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ーグリムノーデンのダンジョンー


「よし、初依頼だから頑張ろうね、皆!」


「ぐるぅ!」 「ゴブ!」 〈うむ〉


「ダンジョンは地図によるとこっちの方だね」


 ユーグたちは冒険者ギルドを出て、そのままグリムノーデン、グリムフォアを出て、草原に来ていた。地図によるとダンジョンはグリムフォアの東の方にあった。


「ここからどのくらいかかるかわからないけど、ダンジョンが遠かったらまだグリムフォアで生活する方が効率的かな?」


〈そうじゃのう、実際はどの程度かわからんがその方が良いかもしれん〉


「あっでもまだダンジョンコアを渡してないから、またグリムノーデンの冒険者ギルドに行った方が良いかも。

 それともグリムフォアの冒険者ギルドでも良いのかな?」


〈ユーグよ、それはやめた方が良いのじゃ。

 わしの知っている時よりダンジョンコアの価値も違ってる可能性があるのじゃ、元々ダンジョンコアは国が買い上げるものじゃからな、ユーグは冒険者ギルドの支部長と知り合ったことじゃし、直接渡した方が問題を起こさずに済むとわしは思うのう〉


「そっか、ソタがそう言うならそうした方がいいね。

 まぁ今はダンジョンに行くのを急ごうか。

 じゃあみんなここは街の外だからね、警戒しながら走っていこう!」


「ぐる!」 「ゴブ!」 〈わしは疲れるからブリューに乗らせてもらうか〉


 ユーグたちはダンジョンに走りながら向かうのであった。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 「ここがグリムノーデンのダンジョンかー」


 ユーグたちはグリムノーデンのダンジョン前まで来ていた。グリムノーデンのダンジョンは前にユーグたちが入ったダンジョン同様階層型のダンジョンであった。


〈入口は洞窟の形になってるみたいじゃな。

 しかし中はどうなっているかはわからんからのう、よし、入ってみるか〉


 ダンジョンは自然に出来た魔力だまりからできることが多い。その際周りの環境を模して空間を作り出すため階層によって異なる空間になることもある。


「うん、わかった。ブリュー、ブラブ行くよ!」


「ぐる!」 「ゴブ!」


 ユーグたちは洞窟の形をしている入口をくぐり、ダンジョンの中に入る。


「1階層は洞窟タイプみたいだね。

 出てくる魔物は何だろう?」


〈このダンジョンは難度2みたいじゃのう。

 じゃからこのダンジョンには罠が出てくるから注意して歩くんじゃぞ〉


「あっホントだ!地図に書いてあるね。

 でも罠ってどう解除すればいいのかな?」


〈そうじゃのう、まだ難度2には出てこんと思うのじゃが、魔法タイプの罠はユーグの魔力操作を使えば解除できるのじゃ。

 物理タイプのいわゆる普通の罠は少し技術が必要じゃから、今のままでは難しいのう。

 じゃから魔法をぶつけて解除するというか罠自体を1回発動させて行くしかないのじゃ〉


 ユーグたちがダンジョンの中に入ると、そこは薄暗い洞窟タイプの階層であった。地図に書いてあるようにこのダンジョンは難度2であり、難度2からは罠が出てくるため罠を感知できる職がメンバーに求められていた。しかし難度2の罠は殺傷するレベルの罠ではないため、難度2から罠を感知、解除する訓練をし、そういった職や技能を習得しパーティーに貢献するものもいる。

 ユーグたちは難度2に出てくるような罠はブリューの人を凌駕する五感で感知することができ、魔力を使ってできる魔法タイプの罠はユーグの魔力察知で感知ができるため、斥候職など罠に関わる技能を持つものを必要としなかった。


「じゃあブリューが先頭で、その後ろにブラブ、最後尾を僕で行こうか」


 ・・・・・


 ブリューの先導でダンジョンの1階層を進むユーグは何体かの魔物と遭遇した。それらの魔物はダブルホーンラビット、ホーンディア、ブラックバットといったユーグが攻略したダンジョンと同じ魔物であった。すでにそれらの魔物を倒したことがあるため、難なくまた倒し魔石を回収先に進んでいた。


「今のとこは全然知らない魔物は出てこないね。

 それに罠も見つからないね」


〈同じ洞窟タイプで環境もそんなに変わらないなら、そこまで魔物の種類は変わらんじゃろ。

 罠は低階層だからな、数は少ないんだろうよ〉


「そっか、じゃあマジックフォックスはこの階層では出てこないのかな?」


〈そうじゃのう、多分次の階層かその次の階層で出てくるかもしれんな

 わしもこのダンジョンに入るには初めてじゃからな、そればかりはわからんのじゃ。

 ユーグよ、依頼票には何か書いてないのか?〉


「うん?ちょっと待って……依頼票には何も書いてないね」


〈そうか、それなら階層を進むしかないのう、事前の調べがあればどこにいるかはわかったかもしれんから

 次来るときはきちんと調べてから来るとしよう。今回の教訓じゃな〉


「うん、そうだね!僕らはまだ低級の冒険者だから慎重に動かないとダメだったね。

 それは反省して次に生かさないと」


 見習いランクの冒険者はまず初めに街の依頼で金を貯め、防具や武器を買い、街の外での依頼を受ける。その際戦闘訓練などを冒険者ギルドで受けるのが一般的な冒険者の始め方であった。ユーグのような戦闘試験を受け、初めからアイアンランクになれたものは冒険者になる前から戦闘訓練等を受け育ってきているため、そのような訓練を受ける必要がなかった。またそういった訓練を受けず街の外で依頼を受ける冒険者も存在するが、そういった多くの冒険者は道半ばで果てることになる。訓練の中にはダンジョンや街の外での依頼等の注意なども教わるため依頼のための情報収集は冒険者の中では常識であった。ユーグは戦闘訓練も森の中で実践をして覚えたためそういった冒険者の常識は知らなかった。実はソタは気づいていたが、今回の依頼はユーグの実力では十分に果たすことができると考え、ユーグに自覚させるために注意をしなかった。

 

「ぐるっ!」 


「うん?どうしたの?ブリュー?

 えっこの先に変なとこ見つけた?」


〈うむ、もしかすると罠かもしれんな。

 ちょっと確認しに行くか〉


 ブリューが何かを見つけ、それをユーグに報告する。それを聞いたソタは確認するようユーグに言う。ユーグたちはブリューが見つけたものの確認に向かうのだった。


「ぐる!」


「ここか、でも何か変なとこは見当たらないなー」


〈罠なんじゃから、そう簡単には見つからんじゃろ。

 注意深く見るのじゃよ〉


「わかった!

 ……あっあそこの床、他のとこより少し盛り上がってない?」


 ユーグが指さした先、床が少し膨らんでおり、踏むと何かのスイッチになるように見えた。


〈うむ、罠みたいに見えるな。

 ユーグ、あそこに向かって何か魔法を放ってみるのじゃ!〉


「わかった……ウォーターボール!」


 ユーグの前に水の球が現れる。水の球はそのまま床の膨らんでいる部分に飛んでく。


「あっ!落とし穴だ!

 でもあんまり深くないね、これだとちょっと足を取られるくらいだよ」


 水の球が床の膨らんでいる部分に当たり、罠が作動した。床がそのまま消失し、落とし穴に変わる。しかしその落とし穴はそこまでの深度はなく、ユーグのふくらはぎくらいの深さしかなかった。


〈難度2の1階層の罠ならこんなものじゃろ。

 難度2では命を落とすほどの罠はないからのう、危険度高くても怪我するくらいじゃからな。

 でもなユーグよ、今回は戦闘せずに発見できたが、この落とし穴の罠でも戦闘中に発動すれば魔物に有利に働くのじゃ。

 じゃから罠には気をつけて行動せねばならんのじゃ〉


「うん、わかった!」


 ユーグはソタの忠告を素直に受け入れ、返事をする。そのままユーグたちは先を進む。

 

明日も21時に投稿します。

しばらくの間は平日の5日間は投稿で、

土日はお休みさせていただきます。

また来週から投稿時間は平日20時に変更します。

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