」


 ユーグはシグルズに言われたように魔力を流しながらショートソードを何度か振り下ろす。


「……(剣の扱いは初心者よりは出来ているが、中級者、上級者ほどではないな。ある意味歳相応といったところか、それに反して魔力の流れはスムーズすぎる。これは上級者並の魔力操作だな。うん?ああ、そういうことか)

 ユーグ、闘技が使えない原因はわかったぞ」


「えっーー!?

 ホントですか?」


 シグルズの言葉に驚愕するユーグ。


「もちろんだ。原因はお前の魔力操作だな」


「僕の魔力操作?」


「ああ、ユーグの魔力操作が高すぎるために闘技が出せなくなっているんだ。

 たぶん知っていると思うが、闘技はある程度武器の扱いと魔力操作ができるようになると自身が発動したいと思った闘技の動きが勝手に頭に浮かび、その動きをトレースすることで闘技が出せるようになる。

 だけどな闘技の扱いがだんだん慣れてくるとその頭に浮かぶ感覚もなくなって自由に自分で出せるようになるんだ。

 これは一説には魔力が深く関係していると言われているのだが、多分ユーグはすでにこの状態にあるのだと思う。

 だから正しい動きが頭に浮かばずに闘技をどう出せばいいのかわからないといったところだな」


 闘技は武器に魔力を流して扱う技である。そのため魔力操作もある程度は必要であった。ユーグの場合、魔力操作を重点的に鍛錬していたため、武器の技術と大幅にズレが生じていた。魔力操作が高くなりすぎているため、闘技の正しい動きが頭に浮かぶ前に自身の動きだけで闘技が発動できる状態になっていた。

 

「自由に出せる状態?

 じゃあ僕はどうやれば闘技を使えるようになるんですか?

 正しい動きがわからなければ使えないんですか?」


 ユーグは少し興奮しながらシグルズに訊ねる。


「そう焦るな。

 そうだな、今のところ解決方法が2つほどあるな。

 1つは武器の扱いユーグの場合ショートソードの技術を上げ、今の魔力操作に合う闘技を使えるように頑張るといったところだな。

 これは少し不確実性があるな、ショートソードの技術を上げてる間、魔力操作の方も上がるだろう。

 だから確実にショートソードの技術が魔力操作に追いついて闘技を使えるようになるとは言えないな」


「確かにそうですね」


 ユーグは少し落ち着きシグルズの話を聞く。


「2つ目は誰かに簡単な闘技を見せてもらい、その動きを目で覚え確実に真似ることができるまで鍛錬を続けるといったところだな。

 こっちの方はその動きを覚えるまでは時間がかかるが、覚えてしまえば確実に闘技を使えるようになれる。

 まぁ時間がかかるかもしれないのはショートソードの技術を上げる方でも同じだな」


「なるほど、どっちも僕のショートソードの腕が大事なんですね」


「ああそうだな。

 2つ目の方もある意味剣の型を覚えることに似てるからな、ユーグのショートソードの技術に関わることになるな」


「わかりました。

 それで今日は何をするのですか?」


「ショートソードの技術を上げるのは長期的な計画で考えるとして、まずは簡単な闘技を見て覚えてもらおうか。

 俺が闘技を放つからそれをよく観察しててくれ」


「はい!」


「じゃあ行くぞ!スラッシュ!」


 シグルズは剣を構えてから魔力を流しつつ剣を上から下に振り下ろす。剣は凄い勢いで振り下ろされ、地面をけずる。


「この闘技は剣類の武器全てに共通する技でスラッシュというものだ。

 俗に強攻撃とも言うな、武器によって若干効果は異なるが威力が上がるというものだな」


「凄いです!

 ただ剣を振り下ろしただけなのに地面がけずられるなんて」


「最初からこの威力を出せるってわけじゃないんだがな。

 今のは少しわかりやすいように威力を上げたスラッシュなんだが。

 魔法と一緒で闘技も魔力操作とともに武器の技術が上がれば威力をコントロールすることができるんだ。

 まぁ魔法ほど魔力操作の技術は必要ないんだけどな。

 じゃあ次は発動しないくらいにゆっくりスラッシュの動作をするから見ててくれよ」 


 そう言うとシグルズはゆっくりと剣を振り下ろす。

 

「どうだ?わかったか?

 次はユーグが今見た動きをしてみてくれ」


「わかりました。

 えっーと、こうですか?」


 ユーグは剣を上から下に振り下ろす。


「うーん、もう少し真っすぐ振り下ろす感じだな」


「こんな感じですか?」


 もう一度ユーグはシグルズの指導の通りに剣を振り下ろした。


「そうそう、そんな感じだな。

 この動きをもっと早く魔力を流して行えるようになれば、スラッシュは使えるようになるな」


「わかりました!」


「よし、次は違う闘技も見せてやろう。

 これもちゃんと見とけよ。

 行くぞ!スラッシュバースト!」


 シグルズは剣を横に構え、そのまま先と同様に魔力を流し左から右に一文字に振る。剣が一文字に振るわれるとその斬撃と同じ軌跡で何かが飛ぶ。


「何かが飛んだ?!あれは魔力?」


「よく気づいたな、これは武器に流してる魔力の斬撃を飛ばす闘技だ。

 これは基本的な闘技だがスラッシュよりかは難しいものだ。

 とりあえずさっきと同じでゆっくり動くからよく見ていてくれよ」


 シグルズは再びゆっくりと剣を横に振る。


「こんな感じだな、よしユーグもやってみてくれ」


「はい!

 えっと、こうかな?」


 ユーグはショートソードを横に構えゆっくりと一文字に振るう。


「もっと真横に振る感じだな。

 今のは少し斜めになっているな」


「こんな感じかな?」


 ユーグは再び剣を構え、シグルズの説明の通りに真横に振るう。


「まだ少しぶれてるがおおむねそんな感じだな。

 スラッシュバーストはスラッシュよりは難しいからな、素振りを続けて徐々に体に感覚を慣らせていくしかないな」


「わかりました!」


「この2つをまずは体に覚えさせればいずれ闘技を使えるようになるだろう。

 これ以上の闘技は使えるようになってからだな」


「はい!ありがとうございました!」


「ふむ、思ったより早く終わってしまったな。

 それなら闘技を自由に使えるようになるとどういうことができるかを見せてやるよ」


「自由に使えるようになるとできること?

 どういうことですか?」


「まぁ見てなって。行くぞ!」


 シグルズはそう言うと剣を構え魔力を流し真横に振るい、そしてそのまま下から上に斬り上げる。剣の斬り上げる動きと共に剣から同じ軌跡で魔力が飛ぶ。


「まぁこんな感じだな。

 魔力操作の技術が高くなければ威力の増減くらいしかできないが、今のユーグくらい出来れば自分の意思で違う動きでも闘技が出せるようになるんだ。

 だから決まった動きではできなかった闘技の連携もできたりするんだ。

 今のは一文字でスラッシュを使い、そのあと斬り上げる形でスラッシュバーストを使い魔力の斬撃を飛ばした形だな」


「凄い!僕も早くこんな風に使ってみたいです!」


 ユーグはキラキラした目でシグルズにそう言う。


「それならば素振りをするのみだな。

 スラッシュの動きは剣の基本的な正しい振り方だからな、それをするだけでもある程度剣の技術というものは上がるぞ」


「わかりました!」


「よし、じゃあスラッシュの素振りを始めてみろ」


「はい!」


 ユーグはショートソードを振り下ろす素振りを始めるのであった。

明日も20時に投稿します。

土日はお休みです。


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