憧れのOLライフ!
午前中の北海道支部は、穏やかな空気に包まれていた。
白峰澪はデスクに積まれた資料の山を前に、気合を入れて袖をまくっていた。
書類整理という、地味で繰り返しの多い作業が、激しい戦いの後の自分には不思議と新鮮に感じられた。
ページをめくり、内容を確認し、ホッチキスで留め、ファイルに仕分けていく——そんな単調な動作を繰り返しながらも、白峰は丁寧に手を動かしていた。
隣では御堂奏が優雅な手つきで書類を整理し、少し離れた席では雪華が派手な動きでファイルを振り回しながら「はーい、次はこれね~!」と楽しげに声を上げている。
「雪華さん、ちょっとその束、重すぎますよ……!」
白峰が慌てて止めに入ると、雪華は扇子をパチンと開いて笑った。
「大丈夫大丈夫! 雪華ちゃん、力持ちなんだから~♪
ほら、白峰ちゃんももっとテキパキいかないと、お昼までに終わらないわよ?」
御堂は書類を丁寧にまとめながら、くすっと小さく笑った。
「雪華さんは本当に元気ですわね。
澪ちゃんも、頑張りすぎない程度にね」
白峰は少し照れくさそうに頰を緩めながらも、手を動かし続けた。
三人で並んで作業をしていると、まるで普通のオフィスみたいに賑やかで、ほんのり温かい空気が流れていた。
書類の山が少しずつ減っていくにつれ、白峰はふと思った。
(……今日は、なんだか憧れのOLライフみたい!)
午前中の作業が終わりに近づいた頃、雪華が明るく声を上げた。
「よーし! 午前中はここまでね~。
午後はお見舞いに行きましょうか!
黒崎さんと室長、きっと退屈してるはずよ♪」
御堂が優雅に髪を払いながら頷いた。
「ええ、そうね。
お見舞いに行った後、せっかくだから札幌で少しゆっくりしていきましょうか」
白峰も笑顔で頷いた。
「はい! 楽しみです」
午前中の書類整理は想像以上に体力を奪っていた。
長時間同じ姿勢で目を酷使し、肩は凝り、指先は軽い痺れを感じるほどだった。
戦いの疲労がまだ残る体に、地味で繰り返しの多い作業は予想以上に堪えていた。
しかし、雪華の明るい提案と御堂の優しい言葉を聞いた瞬間、そんな疲れがふっと軽くなった。
午後のお見舞い、そして札幌での少しの息抜けという楽しみが、疲労を忘れさせるくらい心を弾ませてくれた。
こうして、三人は午後のお見舞いへと向かう準備を始めた。
書類整理の疲れなど微塵も感じさせない、軽やかな足取りだった。
白峰はデスクの書類を最後に一束まとめながら、胸の内でそっと微笑んだ。
(……きっと楽しい一日になりそう)




