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第9話:『消失』

     1. (起)

【活動写真館のロビー。興奮冷めやらぬハルと、任務失敗で青ざめるキヨシ。】


ハル 「弁士さんの迫力、凄かったですね!わたし、ついつい本気モードになっちゃって、お恥ずかしいです」


キヨシ 「(あの風圧、ただ者じゃない……)本当に凄かったです!……それにしてもハルさん、身体能力がヤバすぎませんか? 何かされていたんですか?(どうしよう、結局任務に失敗してしまった。香織お嬢様に合わせる顔がない……)」


     2. (承)

ハル 「ええ。わたしのひいお爺様が戊辰戦争を生き抜いた会津武士なんです。それで幼いころに直接、柔術を教えてもらったんですよ。半ば強引ですけどね。フフフ……」


キヨシ 「ははは……そうだったんですね……。(やばっ……絶対、敵に回しちゃダメな人だこれ)」


     3. (転)

【その時、アランが血相を変えてキヨシに駆け寄った。】


アラン 「大変だ!キヨシ!ハル!香織を見なかったか!?」


ハル 「あっ……やはり、ご主人様いらっしゃったのですね!……って、えっ?……お嬢様がどうかされたのですか?」


アラン 「先ほど、手洗いに行ったきり戻ってこないのだよ!」


キヨシ 「なんですって!!」


     4.(結)

【写真館の裏口。不気味な連中たちに囲まれ、口を塞がれる香織。】


男A 「お嬢ちゃん、ちょっと『お茶会』の会場が変更になったんだ。こっちへ来てもらおうか」


香織:「うぐ……うぐ……」


【もがくが声が出ない香織。もう一人の男が刃物のような物を香織の脇腹に突き立てた。】


男B 「おっと!おとなしくした方が身のためだぜ」


香織 「(……お父様……助けて……)」



【楽しかった一日は、冷酷な罠へと塗り替えられようとしていた。】

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