2話 ゴブリン襲撃
数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。
拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。
2話 ゴブリン襲撃
草の匂いがした。
湿った土の感触が手に伝わる。
リュウはゆっくり目を開けた。
青い空。白い雲。見渡す限りの草原。
「……本当に異世界かよ」
起き上がると、体は妙に軽かった。制服ではなく、粗末な麻の服を着ている。
そして——
頭の中に文字が浮かんだ。
《ギフト:空間収納》《三属性魔法:風・水・火》
「空間収納……?」
試しに意識を集中する。
すると、視界の隅に半透明の画面が現れた。
インベントリ:10スロット
何も入っていない。
「ゲームみたいだな……」
試しに近くの石を拾う。
そして念じた。
「収納」
次の瞬間。
石が光に包まれて消えた。
画面を見ると。
スロット1:石
「……すげえ」
リュウは思わず笑った。
だがそのとき。
遠くから叫び声が聞こえた。
「助けてくれえ!!」
振り向く。
森の入口から、男が走ってきていた。
農民らしい格好だ。
その後ろに——
小さな影が何体も追っている。
「……なんだあれ」
影が近づく。
リュウは息を飲んだ。
緑色の肌。
小さな体。
赤い目。
手には錆びたナイフ。
「ゴブリン……」
ゲームや漫画で何度も見た魔物だ。
だが。
今目の前にいる。
しかも五体。
「クソ!!」
農民が転んだ。
ゴブリンたちが一斉に飛びかかる。
「ギャギャ!!」
ナイフが振り上がる。
その瞬間。
リュウの体が動いた。
「風の加護!」
言葉が自然に口から出た。
体が軽くなる。
一瞬で距離を詰めた。
「おおお!!」
地面の木の枝を拾う。
ゴブリンが振り向く。
「ギャ?」
その顔面に——
思い切り叩きつけた。
バキッ!!
ゴブリンが吹き飛ぶ。
「マジで効いた!?」
リュウは驚いた。
だが次の瞬間。
残りのゴブリンが襲いかかる。
「ギャア!!」
ナイフが振り下ろされる。
リュウは咄嗟に叫んだ。
「火の灯!」
指先に炎が灯る。
それを——
ゴブリンの顔に叩き込んだ。
「ギャアア!!」
炎に驚いたゴブリンが後退する。
残り三体が囲んできた。
「くそ……」
リュウは息を整える。
頭の中で魔法の感覚が広がる。
風。
水。
火。
三つの力が流れている。
「だったら……」
リュウは手を突き出した。
「火球!!」
掌から炎の塊が飛び出した。
ドン!!
ゴブリン一体に直撃。
爆発。
ゴブリンが地面に転がった。
残り二体。
だが今度はリュウが前に出た。
「風刃!」
空気が刃になる。
シュッ!!
ゴブリンの腕が切り裂かれる。
「ギャアア!」
もう一体が逃げようとする。
リュウは走った。
「終わりだ!」
枝を振り下ろす。
ドゴッ!!
ゴブリンは地面に倒れた。
静寂が戻る。
リュウは大きく息を吐いた。
「……勝った?」
農民が震えながら立ち上がる。
「た、助かった……!」
リュウを見る目は驚きでいっぱいだった。
「お兄さん、魔法使いか!?」
「いや……まあ」
リュウは苦笑する。
そのとき。
森の奥から——
低い唸り声が聞こえた。
「……え?」
木々の影が揺れる。
そこから現れたのは——
巨大な影。
普通のゴブリンの二倍はある。
赤い目。
筋肉質の体。
手には巨大な棍棒。
農民が青ざめた。
「ゴブリンロードだ……!」
リュウの背筋に冷たいものが走った。
さっきの五体より、明らかに強い。
ゴブリンロードはゆっくり笑った。
「グルル……」
棍棒を振り上げる。
リュウは拳を握った。
(逃げるか?)
だが。
後ろには農民がいる。
そして。
頭の中で、あの声が響いた気がした。
仲間を救え
リュウは深く息を吸った。
そして笑った。
「いいじゃん」
「やってやる」
三つの魔力が体の中で渦を巻く。
風。
水。
火。
リュウは初めて、三属性を同時に使おうとしていた。
ゴブリンロードが突進する。
地面が揺れる。
リュウは魔力を解き放った。
「トリプル——」
戦いが始まる。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら、
評価やブックマークで応援していただけると励みになります。




